「この世界の片隅に」第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞!丁寧に生きることの大切さ

片隅でありながらも、どこにでも遍在している物語

この世界の片隅に
©Fumiyo Kouno/Futabasha/Konosekai no katasumini Project

公開後ずっと話題になりっぱなしだった「この世界の片隅に」が第21回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で大賞を受賞。ちなみに今回アニメーション部門は大賞が2作品で、もうひとつは「夜明け告げるルーのうた」でした。

メディアの片隅に生きておりますわたくし、いまだどちらの作品も観たことがなかったのですが、これを機に観ようと思い、メケヤマさんと「この世界の片隅に」を観ました。

「この世界の片隅に」とは

by カエレバ

 

こうの史代による日本の漫画作品。『漫画アクション』(双葉社)にて2007年~2009年まで連載。単行本は同社より上・中・下巻の形式と、前編・後編の形式で発売。

広島・呉に嫁いだ主人公・すずが戦時中をたくましく生き抜く姿を描いた作品。

2016年11月に片渕須直監督による同名の劇場アニメーション映画も全国公開されヒットを記録。そして2018年夏には連続TVドラマ化も予定されているそうです。

そこにしかないけど、どこにでもある世界…丁寧に生きることの大切さ

(良くも悪くもこれ観ただけじゃさっぱりな予告編)

おもしろいとかおもしろくないっていう映画じゃないな…というのがこの作品の感想でした。丁寧。すずさんの人生も丁寧だし、映画の表現もとても丁寧。そんな印象を受けました。

すずさんの人生は夢と希望に満ちていました。でもそれは裏を返せば悪夢と絶望しかけそうな世界。でも投げ出したりすることなく丁寧に生きることで、そんな世界の中にも夢と希望を見つけていけたんじゃないでしょうか。

今って夢や希望がなかったりする人も少なくないですが、それはきっと今が平和だから。とはいえ、程度の差はあれ、これはどこにでもある世界。

どんな世界にいても、ひとつひとつのことに丁寧に向き合う。そうすることでどんなことが起きても激しく揺るがないというか、その出来事に対しても丁寧に向き合うことができる。そうすることでどんな結果も受け入れることができる…すずさんはそれを教えてくれたような気がします。

この作品は戦時中でしたが、当時だけではなく今の時代、そしてこれから先の時代でもそこの部分は変わらないですもんね。

恋心にきゅんきゅんもできる

©Fumiyo Kouno/Futabasha/Konosekai no katasumini Project

そうそう。「丁寧」だけではなく「恋心」も見どころです。すずさん、周作さん、水原さんの「恋心」はいくつかの恋をしたことがある人ならきっときゅんきゅんできます。愛の手前。そしてじわじわと愛に変容していくさまも良かったです。

あとから押し寄せてくる作品でした

観終わってすぐは「…ふむ」という感じで、ピンと来ないというか、なんとも言えない気持ちになるのですが、いろんな思いがあとから来ます。でもあとからよくよく考えても「おもしろい・おもしろくない」っていう作品じゃないですね。不思議な気持ちになります。まだの方はぜひ。

文化庁メディア芸術祭とは

「文化庁メディア芸術祭」はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。平成9年度(1997年)の開催以来、高い芸術性と創造性を持つ優れたメディア芸術作品を顕彰するとともに、受賞作品の展示・上映や、シンポジウム等の関連イベントを実施する受賞作品展を開催しています。

第21回は、世界98の国と地域から4,192の作品が応募され、部門ごとに大賞作品が選定されます。
受賞作品の展示・上映や関連イベントが実施される「第21回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」は、2018年6月13日(水)から6月24日(日)まで、国立新美術館を中心に開催されます。

◉「文化庁メディア芸術祭」についての詳細はこちら

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ほりたみわ
クリエイター(イラスト、漫画、熊手、ヒーリング、瓦職人) チーママをやっていたスナックランデブーは魂のかたわれ、はるじが肉体の衣を脱いだことにより閉店しました。ときどき企画&プロデュサー。どこにも偏り切れないカラフルな人。