佐川光晴『牛を屠る』(解放出版社)/ちぃろの読書感想文

放課後に加工教室で食べたスモークチキンの味は忘れられません。
っていうのは嘘で、スモークチキンの味は覚えてません。

私が鮮明に覚えているのは、“〆た直後の鶏の体内のあたたかさ”です。
『牛を屠る』にも、「屠殺の過程で感じる熱」の話があります。すごく懐かしかったです。

 

おわりに

『牛を屠る』には、命の大切さ・命の尊さ・食への感謝というような言葉は出てきません。

ただただ真剣に牛に向き合い、いかに質の高い枝肉へと仕上げるかという、職人としてのプライド
屠殺という仕事にやりがいを感じ、危険と隣り合わせの現場で技術の向上・継承に尽力する人々のありのままの姿

『牛を屠る』を読めば、上っ面だけのきれいごとなんかよりも確かに、食に関わる全てについて考えることができるんじゃないかと思います。

「食へ“至るまで”の感謝」ということに気づかせてくれた、とても良い本でした。

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