畑に日和見(4)イチゴ

白い花が開いたら、絵筆を走らせイチゴを描く。

イチゴの受粉に使う筆は、かつて画材として使っていた絵筆だ。
この筆を受粉に使おうと決めたときは、もうアナログで絵を描くことはないだろうと思っていたのに、何の因果か今「むがじん展」に向けて、再び絵の具を手に取っている。

イチゴはとにかく人気者である。

虫に好かれ、鳥に好かれ、獣に好かれる。もちろん我々人間だって大好きだ。
つまりは美少女である。
清楚で可憐な白い花をつけ、やがてみずみずしく色気のあふれる紅のドレスにお色直しする。

美少女は堅固に守らねばならない。上からも下からも横からも全方向だ。
少しでも隙があれば、そこから今か今かと待ちかねた者たちに奪われてしまう。(実体験である)

白い花の華奢な首をうやうやしく手に取り、さらさらと筆を走らせる。
私は絵筆で美少女を描いている、と思うとなかなかに楽しい。

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