幼年をはるか過ぎて
小さい頃、こう思ったことがある人は多いのではないだろうか。化石を発掘したい、大きな恐竜の化石を掘り当てて、日がな眺めていたい。
そんなことを自ら思うことはもうなくなってしまったが、イオンのお菓子売り場でこれを見つけたとき、確かに興味が惹かれるところがあった。
子どものギャンブル
白いクッキー&クリームチョコレート板の真ん中に、茶色のミルクチョコレートで形作られた恐竜の全身骨格。周りのチョコレートを割り取って、恐竜化石を「発掘」するということらしい。
編集長の「いやこれ、もうほとんど発掘されてるよね」という言葉をよそに開封してみる。開けてみるまでどの恐竜が入っているのかわからないというのもいい。やはり人類はギャンブルが好きだ。
チョコレートチャレンジ
しかしこれ、そんなに上手く割れるものだろうか。
僕は板チョコを買うたびに溝の通りにきれいに割れないかと秘かに挑戦してみるのだが、その期待は裏切られてばかりだ。あの溝ってなんのためについているんだろうか。
もしかしたら、バターの包み紙に引いてある線みたいな感じで、単なる大きさの目安だったりするのかも知れない。そんな挫折の思い出を胸に抱きつつ発掘作業にむかったのだけれど、さすがに今の製品はよくできている。
周囲の白いチョコはいくぶんかやわらかくて指でも簡単に割り取ることができ、完全な形の翼竜を手にすることができた。嘴の先がちょっと欠けてしまった以外は。
ふるさとと化石
そういえば、僕の生まれ育ったところは化石の採れるところであった。ちょっと穴を掘れば化石が出てきてしまうらしく、稲作をしている人にとっては、水田を耕すうえでの悩みの種らしい。
崖など地面が露出しているところであれば古い雲丹の仲間を見つけることができるから、僕も小さい頃には化石を探したことがある。
あれはもう10年以上も前のことだったろうか。また探しに行くのもいいかも知れない。今なら道具を使って丁寧に掘ることもできるし、地質に関して少し勉強してから行くのもいい。
旅へ
もっと本格的に発掘することだってできる。今時、専門書だって、プロが使うような道具だって、ネットを介してだいたい手に入れることができる。
人が入れるほどの穴を掘ることも、数日あればできるはず。大きな恐竜がいいのなら、目ぼしい場所に出かければいい。もう大人なんだから、小さい頃には夢だとしても現実のものとできるだろう。きっと素晴らしい体験になる。
でも、僕はそれより涼しい部屋でパソコンに向き合ったり、写真を作ったりしてる方がいいなあ。というわけでまた今度。