2025年12月29日。
世間はとっくに仕事を納めている人がほとんどであろう年末に、
高岡市内のチューリップ農園では、繁忙期らしく出荷作業が続いていた。
高岡のチューリップ農園を訪ねて
8時30分。農園の入り口に着くと、従業員であるヨシコさんが見えた。
いつもの始業時間より早いのに、すでに作業しやすい格好で待ってくれていた。

彼女の案内で園内に車を停める。
「おはようございます!」と挨拶をすると、朗らかな笑顔で迎えてくれた。
実は、彼女に会うのはこれが2回目だった。
今回の取材がトントン拍子に進んだのは、間違いなくこの方のおかげだ。
年末、仕事で顔を合わせる市役所の方に誘われて参加した忘年会。
その席で初めて出会ったのがヨシコさんだった。
私がチューリップに夢中なことを話すと、ヨシコさんが高岡市内のチューリップ農園で働いていると聞き、気づいたら取材を申し込んでいた。

この日は、社長が急な作業のため途中から合流するとのこと。
花摘みの前に、ヨシコさんに案内してもらい、園内を見て回ることになった。
高岡で育つチューリップ
高岡市内には、チューリップ農家が5軒ある。
そのうちのひとつが、今回取材に伺った須田(すた)農園だ。

チューリップというと砺波の名前を思い浮かべる人は多いけれど、
いま高岡のチューリップも、確かに勢いを増している。
この日は年末の繁忙期。忙しいときにも関わらず、社長のご厚意で花の収穫から出荷まで、その一連の流れを見せてもらった。

静かな朝
鉄骨でできた一番大きなハウスに足を踏み入れると、外とはまったく違う空気に包まれた。
冬の朝の光が降り注ぎ、やわらかなあたたかさがある。

ヨシコさんに案内されながら、ひとつずつハウスを見て回る。

こちらのハウスには、まだ咲ききっていない花や、芽を出し始めた球根が静かに並ぶ。

年末の慌ただしさとは少し離れた場所で、
チューリップたちは、咲く前の時間を静かに過ごしているように見えた。
人がそろい、現場が動き出す
一通り園内を見せてもらった頃、従業員の方々が続々出勤してきた。
普段のシフトでは顔を合わせない人たちもいるらしく、あちらこちらで挨拶が交わされる。その様子から、職場の空気のよさが自然と伝わってきた。

花を摘む様子を撮らせてもらう。
ハウスに入ると、皆さん黙々と作業に向き合っていて、その背中が印象的だった。

出荷に適した、まだ咲くまで少し時間がありそうな花を選び、手際よく摘んでいく。
すんなりと土から抜ける様子に、思わず拍子抜けするほどだ。
根っこを持つのではなく、花の首を持つといいらしい。
写真を撮りながら、「私もこの作業をしてみたい」とうずうずしてきた。

途中から社長も合流し、5名での作業となった。
手が増えると、あっという間にカゴがいっぱいになっていく。

そのカゴをトラックに積んで作業場まで持って行く。

出荷までの道のり

トラックで作業場まで運ばれたチューリップは、ここから分業で、出荷できる状態へと進めていく。

まず、摘み取られたチューリップがコンベアに乗せられる。

流れていく先で、マシンが球根部分をきれいにカットしていく。

余分なものが取り除かれ、切花としての姿が整えられていく。

そのあと、チューリップは長さごとに分けられていく。

作業台の上には、長さの目安が書かれているけれど、実際に目の前の花を選別するのは簡単ではなさそうだ。ほんのわずかな違いを見極めながら、迷いなく手が伸びていく。

整えられていくチューリップ
分けられた花は、次々と花束になっていく。

揃えられ、まとめられ、テープで留められ、ラッピングされる。
作業は淡々と進んでいき、どの工程にも無駄がない。


旅立ちの準備
最後に、花束が箱に収められていく。

普段から、それぞれの持ち場に分かれて作業しているというだけあって、誰かが指示を出すことはない。それでも、花は滞ることなく、次の工程へと流れていく。
高岡市で生産しているチューリップは、主に県外へと出荷されるそう。
一旦県外へと出荷された高岡産のチューリップを購入して販売しているという花屋さんも……。
高岡市内で切花の需要が増えないと、ここにいながら高岡さんのちなかなか厳しそうだ。そんなお話を伺っていると、あっという間に箱詰めが進んでいた。

花は、それぞれの行き先へ向かう途中にあった。

後編へつづく。
















