カワモトの記念すべき1回目の記事は法隆寺・百済観音さまについて語り、それについていくつかの感想をいただくことができた。書くことに慣れていない稚拙な文章に、よもや感想をいただけるとは夢にも思っておらず、驚きのあまりお返事の文面がなんだかおかしかったことは許してほしい。ありがとうございました。
推しの仏像の話2回目は、私の思い出深い仏像・飛鳥大仏さまについて語りたい。
飛鳥寺・飛鳥大仏さま
奈良県飛鳥寺の飛鳥大仏さまは、日本最古ともいわれる1400年前に作られた大仏だ。「明日香村の飛鳥寺にある飛鳥時代につくられた飛鳥大仏」なので、「とにかく“あすか”が多い仏像」だと覚えやすいかもしれない。有名な奈良の大仏よりはずいぶんと小さいが、写真から受ける印象より実際はずっと大きい。
2024年現在、国の重要文化財に指定されていて国宝ではない。その理由もなかなか興味深いので、調べてみると面白いだろう。
飛鳥大仏さまの好きなポイント
すごく安定感と安心感があるところ。
身体に厚みがあってガッシリとしていて、引退したプロレスラーか柔道重量級有段者のような肉感を感じる。「引退した」というのはムキムキマッチョではないのと、顔立ちに年を重ねた落ち着きがあるからで、昔強かったんだろうなという感じが全身から伝わってくる。きっと体幹が強い。写真だと少し痩せ気味に見えるかもしれない。
お顔立ちは、杏仁形(アーモンド形)の大きな目と、高くてピンとした鼻筋が特徴だ。口元は引き締められているようにも、少しだけほほえんでいるようにも見えるのだが、私はそれが「すごく厳しくてずっとこわいと思っていた上司が、うまくできたときに褒めてくれる様子」みたいに見えて、そのギャップに思わずニヤけてしまう。
ここまで書いていて、スタジオジブリの大作「風の谷のナウシカ」に登場するユパ様が思い浮かんだ。ご存じ、めちゃくちゃ強い剣のおじさまである。ユパ様が現役を引退した後、風の谷を見守りみんなに慕われ、頼りにされている様子(カワモトの想像です)……そんなイメージが、飛鳥大仏さまに通じていると思う。
飛鳥大仏さまには光背がなく、周りにきらめく黄金の飾りも無いが、飛鳥寺の中でとても大事に丁寧に祀られていて、それがより「村で慕われている長老」のような安心感を生み出すんだなあと思っている。
飛鳥大仏さまの思い出の話
最後に、冒頭に出した「私の思い出」の話をしたい。
私の大学時代の恩師は、飛鳥大仏さまが好きだった。初見は厳しそうで仏像に関わるとはしゃぐ面を見せつつも、私の卒業と同時に定年退職されるおとしだったこともあり、落ち着いたたたずまいをされていたと記憶している。「飛鳥大仏って先生に似てるよね?」とは、同じ研究室だった友人の言葉だ。わかる!そうだよね!!と私も心から同意した……はずなのだが、最近写真を見返してみたらそれほど似ていなかった。あれ?
そんなわけで、飛鳥大仏を見ると恩師を思い出す、思い出深い仏像なのだった。