冒険というには静かな物語
最初は、静かな物語だと思いました。
原作は週刊少年サンデー。どの本屋に行っても平積みの大人気作品。そのはずコミック累計3500万部以上、テレビアニメーションは現在放送中。まさに今見なきゃいけない作品です。、
僕はコミックを見ていないんですが、配信されている話数を見終えたあと、胸に残ったのはこんな感情です。
それは――
そうかぁ、、、。冒険は、「誰とするか」だなぁ。しみじみとね。この作品は深いね。
序章にすぎない“魔王討伐”
『葬送のフリーレン』は、超ざっくり言えば、勇者一行が魔王を倒す物語です。
なんだけど、物語の本質は、「魔王討伐後」にあります。
勇者ヒンメル、魔法使いフリーレン、僧侶ハイター、戦士アイゼン。
王道の4人パーティです。しかし、魔法使いでありエルフでもあるフリーレンは1000年以上を生きる存在。人間である仲間たちの人生は、彼女にとって“ほんの一瞬”です。
勇者ヒンメルの死をきっかけに、フリーレンは気づきます。
「もっと知ろうとすればよかった」と。この“後悔”こそが、物語の出発点です。そんなことある?って最初思いました。そんな長い時間一緒に居て相手も良く知らないことってあるの?くらい意外なセリフ。
成果主義の限界と、時間軸の錯覚
じゃぁ現代の働き方とどうつながるのって話なんですけど、現在の働き方は短期成果にびっくりするくらい強く引っ張られています。毎日の売上。月の売上。3ヶ月ごとの売上、年間売上。それが当たり前になってしまうほど、だって働くってそういうことでしょ?と思ってしまうくらい当たり前になってます。でもそうだったんでしたっけ?
もう一度彼らの話に戻りつつ、ここからネタバレ。ヒンメルの魔王討伐から80年後新しい仲間、フリーレンは僧侶ハイターのお弟子さんフェルンと、戦士アイゼンのお弟子さんシュタルクと冒険に出ますが、行く先々で勇者ヒンメルを讃える銅像があるのです。ヒンメルが残したのは時間を超えて銅像と語ることができる時間。フリーレンの心に刻まれた時間そのもの。
これは企業活動にも通じます。売上は成果。ですが記憶は信頼につながります。
そして記憶こそが、長期的な競争優位を生み出します。常に記憶に残る。
短期KPIは“魔王討伐”。
しかし、長期的な価値は「一緒に旅をして過ごした時間」にあるんです。
学び直しという静かな革命
物語の中でフリーレンは、魔法を集め続けます。戦闘に使えない、花を咲かせるだけの魔法も集めます。合理的ではないかもしれません。しかし、そこに彼女の美学があります。
私はこれを「学び直し(リスキリング)」に重ねます。
AIの進化は加速しています。ツールは日々更新されます。
けれども本質は、スキルの習得そのものではありません。
「なぜ学ぶのか」という問いです。
フリーレンは、力を誇示するために学ぶのではありません。
理解するために学びます。人を知るために。時間を埋めるために。
生き残るためだけの学習は、いずれ疲弊します。
しかし、世界を理解するための学びは続いていきます。
世代を超えるチームという構造
フリーレンの旅は、常に世代をまたぎます。
かつての仲間ではなく、魔法使いフェルンや戦士シュタルクと旅を続けます。
約80年の時間差があるチームです。世代の差もそうだけど戦いの経験値が桁違い。
しかしそれは優劣ではなく、「役割」の違いです。
ここに未来の組織像があるように思います。
- ベテランは過去を知る
- 若手は現在を生きる
- AIは未来の選択肢を提示する
誰か一人が主役なのではありません。生きてきた時間軸の違いそのものが、チームの強さになります。フリーレンは、すべてを知っているわけではありません。むしろ、自分が知らないことを自覚しています。そして徹底して自分の経験値や、力を誇示しない、平たく言えば「俺様すごい!」を全くしない。むしろ滲み出る魔力を抑えて抑えて抑えて、無駄な戦いを極力避けている。
この姿勢こそ、成熟したプロフェッショナルの条件ではないでしょうか。いざという時に、それこそ「魔法のように」サッと出す。何があったのか説明つかないけど解決している。そんな感じなんです。
速さより、深さへ
現代社会は速く動いています。即返信、即決断、即実行。
しかしこの物語は、驚くほど静かです。途中で休んだり、空を見たり、村や町、城までの道中で野営したり、ヒンメルの銅像の前で語り、昔の話をしたり、また空を見上げる。冒険を続ける仲間たちと一緒に笑ったり、泣いたり、言い合ったりするシーンが戦いのシーンより多いかもしれないです、
戦いだけではなく、この“間”があるからこそ、戦いに深みが増します。
働き方も同じです。速さだけでは、関係性は育ちません。関係性を構築すること。そしてそれを持続すること。周りの人のためになにかすること。
あなたは冒険に出るとしたら、仕事をするとしたら誰と組みますか?これ今後の生き方や働き方に大きく関わってきますよ。俺俺をしない。仲間のために何かする。得意不得意を見極める。して欲しいことは一旦頭の中で整理して質問に変えて聞いてみる。こういう理解だけどどう思う?とそっと会話を始める。そしてフリーレンのように戦いに直接役に立たないような趣味を追求する。そう無我夢中に。そんなことです
「葬送のフリーレン」はそんなことを教えてくれる作品です















