太仁田ブ厚、ついに後楽園へ…!!
ペース配分間違えて、前回ついに後楽園へ…というところで切りましたが、そこから先のボリュームがとんでもなかったです。でも今回全部載せます。全部載せ!!
超特盛になりましたが、これぞ太仁田ブ厚!!というわけでたっぷり読んでください!
◉「願った夢は必ず叶う」を体現した男。太仁田ブ厚インタビュー①
◉「願った夢は必ず叶う」を体現した男。太仁田ブ厚インタビュー②
の続きです。
元祖爆破風は他にいた!?
今だと実は学生プロレスのみんなって選抜だけど学生プロレスサミットっていうのがあるんですよ。それだと各団体のトップひとりふたりっていうのは後楽園で試合ができるんです。
で、大昔も実は学生プロレスサミットがあって、1992年に後楽園で世界初の爆破風は学生プロレスのその時に行ってるんです。
俺はそれを知らないで、俺が爆破風はじめだと思ってやってたんですけど、実は昔やってたんだよねっていうのがYouTubeに上がってるの。俺爆破風の自分の試合を観たくて検索したのにそれがヒットして…。
ーへぇええええ!爆破風元祖が他にいたんですね!
[youtube id=cJCIl4ihPsg]こちらが1992年に行われた学生プロレスの電流爆破風デスマッチ引退興行の後楽園で「爆破風」をやれる意味
で、25年くらいの時を経て後楽園に爆破風が帰ってくるわけです。
大仁田さんの引退興行で、後楽園は火気厳禁なんで大仁田さんは爆破ができないわけですよ。じゃあ爆破風ならいいだろって。爆破を封じられた大仁田さんの引退興行で「爆破風」をやれる意味、しかもコピーレスラーとして太仁田ブ厚としてやらせて頂ける…幸せですよ。
ーねぇ、もうこの上ないですよね…。
ファンとしても光栄だし、レスラーとしても光栄だし。ただ、当日ね、意気揚々とクラッカーを400個持って会場入りしたら会場の人に言われるわけですよ。「火気厳禁なんでクラッカーもダメです」と。
ぶはははは!!!(二人で大爆笑)
爆破風大ピンチ!?
400個もあるんだよ!?電車の中で「あんなにクラッカー持ってあの人何なの…」みたいな白い目で見られながら電車で来たのに!
どうすんのよ…って思ってたら音響さんが「秋葉原に運動会とかで使うような音響CDみたいなのが売ってるんですよ。それで爆破の音がたぶんありますよ」って教えてくれたんで、急いで買い出しに。
ーうわあ…この段階で買い出しに!
音のチェックなんかできないですよ。どんな音がするのかわからない。希望としてはクラッカーのパパパパパーン!みたいなものか、いわゆる爆破のどーん!みたいな音が欲しかったんですけど、蓋を開けて試合が始まったらミサイルの着弾音みたいな音が「シュバババボーン!」ですよ…。
ーあはははは!(笑)あの音はそういう訳だったんですね。
あれ、自分でくらいながら「すっげえのが来た~!」って思いながら試合してたんだけど(笑)
爆破風のおかげで大仁田厚ファイナルが楽しめた
ーいやあでもすごいおもしろかったです!あの「爆破風」があったからこそ、あの日全体の試合が楽しめたんだと思ってます。
ありがとうございます。ありがとうございます。でもあれも諸刃の剣なんですよ。観ている人に真剣さが伝わらないとただの悪ふざけなんで。
で、俺も大仁田さんのファンから散々言われたし。大仁田さんのところにもクレーム行ったらしいですよ。なんでこんなのリングにあげるんだって。
でもその人も「試合を観たら笑っちゃいました」って言ってくれたんです。そしたら大仁田さんがね「笑っちゃったらお前の負けだよ」って。
実はその人と九州とか大阪、山口四国の巡業中も結構仲良くさせて頂いてるんです。あれだけ俺のことをdisってた人から「今日の第一試合良かったね。お客さんあれでつかめたよ」って言葉を頂けたときに、大仁田さんに褒めて頂けたのと同じくらい嬉しかったんだよなあ。
ーうわあ…たしかにそれは嬉しいですね。認めてもらえたんですね。
そういうのを積み重ねての10月31日の爆破風でしたね…ただ、クラッカーも使えないっていう一番の…だってほらあれお客さんが参加するっていうのが重要なわけですよ。最前列のお客さんがパン!ってやって。
ーそうですよね。お客さん参加型って観る側としても楽しめますもんね。
プロレスファンとの距離
今のプロレスって大きい団体さんてお客さんとリングとの間に鉄柵立てるんですよ。ここからお客さん来ちゃいけませんっていう。でもそれやるとお客さんとレスラーとの間に壁ができるわけですよ。物理的な壁でもあるし、精神的な壁でもあるし。
大仁田さんはそれを取っ払ってるわけですよ。だから試合が終わったらみんなリングを叩きに前に出られるし、当然他のレスラーも俺らもお客さんが前に来るもんだと思ってるし、俺もファンとして行ってたし。
だからファンとの距離がせっかく近いんだからもっと仲良くなりたいよね。大仁田さんの試合いつも観てるよって伝えたいよね…って時に「爆破風」だったんです。
ー「爆破風」には太仁田ブ厚を含めた「大仁田ファン」の気持ちがつまってるんですね。
目の前でいきなり変なことやられたってわかってるよ、大仁田さんの試合観てるからわかってるもんね、簡単にクラッカー引けるよっていうのを示して欲しかったし。それが後楽園で出来なかったのは唯一の心残りではあるんですけどね。でもあれはあれでひとつの成功ですよ。
あれは嬉しかったなぁ。
ー最高に楽しかったです!
いやもうそう言って頂けるのが一番ありがたいですよ!
「爆破風」が観える瞬間
ー「爆破風」のこと知らなかったから、なんでクリスマスみたいな飾りしてるのかなって思いましたけどね(笑)
あははは!あれわかんないよね~!モンゴルさんとかあの中で挨拶してるしね。
ー大仁田さん引退だからこれまでお疲れさまでした的なおめでたい風でにぎやかにしてるのかな、なんて思ってました。
みんな最初あれを観るとぽかんとするんですよ。でも俺がリングに入って、試合が始まって…触れたときじゃないんだ実は…そっちに入ってギリギリ我慢してスライディングしたときに、「爆破風」だってことが伝わるんです。
そこでお客さんが「おおおお!」ってなった時に俺は心の中で超ガッツポーズ!してるんですよ。おおお!がない会場のきついこと。
ーないことってあるんですか!?
あります。たぶんその地元で「爆破」をやったことがない会場だと、お客さんがポカーンってなっちゃうわけです。やべえ伝わんねえ…そうするとさっきの大道芸じゃないけど、試合中に「いいかー!お前ら!これからパンダすっこませるからなー!」っていういじりを入れたり、「お前ら今(クラッカー)鳴らさなかっただろー!」っていうのを入れたり。
老若男女楽しめるプロレスを
やっぱりプロレスって見る人によっては暴力なんですよ。チョップして殴ってってやってるわけでしょ。でもそこを格闘技やスポーツだよって、お子さんが観ても何も怖くないんだよって。流血とかって引く人は引くし、デスマッチもうわあ…って思っちゃう人はいるわけですから。
でも俺らなんてアマチュアでもやるからお祭りなんかでもやるんですよ。だから老若男女、子供でも偶然通りかかった、プロレス一回も観たことないんだけどっていう人でもなんとなく参加しておもしろいって思ってもらえるのってクラッカーを渡したりもできる「爆破風」だったんです。
それをやっぱりきっちり研ぎ澄まして後楽園でやれて…っていうのは大きかったなあ。
どうなんすかね。観てる側からすると最初わかんないでしょ。
ーそうですね…。最初はピンとこなかったですね。私バルコニー席から観てたんですけど、全体が見渡せるので、ある意味あたたまりにくいというか。でもあの「爆破風」とそれを楽しんでいる人たちを観ていい感じにあたたまりました。開幕って観てる側もまだあったまってないけど、それをきちんと「爆破風」があたためてくれました!
そう!それね!あったまってくださる方は優しい方です(笑)
ーいやいや、あれはすごくうまいなって思いました!導入として最高でした。だから大仁田さんすごいなーって感動してました。
いや、最初ね俺もほんとにこれをプロでやっていいの?って思ったわけですよ。お金頂く興行で。みんなの大切なお金をつかって下さって交通費も時間もかけて来て下さって。
となると、それなりのものを見せなきゃならない。プロレスとしてきっちり、いわゆるレスリングとか見せなきゃいけないのに、第一試合で観る人が観たらおふざけにしか見えないようなものをやっちゃっていいのかなっていう不安がずっとあったんです。
いいあたたまりかた
だけど大仁田さんが「相撲だって初っ切り(禁じ手を面白おかしく紹介する)ってあるだろ。それなんだよ。観る人の心をちゃんとあっためてアイドリングさせてそのあときちんと熱狂できるようにするためにいいんだよ、お前はしっかり初っ切りをやれ」って言って下さったんです。
その言葉を頂いたときに、自分の目的は見えたし、俺はプロレスプロレスしてるっていうより、お客さんを笑わせて「なんだこいつは(笑)」っていわせたほうがいいんだってわかったんで、そこがやっぱり一つの分岐点ではあったのかなって。
吹っ切れましたよね。
ー大仁田さんさすがですね。第一試合に「爆破風」入れたのはすごいなって思いました。「爆破風」じゃない試合が第一試合だったら観る側あそこまであったまれないから、大仁田さんほんとすごいなって思いましたもん!
いやあ、それをお客さんに汲み取ってもらえるのは本当にありがたいし、また大仁田さんもそういうふうに試合の組み立てをして下さってるのもありがたいですよね。俺が第二じゃだめなんですよ。第一じゃないとだめなの。最初に俺がいないと…。
休憩時間に外歩いてきたときに「いやあ太仁田さん、初めて見たんだけどすごいっすね」って言って頂けて。俺は当然プロレスとしてやるけど、それをプロレスとして見てくださる方がいるっていう現実が嬉しいし、ありがたいですよね。
ーごりごりのプロレスファンじゃない私が言うのもアレですが、プロレスでしたよね~。でもお子様でも安心して見れるし、素晴らしいなって思いました。
あの試合、実はプロレスの要素が全部詰まってて。
プロレス要素全部入りの試合
クラッカーが使えないどうしようってなった時に、音響さんの機転があって、さらにアナウンスで入場の時にしっかりあおってくれましたね。「これからやる試合はどなたでも安全にお楽しみいただけます」っていうあおりがしっかり入ってそれでお客さんが理解するわけですよ。そういうものとして観ていいんだなっていう。
だからリングアナありき、音響さんありき、対戦相手のパンディータ選手にも助けて頂いて、ファンの方に助けられているのも実感したし…入場ゲートのところに大仁田さんののぼりを持った人がずらっと並んでくださって。
普段は俺「太仁田ブ厚」ってのぼりを一本二本持ってやるんだけど、あの日はクラッカーとか荷物が多くてのぼりを持ってきてなかったんです。そしたらのぼりを持った人たちが「来たよ」って。
そりゃ大仁田さんの興行だから来てくれたんだろうし、今からメインののぼり用意してんのかなって思ってたら、俺のところに並んでくれたわけですよ。
そうするとお客さんになんとなく「大仁田厚の試合をそのまんまやるんだな」っていうのがのぼりのおかげで伝わるんですよね。入場から始まってんだねこりゃって。
ーうわあ!あれそういうことだったんですか!私「大仁田さんもう入ってくるの!?」って思いかけましたよ。そしたらなんだか違う人入ってきて(笑)
ですよね(笑)だから「みんなでつくるプロレス」っていうのがあの第一試合に全部含まれてて。
当日はそんなに実感わかなかったの。目の前のことに一生懸命で。で、後日録画観たら涙止まらなかったもん。そこで実感わきました。
ーいやあ、「爆破風」初めてでしたけど、かっこよさとおもしろさが詰まっててすごいなって思いました。
大仁田さんは昔から「プロレスはライブだから現地にいる人が一番わかるんだよ」っていう言葉通り、ほりたさんも第一試合であったまったっておっしゃってるわけだから、それがリアルなんですよ。雑誌が何と言おうと俺はあの場にいたっていう自負はあります。
(雑誌では第一試合はカットされていたそうです。あんなに素晴らしい試合だったのに!)
ー第一試合で爆破風なかったらその後の試合もあんなに楽しめなかったですよ。あの流れがあったからこそ「これがプロレスだ!」っていう全体になったんですもん。そして、後楽園で電流爆破ができない中で「爆破風」があったのってすごく大きいと思うんですよね。
うん、大仁田さんも本当は爆破やりたかったらしくて、申請しても通らなかったっていう。師匠弟子とは言わないですけど、大仁田さんの思いを汲み取って大仁田さんをリスペクトしてる、大仁田さんが見つけた最後のレスラーってたぶん俺なんじゃないかな。
その人間に自分ができなかったことを「風」でもいいからみんなに伝えてくれっていう心意気はありがたかったなあ。だからきっちりやろうって思いましたし。あれふざけてやると「おふざけ」にしかならないんですよ。真剣にやるからプロレスになるんです。
だから俺もパンディータさんも真剣にやったし。
パンディータさんのあれ
ーパンディータさんのトップロープからのあれ…
たまにあの人やるんですよあれ。
ーコーナーから飛ぶのかなって思ってたら、手をつないでロープの上歩くからかわいくて。すごく楽しそうに見えたんだけど…。
あれね、拝み渡りっていう技なんですよね。みちのくプロレスの新崎人生さんの技で、実は手首と肘の関節が決まってるんです。あの時俺はねパンダを対角のコーナーに押し込んでそのまま俺の135キロのウエイトで思いっきりぶち当たってやろうかなって思ったんだけど…。
腕の位置がね、ほら肘のところくぼんでるでしょだから逃げたいけど逃げられないの。で、これで最初セカンドロープ行ったから、なめてんのか、そんなの痛くも痒くもなんともねーぞ!上がれるもんならトップあがってみろよ!って言ったの。
そしたらほんとトップ上がっちゃって、いててててて…って。ムリムリムリムリ!!って。
ーあはははは!(笑)そういうことだったんですね。あれ。
本当は拝みながら行くんですけどね。お坊さんの巡礼なんでコーナーを巡礼するんです。でもパンディータさんはカンフーパンダ的な感じで武術としてあれを使うわけです。
で、俺、パンディータさんに一回も勝ってないんですよ。巡業中の太仁田ブ厚対パンディータの試合、一回も勝ってないの。全然勝てない。
ーへええ!!かわいいだけじゃないんですね!
けど、どっかでリベンジしたいですよね。あんな小太りパンダね(笑)
ー太仁田ブ厚に「小太り」って言われちゃうっていうね(笑)またぜひ戦ってください!そして次は勝って下さい!!でも「爆破風」は勝っても負けても最高に楽しいです!そして、まだまだお話伺いたいですが、時間になってしまったので…最後に一言お願いします。
お前らも!
お前らも!
お前らも!
いくつになっても夢を持て!
1!2!3!ファイヤー!!!
ーファイヤー!!!本当にありがとうございました!
まとめ
太仁田ブ厚さんからお話を伺いながら感じたのは、「大仁田厚」だけど「大仁田厚」じゃない。それが「太仁田ブ厚」なんだわ!と。
「大仁田厚」に憧れてプロレスの世界に入って、「大仁田厚」と巡業まわれて、後楽園で大仁田さんご本人が出来なかった電流爆破のかわりに「爆破風」を…。
それってもう奇跡!というか導かれたとしか思えない。
大仁田さんの魂のかけらは間違いなくブ厚さんの中で輝いていました。そして大仁田さんはそれを見つけて、より輝かせてくれたんです。
「願った夢は必ず叶う」
これを「大仁田厚」ではなく、「太仁田ブ厚」が体現した。そこがまたステキだなと思いました!!
ブ厚さんからお話を伺ってると楽しいお話がどんどん飛び出してくるので、また他にもいろいろお話をmugazineでご紹介できたらいいなと思いました。
ブ厚さん、本当にありがとうございました!これからも応援してます!!