空海好きなら映画「空海」はもう観てるよね?まだなら観て!!
わたくし先日観てまいりました「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」…あれのおかげでこの「空海」という映画の存在を知ることができたので、もうそれだけで「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」は観た甲斐があったというものです。
この「空海」は1984年に公開された作品で空海役は北大路欣也。週末には「美しき王妃」のほうが公開されるというこのタイミングですが、欣也版空海の素晴らしさについてお伝えしたいと思います。
いろんな意味で濃い!!!
この作品、一言で言うなら「濃い」です。濃いポイントはざっくり以下。
- 北大路欣也が主演
- 弘法大師空海入定1150年を記念して全真言宗青年連盟映画製作本部が東映と提携して製作
- 当時のままの遣唐使船を建造
- 昭和の映画だからキャスティングが全体的に濃い(丹波哲郎、西郷輝彦、森繫久彌、石橋蓮司、他)
- 空海が密教を授けられた地である中国西安でロケ(広大なスケール)
これだけ濃い!とか言いながらも、ポイントごとに説明していったりはせずに、欣也メインでこの作品の素晴らしさについて語ります。
北大路欣也が空海!!!
えぇ、そうなんです。北大路欣也が空海なんですが、若い頃の空海…真魚役を松岡章夫さんという方が演じておりまして…全然顔が違うんです。
わあ!さわやか!
で、この若かりし頃の真魚は阿刀大足(あとのおおたり)という母方の叔父に会うために都に来ていていました。それから大学に通うのですが一年でいなくなったらしく。
その真魚がいなくなったという話を真魚の両親と阿刀大足が話をしていたら、ちょうど誰か帰ってきて、その人(真魚なんですけどね)を見た時のやり取りがもうおもしろくて…
あまりに汚いからおうちがない方だと思った両親…
母:真魚です!
父 :いや、真魚じゃない!
阿刀大足:ほほ、真魚だ。
謎の人: 父上、母君…
父:真魚か…
母:違う…!!真魚じゃない!
真魚:いいえ、真魚です!(キリッ)母君、お久しぶりでした。
父:真魚…なんという姿をしておるのだ…
真魚:旅をしているんです…急ぎの旅です!
父:旅を…
阿刀大足:どこへ?
母:そんな汚いかっこして…!!さ、早く中へお入りなさい。
真魚:いえ、急ぎの旅なので寄ることは出来ません。お二人の顔を見ればそれで十分です。
阿刀大足:真魚、都へ帰れ。
真魚:都は汚れています…では、お元気で。(真魚去る)
母:真魚…
父:あれは真魚じゃない…あんな真魚があってたまるか!!
阿刀大足:いや、あれは真魚だ。あいつは狂うてしもうたんだ。
そりゃあのさわやか真魚がもじゃもじゃ欣也になって帰ってきたらびっくりしますよ。私も全力でびっくりしました。欣也主演ってわかってるのに。両親だって錯乱もします。このシーンがおもしろすぎて一人で観てたのに声出して笑っちゃいました。しかも3回ほど巻き戻しては笑う…ってやっちゃうほどに。
昭和の無茶感
あとはまあやっぱり昭和の映画ですから、昭和感満載な無茶なシーンがたまらなかったです。
富士山噴火してみんな逃げてたんだけど、噴火の恐怖から逃れるため、欣也と一緒にいたお坊さん(誰?)が男女で抱き合うように言って謎にそこらへんにいた男女を抱き合わせたり。
そして真魚はそんな人々を見て、「人も大地も生きている…」「生きてこそ人間なんだ!生きてこそ救われるんだ!!」と悟っちゃう。
ここまで観てこれはヤバおもしろいに違いないと思いながら観ていったら、このおもしろさはここがMAXでした。
あとは意外とまじめ
ここから先は普通に空海の半生を綴る感じで特に笑うポイントはなかったのですが、観ていて退屈することはなく、むしろ夢中で観てました。
最澄に曼荼羅を見せて「仏がこの世にいると感じるのは文字や言葉によってではない。」っていうところとか、疫病が流行っている村を助けに行って「この世で成仏しなくてどうして死んで成仏なんかできよう。行きているうちに、この父母よりもらった身体があるうちに幸せにならんで、なんで人は救われよう。」っていうあたりはあぁ…空海…としみじみしたりもしました。
まとめ
好き勝手欣也のことだけ書いてまとめもへっちゃくれもないですが(へっちゃくれって何)、空海のこと好きな人は欣也版観たほうが楽しめるかと思います。
奈良仏教のこととか、最澄のこととかもなんとなくわかりますが、これは仏教映画というよりは空海映画として観たほうが楽しめます。
そして、もうすぐ公開の空海は空海映画というより楊貴妃ファンタジーとして観れば楽しめます。
最後に欣也版空海のありがたいお言葉で終わりにしたいと思います。
この世で生きながら仏となれ、幸せをつかめ、成仏するのだ!
この世で幸せにならずして、何のこの世か!