はるじのいとこ、じゅん。
ずっと「じゅん」には会ったことがないまま、はるじからいつも「じゅん」のいろんな話を聞いていた。どんな話だったかはイマイチ思い出せないけど。
「じゅん」は瓦屋さんをやっていて、そのきっかけをつくったのははるじだったってことと、はるじが「じゅん」の話をするときはいつも嬉しそうだったことだけは覚えてる。
はるじと一緒に暮らすようになってから、ランデブーだったりゲレンデだったりではるじのいろんなお友達に会った。
学生時代からのお友達や、スノボ時代のお友達。みんないろんなはるじを知っていて、はるじがやんちゃしてたことやスノボでの滑りのすごさ。みんなは自分の自慢話のように聞かせてくれた。
いろんな人に会ったけど、はるじがいつも話してくれていた「じゅん」には会ったことがなかった。
「じゅん」と会った日のこと
コロナ禍でもまだ比較的普通に営業していた2020年3月末。
わたくしチーママ業はお休みの日、カウンターに座ってイラストのお仕事をしていた。
お客さんのいない店内。何時ごろだったか……仕事の集中力も切れかけた頃、店の扉が開いた。
「おおお!」はるじのテンションが上がった。いつものいらっしゃいませとは違うはるじ。
はるじが紹介してくれた。「みわ、いとこのじゅん」
!!!
それは、はるじからずっと話を聞いていた「じゅん」だった。
「じゅん」はなんだか少しもじもじとしながらカウンターに座った。
富山県に引っ越してきて1年9ヶ月。やっと「じゅん」に会えた。
はるじとじゅん
いつもはるじから話を聞いていて、ずっと会ってみたいと思ってた「じゅん」に会えたというのに、その日のことはあんまり覚えてない。
お店に置いてある「誕生日大全」という占いの本の4月3日のページを読んで聞かせたりしていたらしい。後からじゅんが話をしてくれてなんとなく思い出した。
じゅんははるじと歳は違うけど誕生日が一緒だったり、はるじと一緒にスノボを始めたり(スノボ歴30年超!)、はるじが始めた屋根のお仕事に誘い込まれたり、何かとはるじとの共通点が多い。
でも髪の毛は違った。はるじは年上だけどふさふさ。じゅんはハゲだった。
そして屈託のない笑顔。小学生がそのまま大きくなったみたいな。大人の包容力いっぱいのはるじとは全然違う笑い方。おひさまみたいな人だなって思った。
はるじとじゅんと3人で会ったのはその日が最初で最後になった。(つづく)