不倫をしたのは寂しかったからじゃない(4)みんなが笑顔で暮らせるようになること

はるじが肉体の衣を脱いでしまったことをきっかけに、はるじの友達と集まるようになった。

それまではバラバラと年に1〜2回、ランデブーに飲みに来てくれていた人たちが、いなくなってしまったはるじの家に集まって、昔の写真を眺めてはあーだこーだ話したりしていた。

そんなふうにして集まっていたある日。

夜がふけていくうちに、ひとり、またひとりと眠りにつきはじめ、最終的にじゅんとふたりで話すことに。

この日の少し前、じゅんがはるじのおうちの屋根の点検と修理をしてくれていた。おうちにきた時に屋根が気になったらしい。さすが職人。

点検と修理のお金はいらないって言ってくれたものの、何かしらお礼がしたかった。

今ここで出来る何か……スピリチュアル込みで人生相談みたいなものなら。

じゅんさえよれけばいくらでもお話聞くよ〜なんて言って、話を聞き始めたらそれはじゅんの人生でとても重要な話をしてくれた。

消えたじゅんの笑顔

その時、いつものじゅんのすてきな笑顔はなかった。

お話してくれたのはじゅんの家族のこと。もうずっと家で笑ったりしていないことを教えてくれた。

プライベートなことだから詳しい話は書かないけれど、その話を聞いてじゅんに伝えたのは「誰かが悪いわけではない」ということ。みんなのちょっとした思いや行動によって今の状況が出来上がってしまっているだけ。

そして「物事を俯瞰して捉えること」と「自分が変わること」の大切さについてもお話しした。

じゅんの笑顔が消えちゃうほどのことなので、これはきちんと状況を理解するためにも家族のみんなともお話がしたいことを伝えた。

そんなこんなで夜はふけて……どころか、朝になって、集まったみんなも目を覚ましてそれぞれのおうちに。

じゅんとじゅんの家族が笑顔で暮らせるようになること

それからというもの、わたくしの頭の中は「じゅんとじゅんの家族が笑顔で暮らせるようになること」でいっぱい。

頭の中だけではなく、実際にたくさんの時間を費やした。

じゅんだけではなく、じゅんの家族ともたくさん話をした。時間を見つけてはLINEをしたり、直接会って話もした。仕事をそっちのけにしてしまうほど一生懸命に。

持てる知識を総動員して、みんなが笑顔で暮らせるようになるための考え方や行動について伝え続けた。

でもダメだった。

自分が変わることの大切さについて理解してくれたのはじゅんだけだった。

それでもみんなからいろんな話を聞きながら伝えることは続けた。

不倫をしたのは寂しかったからじゃない

不倫をしたのは寂しかったからじゃない。はるじのことは今でも愛してる。

ただ、じゅんの笑顔が見たかっただけ。

そのために一生懸命だった。だからじゅんだけじゃなく、じゅんの家族にもちゃんと幸せになってもらいたかった。けど、一生懸命すぎたのかも知れない。

いろんなことを伝えながらじゅんのことを知れば知るほど、親身になればなるほど、お互いの気持ちが近づいていってしまった。

それでも「じゅんとじゅんの家族が笑顔で暮らせるようになること」への思いは変わらなかった。

でも、そんなことをしているうちに、じゅんは家に帰らない日々が続き、はるじのお部屋で一緒に暮らすようになった。家族の人たちからは「お父さんは逃げた」と言われるように。

たしかに、「お父さんは不倫して逃げた」という見方もできる。けれど、お父さんから見えた世界はどうだったんだろう。

「不倫」というものに対してのイメージは悪い。既婚者と付き合うことをなんでもひっくるめて「不倫」と呼んで「不倫が悪だ」というのは簡単。

だけど、家庭内の「不和」においてはみんな見て見ぬふりをして、そっと蓋をして生きているけれど、それによって不倫が生じるとは考えないのか。謎。

自分なら愛する人に寂しい思いをさせないように、家族がきちんと笑って過ごせるように働きかける。衝突してでも向き合うことを選択する。

ずっと伝えていたこと

もともと笑顔が消えてしまうおうちだった状況を改善すべく働きかけたことによってこうなってしまった。

笑顔が消えてしまったのは何かひとつが原因ではない。いろんなことが積み重なった結果というだけ。「誰が悪い」ということはなく、家族みんなで向き合っていくべき課題であることをそれぞれが気づいてほしい。

幾度となく、じゅんにも家族のみんなにも伝えてきた。

みんなでこの状況をつくりだしてしまったからこそ、じゅんが帰りたくなるおうちをみんな(もちろんじゅんも含めて)でつくっていくことはできるし、それは誰か一人ががんばったり我慢したりするものじゃなく、みんなでしかできないこと。

それぞれ「自分が変わること」で本当の笑顔で笑い合える家族ができることをずっと伝え続けた。

じゅんのことは好きだけど、じゅんが家族の元に帰って幸せになれるんだったら、喜んで送り出すつもりでいたし、そのことはじゅんにも家族のみんなにも伝えていた。

けど、伝わらなかった。

伝え方が至らなかったことは反省しかない。

形は違っていても

2021年7月にじゅんは離婚。

それまではじゅんの持ち物もまだ家族の元に置いてあったけれども、離婚したので荷物を全部はるじのおうちに持ってきて、八重ちゃん(はるじのお母さま)との3人暮らしが始まった。

気づけば、じゅんと一緒に暮らし始めてからはちょうど2年が過ぎた。

「じゅんとじゅんの家族が笑顔で暮らせるようになること」はあの頃考えていた形とは違うものになってしまったけど、今でもその想いは変わらない。

じゅんは今でも家族のみんなに会いに行ってるし、お酒を飲む機会であればわたくしの運転でじゅんの送迎もする。今ではじゅんの家族とわたくしが顔を合わせることはないけれど。

自分が変わることの大切さについて、じゅんは理解してくれて、それまで本なんて読まなかったのにあれからいろんな本を読むようになった。

食生活も、観る映画も、聴く音楽も、休みの過ごし方も変わって、「お父さんじゃない」って言われながらもより良いお父さんになっていっているところ。

そして毎日いっぱい笑ってる。泣いたり怒ったりもしてるけど。(ひとまずおわり)

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ABOUT US
ほりたみわ
クリエイター(イラスト、漫画、熊手、ヒーリング、瓦職人) チーママをやっていたスナックランデブーは魂のかたわれ、はるじが肉体の衣を脱いだことにより閉店しました。ときどき企画&プロデュサー。どこにも偏り切れないカラフルな人。