夢の戦士W、爆誕。

はじめて会ったとき、わたくしたちは即座に意気投合した。

「一緒にやろうね!」と言い合って、そのままなんとなく時間が経った。なんとなく距離ができて、なんとなく会わなくなっていた。彼にはそれとは別に、もっと内側で戦っていることがあって、わたくしにはそっとしておくことしかできない時期があった。

でもまあ、壁というのは、いつかは崩れる。そういうもの。

戦国武将が変身したら、仮面ライダーになる。

久しぶりに遊びにきてくれたとき、わたくしはノートを渡した。作戦会議用に、と思って。

彼はそのノートに、するすると描き始めた。何やらかっこいいヒーローたちが、ページの端から端まで好き勝手に生まれていく。「夢の戦士W」と書いてあるやつもいた。

ふおお!いいじゃん、それ!

「戦国武将が変身したら仮面ライダーになるゲームを作りたい」

そう言われたとき、なんかいいな、と思った。天才とか才能とかそういう言葉より先に、なんかいいな、が来た。

彼は弟からもらったMacBookにUnityを入れたいと言って、わたくしに託し、机に顔を埋めるようにして絵を描いている。こたつにもぐりながら、冷めかけたマグカップが隣にあって、ペン先だけが静かに動いている。

世界とうまく折り合えない時期があった人が、こんなふうに静かに線を引いているのを見るのは、なんだかとても、いい時間。

感情が爆発したとき、わたくしは抱きしめる。

わたくしには子供がいない。

だから何か特別なことができるわけでも、何か正しいことを言えるわけでもない。ただ、彼の感情が溢れるとき、抱きしめてなでなでして、そこにある気持ちをそっと掬って、話を聞く。それだけのことを、している。

彼はわたくしとしっかり話をしてくれる。丁寧に向き合ってくれる。

それがわたくしはどれだけうれしいか、彼は知らないと思う。我が子のように愛おしいという感覚がこういうことなのかと、わたくしははじめて知った気がしている。

一緒にいる時間が増えたら、彼の心がもう少しふんわりするんじゃないかと、密かに思っている。根拠はない。でも、そういう気がしている。

いつか、御旅屋人マーケットに一緒に立ちたい。

むがじんは毎月第3日曜日に開催される、御旅屋人マーケットにブースを出している。透視体験やグッズ販売、そのときどきのものを持ち寄って、街の人と顔を合わせる。

そのなかに、彼の絵が並ぶ日が来たらいいなと思っている。

「一緒に出たい」と言ってくれた。その言葉が、じわっとうれしかった。

彼のクリエイティブが、彼の生活に少しずつ返っていくような。ゲームでも、アパレルでも、何かしらのグッズでも。形はなんでもいい。

こういうことのために、むがじんはあるんじゃないかなって思ってるの。

一緒にいる時間が、本当にしあわせ。

次会ったら彼の好きな映画を一緒に観る。

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ほりたみわ/多神和(たみわ)
多神和と書いて、たみわ。 一人であり、たくさんであり、かみさまたちの和を映す存在。 イラスト・漫画・張子・熊手・Reboot™・神ノ貌など、祈りと観察をもとに表現を続ける多層的クリエイター。 かみさまや犬、無機物とも会話しながら、目に見えないものを形にしている。 Reboot™では、自責の迷路から抜け出すナビゲーター。