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爪を切る
こないだ山に登ったときのこと。おにぎりを食べていたら足元に三日月形の何かが。
よく見たらそれは爪でした。
こんな山に来て爪を切る人がいるのかと驚いたものの、よくよく考えたら山で爪を切るのって意外と悪くない。
部屋で爪をパチンパチン切ってるとたいていひとつかふたつはどこかに飛んで行っちゃう。探し出せれば一安心だけど、見つからなかったらちょっと困る。ある日ちくっとして見つからなかった爪が見つかったりなんかして。
そのちくってなるのが自分ならいいけど、誰かが自分の爪で知らない間にちくっとしちゃったりしたら申し訳ない気持ちにすらなれないし。
そんなことにならないためにも山で爪を切るのはあり。飛んでいっても土に還るだけですから。
でもまあそもそも、爪切りの爪が飛んでいっちゃうのがいけないわけで、そうならない方法とかそうならない爪切りとかないのかなと思って調べてみた。
そしたら、
- お風呂場で爪を切る
- ビニール袋をかぶせて切る
- 濡らして切る
- やする(そもそも切らない)
…みたいな方法の中に「外で切る」もやっぱりあって、そりゃそれが一番いいよねと思いました。
そうは言っても外で切るのがめんどくさい時ってあるから(というかめんどくさい時しかないよね)、個人的には「よく切れる爪切りで切る」っていうのもありかなあとは思ってます。比較的飛び散りにくい。ときどき飛ぶけど。
やっぱり普通に生きてたら爪切り持って山には行かないだろうなあと思ったので、次に爪が伸びたらあえて爪を切るために山に行くことを忘れないようにしようと思った。(で、すっかり忘れて切るやつ)
爪を山中に捨てるっていうのは、自分のかけらを山に遺すっていう意味ではちょっといいよね。「◯◯参上!」みたいなあからさまかつ非道なやつより、しっとりとでもそこにある感。この山は俺の細胞で出来ている的な遺し方。