才能を持て余した家族
登場人物
- キム家の主、ギテク
- ギテクの妻、チョンソク
- 長男、ギウ
- 長女、ギジョン
貧乏なので美術学校へ通えないギジョンですが、大学に行っていないギウが家庭教師になるために在学証明書を偽造するほどの技術があります。
ギウ共々、ギジョンは美術の家庭教師として、父ギテクは巧みな運転技術でドライバーに、母ギテクは家政婦としてそれぞれが身分を偽りパク氏の家で雇われます。
彼らが何故貧困層でいるのかが不思議なくらい、劇中では偽物の職業にハマってます。
すんなりとそれぞれが才能を発揮していくのですが、それでも貧困から抜け出せないという韓国の格差社会を表しているのでしょう。
身分を隠さず真っ当に才能を使ってほしいなあとモヤモヤします。
「匂い」というメタファーの強さ
作中に頻繁に出てくる「匂い」というのが今作の大きなキーワードなのですが、生活、文化、習慣の違いを大きく示すものとしてこれほど的確な対象は無いのではないでしょうか。
感覚的なものは最も人々の身近にあり、無意識レベルで接しているからこそ盲点となり、キム家を追い込んでいきます。
貧困層の人々を指す「半地下の匂い」とは何なのか、私には到底知り得ないのですが、まるで匂ってくるくらいにこの隠喩が巧く描かれています。
終わりに
ジェットコースターの余韻を残しつつも後味の悪さが否めないラストですが、社会問題を扱いながらもユーモアに富んだ痛快なダークコメディ、納得のオスカー受賞です。
おまけ
ポン・ジュノ監督2006年公開の「グエムル」の英題は「The Host」(宿主)、そして今作が「Parasite」(寄生)なので、あわせて観てみると面白そう。