【男の交換日記】海の男から山の男へ

「交換日記をやらないか?」

マスターはるじからそう打診されて長い月日が流れてしまったが今ようやくこうやって返信の日記を記している。

マスターはるじとの出会いは2017年の冬。マスターはるじの日記にもあったようにSNSにて自己紹介のバトンを渡してもらったことから始まり今日に至る。

海の男の説明書

今から40数年前に熊本県は天草諸島の小さな町で海運業を営む家庭に生を享ける。
山の中腹にあった実家の眼下には八代海が広がり、裏には低山がそびえ、そこが遊び場だった。

18歳になり、海の世界に飛び込む準備のために静岡にある船の専門学校に進学。その当時お付き合いした女性に霧島連山連れて行ってもらって、山と火口湖の美しさに魅了される。

普段は海抜ゼロメートル暮らしの為高いところに憧れを持つようになったのかもしれない。
ただ本格的な登山ではなく山頂付近まで車などで行けるドーピング登山が主だった。

山の男はるじとの対面

2019年5月ついにマスターはるじの暮らす富山を訪れる機会を得る。

四国での仕事が三日間空いてしまうので、自宅に帰るのも勿体ない。

いっちょ富山に遠征に行ってみるか!とマスターはるじにスケジュールの確認の連絡を入れると、二つ返事で快く受け入れてくれた。

四国での仕事を済ませ一直線、車を富山へ走らせた。

ニッカ地下足袋登山部の活動として一緒に登山し、マスターはるじの営むランデブーでお酒を楽しむ。まさに夢のような一日を翌日に控え遠足前の子供の様に眠れない車中泊となった。

小矢部クロスランドタワーにて待ち合わせ。念願のご対面となった訳だが、メッセージのやりとりを頻繁に行っていたし、男兄弟のいない自分にとっては兄の様な存在で、初めて会ったのだが懐かしく優しくてあたたかいマスターはるじがそこにいた。

富山の有名なお餅と飲み物を買ってもらい登山に向かう。

道中雪が残っていたり、熊目撃の看板がたっていたり。背後にそびえる北アルプスの圧倒的存在感、眼下にひらける砺波平野の緑、遠くに富山湾。初めての風景ばかりで正直興奮した。

高落葉山を目指すことになったがはるじ部長、ひげ隊長の二人にとってはライトなものだったかもしれないがドーピング登山家の自分は肩で息をするほどヘビーなものだった。

自分のペースに合わせて貰い、足の運び方、ポールの使い方をレクチャーして貰いながらの登山はとても楽しかったし、登山道に生える植物たちも地元九州とは少し違っていて遠くまで来たんだなと感じた。

二人の「頑張れ山頂までもう少し」のかけ声のおかげでヘロヘロになりながらも無事登頂。

澄み切った青空の下、はるじのお母様のやえちゃんが握ってくれたおにぎりと麓で買ってもらったお餅を食べた。身に染みる美味さだった。

そして食後のコーヒーを淹れるまでの間少しお話をした。

山と海

地球における海の割合は70パーセント。母なる海。

少し昔になるが地元の名産である有明海苔が不作に陥ってしまった。そんな中その状況を打破するために漁師の行ったことはなんと山の整備だった。

海の水がやがて雲となり雨となり山に恵みをもたらす。そして山に落ちた雨水は大地を流れ養分を川へと海へと運ぶ。

山と海は相反するものに見がちだけど、自然の中で循環しながらお互いを支え合う大事な切っても切り離せないそんな存在。

そんなお話をマスターはるじはうんうんと頷きながら聞いてくれた。山の男も繫がっていることをわかってくれていたし嬉しかった。

色々なカクテルも作って貰ったし富山のグルメも沢山ご馳走になった。

山の上からのその場に行かないと見ることの出来ない星空や雷鳥や植物の写真も見せてくれた。

濃密な2日間を過ごし山について登山についてより深く学びたいと思った。

そしてまた一緒に登山する約束をして翌日からの四国での仕事のため富山を離れた。

これが今生の別れになろうとは……

海時々山

マスターはるじも気になっているそんな暮らしをしている自分の海上での生活の様子や風景は次回からの日記に綴っていきたいと思います。

一方通行になってしまった交換日記ですがマスターはるじ、待っていてくださいね!

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