芸術の秋ですね。富山県が放つ異色の日本画家、篁牛人をご存知でしょうか。わたくし富山県に来るまで名前すら存じ上げておりませんでした。
たかむらぎゅうじんと読みます。たかむらもなかなか読めなけりゃ、ぎゅうじんは読めるものの、ぎゅうじんってなんなの……ってなりますよね。名前からして異色。
異色なのは名前だけじゃなく、その技法やタッチ、描かれている人物や動物の独特のフォルム……生き様までもがたまらなく異色。
そんな日本画壇の中(だけに限りませんが)でも異色の存在、篁牛人の作品を展示している美術館、篁牛人記念美術館が富山市にあるんです。
毎回いろんなテーマで作品が展示されているのですが、今回はこれぞ牛人!とも言える「ミミズクとカラス」を中心に約40点の作品が展示されます。
牛人の描くカラスのフォルムを見よ!!!
カラスに限らずなんですが、牛人さんの描く生き物のフォルムは絶妙。美しくもあり、ユーモラスでもあり、でもそのものの特徴をこの上なく捉えているんです。そこには生きとし生けるものへの愛があふれています。アメージング!
完璧なまでのカラスの表現!!小さくて見えないですね。左端にいます。
鳥好きなわたくし……中でもカラス大好きな者としましては、鳥のかわいさにはうるさいんですが、牛人さんの描くカラスにはもうメロメロ。骨抜きどころか魂抜かれそうなくらいにやられました。
鳴いている時のかたちだったり、くちばしや翼や尾も何もかも。カラスでありながらカラスを超越しているんだけれども絶妙にカラス。カラス愛を感じずにはいられません。
いもむしだってこんなにムチムチいきいき!……これまた小さいですが真ん中よりやや右下方におります。見つけて!
もちろん、カラスだけではなく、いもむしだってミミズクも虎も人物もこんなに生きてる!!!ディズニーもびっくりないきいきっぷり。止まってるのに動いてる。生きてる。
そんなあらゆるものたちをたまらなく美しいフォルムで描きながら、それぞれの個性が滲み出ている作品が全力で展示されているのが今回の「ミミズクとカラス」というわけです。
イチオシは「烏とみみずく」「釣人」の2作品!
イチオシのくせにふたつ推すだなんて……なんて言っちゃダメです。どっちかなんて選べません。
双方それぞれの作品をおもしろくしてるんですもの。
チラシにも使われている「烏とみみずく」のカラスのセリフ「人間が欲しがるゼゼコちゅうのはコレヤ」ですよ。そしてこの顔!最高。
そして「釣人」の「ナニモ水マデカキマワスコトナイヤナイカ」って言いながら制止するミミズクとカラスのかき回しっぷり。何回見ても笑っちゃいます。
今回、このふたりの関係を存分に楽しめる展示となっております。
もちろん、イチオシの作品以外も超絶すばらしい作品ばかりですのでぜひ実物を見て圧倒されてください。大きい作品なんて吸い込まれそうになっちゃうほど。
入館料は驚きの100円!明日10月8日(土)は展示解説会も!
こんなすばらしい作品がとんでもなく間近(ガラス越しも一部ありますが)かつ存分に見れて、入館料が100円だなんておかしすぎやしませんか。富山市万歳。
ポストカードも1枚50円。複製画は210円。なんでそんなに安いの……。行かない理由なんてありません。
さらに明日10月8日(土)は14:30から展示解説会もあるんですが、まさかの予約不要。来場者ごったがえしたりしないのかしら。(といいつつ、初日の午前中ですら貸切状態でした)
牛人さんの作品について詳しく知りたい方はこのタイミングでぜひ。
篁牛人記念美術館 館蔵品展127「ミミズクとカラス」
会期 令和4年10月5日(水)~令和5年2月5日(日)
休館日 令和4年12月28日(水)~令和5年1月4日(水)
展示解説会 10月8日(土) 14:30~
篁牛人(1901~1984)の作品には、しばしば‘ミミズク’や‘烏’が描かれ、時には擬人化された主役として登場します。
「烏とミミズク」、「ナルホドタイシタモンダノー」など漫画の吹き出しのように文字の入った作品はシリーズで残っており、牛人の心境を垣間見ることが出来ます。
他に、「竹林虎」、「プーンギの親子」、「河童」、「蛟龍」など想像上の生き物や虎、身近な生き物等を題材とした作品もあり、篁牛人の絵の見どころの一つである表情の豊かさを感じ取ることが出来ます。
本展では、テーマに合わせた作品を中心に約40点を紹介します。
入館料 大人100円(高校生以下無料)
開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
問合せ先 富山市篁牛人記念美術館
富山市安養坊1000番地
TEL・FAX076-433-9215