「奇蹟がくれた数式」は素晴らしい映画!
「奇蹟がくれた数式」(2015年イギリス制作)という映画がアマゾンプライムで視聴できたので観てみました。素晴らしい映画でしたので、皆さんにご案内します。
※今回の感想はネタバレ要素がありますのでご注意ください。
1914年、ケンブリッジ大学のハーディ教授は、植民地のインドから届いた1通の手紙に夢中になる。そこには著名な数学者である彼も驚く“発見”が記されていた。ハーディは差出人の事務員ラマヌジャンを大学に招聘する。しかし、学歴もなく身分も低いことから教授たちに拒絶され、頼りにしていたハーディも公式を証明することしか頭にない。二人の友情を描く涙の実話。(公式サイトより)
インドの魔術師 ラマヌジャンのお話
この映画は、インドが生んだ天才的数学者ラマヌジャンの事実に基づいた伝記的映画です。私はラマヌジャンさんという人を全く知らなかったのですが、映画を観終わった後に調べてみるとその凄さがよくわかりました。
かいつまんでラマヌジャンさんについて説明すると、大学にも行っていないインド人が独学で数学を学び、コツコツと探し出した数式がとんでもないものばかりだったという感じです。
100年以上経った現在でやっと時代が追い付いてその正しさが証明され、現在の様々な研究に役にたっているというから驚きです。
映画では、その天才性に気が付いたイギリスの学者がラマヌジャンをケンブリッジに呼び共同研究を進めていくストーリーとなります。
公式は女神ナーマギリが教えてくれる!
ラマヌジャンが閃く数式は、非常にユニークでどうやったらそれが思いつくのだというものばかり。多くの人が何故それを閃くのか疑問に思います。
円周率を簡単に計算できる数式を一つあげても、人間が思いつくレベルのものではありません。こういう公式を直感的に6000くらい見つけているらしいので、宇宙人が置いて行ったともいわれているくらいです。
彼はその閃き方について、
「寝ている間に女神ナーマギリが舌に置いて行ってくれる」と答えています。
ラマヌジャンはバラモンの家に生まれ、女神ナーマギリへの信仰を幼いころより叩き込まれたそうです。そういう人間が、数学に向けて専心して業を行えば、それは確かにそうなるよと私は思うのですが、皆さんはどうでしょうか。
インド宗教人の直感は半端ない
私は古代インドの聖典を少し読んでいるのですが、数千年前の世界観や考え方は、現在になってもまだ色あせないほどの鋭いものがあると感じます。いまだにそれを超えるような発想は存在していないと思います。
こういったインド神話のおもしろさは、神の化身が降誕し、その時の価値観、人生観を一変させるような思想を広めているところにあるんじゃないでしょうか。
ヒンドゥー教では、人間もバクティー(簡単に言うと神への愛)によって神様と一体になるという考えがあります。その域に達した人間が過去に数回いて、その人が直感的に得たかなり先進的な思考を世界に伝えていたのだと、私は考えています。
極限まで極めた人間の感性は神の域に達し、その時代ではあり得ない知識にたどり着いてしまうのだと感じます。
この発想を長い年月をかけて、科学技術なんかで証明していったりしていますが、結局後追いに過ぎず、えっへん証明してやったぞ、いや、それ三千年まえから言ってたじゃんということが結構あるんです。(この世の中は、幻にすぎないとの話とか)
このラマヌジャンさんも数学の世界でそれをやっていただけだなと思うわけです。
でもお約束の終わり方
映画のラストのネタバレになってしまいますが、私にはもう結末をみるまでもなくこうなることはすぐわかってしまいました。神に近づいた人間に訪れる運命は一つしかありません。「死」です。
日本でいうとマハーバーラタの翻訳に手を出した上村勝彦先生でお馴染みですが、多くの人間を真理に近づけさせる前にこの世から昇天してしまいます。
ラマヌジャンさんも32歳でこの世から去ってしまいます。
ちょっと宗教色がでた感想となってしまいましたが、事実に基づいた映画となっており、こう言った奇蹟の一つ一つが大いなる存在を感じさせてくれると思います。
神とか仏とかなんて信じないって人にお勧めの映画です。
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