「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」の裏話…桃太郎俳優®神木優くんに聞きました!(前編)

「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」の裏側を知りたい…聞いちゃおう!!

先日の「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」が素晴らしかったので、感動の気持ちを直に伝えたいのと、裏話も聞きたい…と思っていたら桃太郎俳優®神木優という神様がその機会を与えてくださいました。ありがとうございます!

というわけで、「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」の裏側のお話をうかがいました。

台本が届いてから本番まで1週間!?

ー「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」素晴らしかったです!90分間一人芝居って大変だったんじゃないですか?

ありがとうございます!あれ実は台本が来たのが13日で、本番が20日。1週間しかなかったんです。

ーええええ!あれを1週間で覚えたんですか!?

一番最初に半分くらい台本来て稽古やってたんですけど、そしたら一人で何役もやるから、結構舞台でくるくる回るんですよね。で、くるくる回るから、頭めっちゃ痛くなるんですよね。三半規管弱いから。それに全然慣れなくて、やるたびに酔うんですよ…。

で、めっちゃ気持ち悪くなって、セリフがまったく入ってこないんですよ。だから全然覚えられなくなっちゃって。

ーそれは酔いますよね…何か対応策ってあるんですか?

ダンサーって酔わないですよね。あれもトレーニングすることと、一点を見て回れば大丈夫だって聞くんですけど、今さら無理だろうと。

ー本番まで1週間ですもんね。

で、これ台本持ちながらだからどうにも気持ち悪いんですよ。台本外せばまだマシになるんじゃないかなと思って、とりあえず覚えようとしたものの、気持ち悪くて覚えられないというのが3日間くらいあって…。

ーひえええ。1週間のうち3日間が…。

で、台本が3日目に全部揃って、そこから身体が慣れてきたのもあって、やっと本気で覚えましょうってことで、がががががっと覚えましたね。ただ、その間にも僕イベントがあったんで、別のイベント行ったりしつつ、なんとかセリフだけでもと。セリフ頭に入れないと始まらないので。

ーうわあ。大変でしたね。

本番でのミスは100箇所以上!

なんとかセリフ全部覚えたものの、最終通しの時にかなりミスって。そしてそのまま本番ですよ!だから本番も実は100箇所以上ミスってて…。

ーえええええええ!100箇所以上も!?

でもわからないところも多いんですけど。お客さんには。

ーですね。全然わからなかったです。

なんか大きく「あ!飛んでるな」みたいなのはあったんです。本当は結構ミスってます。でもそこは舞台上でもなんとかしようとしてるから…。

僕一人芝居とか落語をやり始めてから、ごまかすのがうまくなったんですよ。ふふ(笑)…そういうのもあって、お客さんにはあんまりわからないようにするんですけど、自分の中では結構大きなミスが何個もあって、それは反省点ですね。なのでもうちょっと身体に叩き込んでから、リベンジ公演をやりたいなと。

ーわあ!リベンジ公演!それはぜひやってください!

ね、サラッと言いますよね。

ーいやもう、次やるってなったらみんなに告知しますよ!

「再演して」だなんて…

あはは!ありがとうございます!いやねぇほんと「再演してください!行けないんです」ってサラッと言われるじゃないですか。みなさん悪気は一切ないんでしょうけど、こちらとしては「命削ってつくったもの、そんなにさらりと言わんでくれ」って思うんですよ。そんな簡単にはできないですよあれ。

ーたしかに。簡単にはできないですよね…。それは本当に感じました。あの公演、そんなに何回もできないというか、何回もやりたくないくらいハードでしたよね。どうでしたか?

だはははは!(爆笑)
やりたくないくら…まあねぇ。疲れるという意味ではやりたくないけど、観てほしいという気持ちはありますよね。

ーですよ!本当にたくさんの人に観てほしいです。

いつものMOMOTAROと今回

どっちが好きですか?(神木優の)ノーマルの桃太郎さんと。まあでも、ものが違うもんなー。

ーそうですね。全然別物だから、甲乙つけがたいですね。私山梨公演で観た即興劇もすごく好きでした。あれは頭の回転の速さが際立つというか。

あれはその土地土地でおもしろいんですよ。地名とか時事的なネタが多いんですけれども、どこでもだいたいおもしろくなりますね。

いやあ、90分一本勝負は本当に大変でしたね。あんなに長い尺は。
臣太朗さんに書いてもらったシナリオ、他にもあるんですけど、それは一本17分のお芝居で、33役のお芝居だったんです。

ー33役…!

実際こないだより役数は多いんですけど、それでも17分ですから。なんとか身体がもつんですけど、今回のはね…。もたないですよね。15分でバテ始めて、「やべえ飛ばしすぎた…マジで飛ばし過ぎてる…」って。

ーあはは(笑)ほんと汗がすごかったですね。

汗はしょうがないですね~。あれ最後Tシャツ絞ったら水出てきました。

ー出ますよね。だってお尻まで濡れてましたもんね。

そう!(笑)
あれ変なとこ濡れてましたね。なんであそこ濡れてるんですかね(笑)
そういう座り方してたのかな?

ーピンポイントでしたもんね(笑)

あれおもしろかったな(笑)

90分一人芝居のセリフを1週間で覚える…!?

ー話変わっちゃいますが、セリフってすぐ覚えられるものなんですか?

覚えられないですね。覚えられないです。

ーえええええ!?(笑) だってあれ1週間ですよね?

覚えられないです。でも僕は結構早い方で。あれは1週間。71ページ。2万9千何文字って言ってました。
人によって覚え方が違うんですけど、今回に限っては一人だから全部覚えるわけですよね。でも普通ってかけ合いだから、相手のセリフって覚えなくていいですよね。だから普通は相手のセリフをなんとなく覚えながら…録音しながらとか覚えるんです。

でも今回はずーっと一人だから、あらゆるところで喋ってました。ぶつぶつぶつぶつ言いながら。

どこかで打ち合わせがあって、家に帰るときに、例えば…歩いて2時間くらいのところは歩いて帰るんです。セリフぶつぶつぶつぶつ言いながら。そういうのを繰り返して覚えてたんです。

ーうわあ。

まあ大変でしたね。71ページ1週間って結構大変。しかも覚えきれてませんでしたから。最終的に完璧には覚えきれなかったんです。

でも、本当は臣太朗さんの台本で一言一句間違えないで言った方がおもしろいんですよ。

ーすごく考えられた台本でしょうしね。

台本って、一言一句きちんと言えた方がお客さんには伝わるから、本当は全部やりたかったんですけど、どうしても流れを覚える事を優先させちゃうから、ちょっともったいないことをしてたんです。

だからお客さんが笑い切れてなかったり、感動させられなかったところは少なからずあるんですけれども。

ーあぁ…あれ、みんな笑ってたけど、笑っていいのかなみたいな空気はありましたね。おもしろかったけど、みんな静かにしちゃってるし…みたいな空気は漂ってましたね。

途中から「これマジなやつだ」

最初は臣太朗さんのお話だからコメディだっていうのはみんななんとなくわかってるんでしょうけど、途中から笑い声がピタッと止まりましたもんね。「これマジなやつだ」みたいな。

ーでしたね。

たぶんなんですけど、僕が汗かきまくってるから、あんな姿見てたら笑えなかったんだと思うんですよ。で、当日のパンフレットにも「演劇はスポーツです」って書いてあったから、あれを見て「これガチなやつだ」って。

で、僕が目指したかったのって「マラソンの感動」なんです。マラソンってなんでか知らないけど観てると感動するじゃないですか。それを演劇でもできるんじゃないかなって。それを目指したかったんです。

力尽きるまで出し切ったときに、お客さんの心に何が残るんだろうかっていうのを見せたかったんですよね。だから内容も大事ですけど、そういう「熱量」っていうのを出し切りたいなって思ったんです。

ー…ね!あの熱量ですよ!もうスポーツっていうか、格闘技的な域でしたよね。スポーツっていうとなんだか爽やかな感じですけど、もっとなんていうか「熱量」が。

うんうん!そうかもしれないですね。泥くささがね(笑)
ぐっちゃぐちゃだったもんなあ。

ーでもそれが良かったですけどね。だから、あれはDVDで出たら欲しいなって思ったけど、あれはDVDじゃ伝わらないなって。あれは生で観ないと。

伝わらないですよね。客席何往復するのって(笑)

ーね。後ろの方まで。すごかったです。

一言言っちゃ帰ってくる、みたいな(笑)
終わればね、全部楽しいんですけどね。やってる時は地獄でしたね。ほんとに。

ーそうですよね。

後半に続きます!

…という、想像を絶するレベルのアツい裏話でした。失敗が多かったのはどうかな…と仰っていましたが、これはむしろ優くんの「舞台に対する熱量」ゆえなんだなということがとんでもなく伝わりました。

そしてまだまだ続きます。この後、物語のネタバレ的なお話も飛び出しますので、後半もお楽しみに!

◉「PEACH FOR ALL ALL FOR PEACH」の裏話…桃太郎俳優®神木優くんに聞きました!(後編)

はこちらから。

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ほりたみわ
クリエイター(イラスト、漫画、熊手、ヒーリング、瓦職人) チーママをやっていたスナックランデブーは魂のかたわれ、はるじが肉体の衣を脱いだことにより閉店しました。ときどき企画&プロデュサー。どこにも偏り切れないカラフルな人。