春はタケノコ。
竹林の生命力だ。
やっと土から頭を出したばかりの穂先を、目を皿のようにして見つけ掘り起こす。
1年ぶりのタケノコ掘りはすっかり勝手を忘れ、1つ掘るのにもずいぶんと時間がかかる。
掘っても掘っても邪魔なのだ。周りの木々の根が。
根を掘ってるんじゃなくてタケノコを掘りたいんだ!!!
次のタケノコを見つけたぞという声が聞こえたので、見えているところだけでもういいやと鍬を振り下ろしたら、タケノコは横に曲がっていて器用に鍬を避けていた。
何だと!!!
怒ったところでタケノコは知らんぷりである。
ずいぶんとへそ曲がりのタケノコであった。
曲がった先を掘りなおし、なんとか1つのタケノコを得る。
曲がるタケノコも曲がらないタケノコも、等しく美味しい筍ご飯となった。
