DJ AKKY 人生は選曲だ!(51)Ooochie Koochie武道館ライブは高校時代の軽音の部室だった!?

部室 武道館へようこそ

Ooochie Koochieの武道館公演に足を運んだ夜、僕はただ音楽を聴くだけではなく、その場に流れる時間や空気を全身で味わっていました。ステージに立つ奥田民生と吉川晃司。長いキャリアを重ねてきた熟練者でありながら、まるで初めてギターを手にした少年のように自由でした。

先日発売されたアルバムからの楽曲に加え、世代にはど真ん中のディスコ・カバーで序盤から会場を一気に温めてくれる。ミラーボールの光が天井から降り注ぐと、観客は自然に体を揺らし、手を叩き、声を合わせる。年齢も立場も関係なく、誰もが「音楽を楽しむ者」として一体になっていく具体的な曲名はここでは控えるけれど、さらにもう一つのカバー企画もあって、歌い手が変わると聴き慣れた曲がまた違う表情を見せてくれることに驚かされました。

曲の合間に交わされる二人のトークは、まるで高校時代の軽音部の部室の会話のようでした。体育会系の「気合いだ!」ではなく、「ギターやディスコ最高!」と笑い合う文化系の雰囲気。武道館がライブハウスというよりも、音楽部室に変わってしまったような親しみを感じました

いやぁ、本当に楽しかった。ギター久しぶりに演奏したくなる

仲良い二人の部室トークはこの映像で感じ取ってください。

「なりたい自分」に向かってひたすら前へ

これまでの僕は「なりたい自分」に向かってひたすら前へ進むことばかり考えてきました。夢に向かって走り続け、失敗も成功も経験しながら、とにかく進むことこそが人生だと思っていたのです。でも振り返ってみると、人生は直線ではなく、大きな円を描き、ぐるりと原点に戻ってくるものだと気づきます。そして戻ってきた景色は、同じ場所のように見えても確かに少し高く、広くなっている。まるで螺旋階段を登るように、同じ原点に立ちながらも、僕らは上へと進んでいるのです。

そのことを、還暦だけど新人バンド――Ooochie Koochieが全身で示してくれました。

ギターやマイクを通して音を重ね合い、笑い合いながら生まれていく音のひとつひとつが、観客と瞬時に共鳴していく。僕たちの拍手や声はステージに返り、再び会場全体を揺らす。音と光、人々の心が重なり合う循環。その武道館での光景は、人生の哲学を目の前で見せてもらったような時間でした。

一周。還暦になるということ

人生は進みながらも、ぐるりと回り、時に原点に戻る。それでも僕らは必ず少し高い場所に立っている。そして、音楽はその歩みを柔らかく支え、照らし、祝福してくれるのです。あの夜、二人の笑顔と会場全体が奏でた共鳴の瞬間は、まさに“祝祭”そのものでした。

ちなみに「Ooochie Koochie」という名前の由来は、広島弁の「おちこち」。意味は「遠いところと近いところ」「あちらこちら」「将来と現在」「昔と今」。それを知ってからアルバムを聴き返すと、1曲目〈おちこち〉の歌詞がすっと心に染み込んできました。――あぁ、そういうことか、と。これこそが「還暦になる」ということなのかもしれません。

僕自身もあと数年で還暦を迎えますが、このライブを経て、還暦を迎えることが楽しみになってきました。

というわけで「セットリスト」

武道館2日目も終わり、残すは12月31日の広島グリーンアリーナを残すのみ。

きっとこのリスト通りじゃないと思うけど、少しでも楽しさが伝われば。ギターを久しぶりに練習しようかなと思う曲群です。

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