高志の国文学館(富山県富山市)で開かれている「あなたが知らないシンデレラ展」に行ってきた。今回はそのレポートである。
高志の国文学館について
高志の国文学館は、富山県ゆかりの作家・作品を紹介するとともに、学びや新たな創作を刺激する場として、2012年、富山市の市街地にオープンした施設だ。

美しく整備された庭園のあるゆったりとした構えで、専用の駐車場やレストラン、ミュージアムショップも併設されている。

また、富山駅からのアクセスもよく、公共交通でのアクセスも便利だ。
「あなたが知らないシンデレラ展」とは?
起業家・川田雅直氏のコレクションをもとにしたシンデレラ関連資料の展示で、18世紀からはじまる絵本やポスターなどの紙資料に加え、再現したシンデレラのドレスや本物のガラスの靴に至るまで、多彩な資料を多角的に鑑賞できる展示である。
いざシンデレラの世界へ

高志の国文学館の静けくいかにも厳粛な扉を抜けると、広々とした空間になっている。そのまっすぐ奥が企画展会場だ。その入口の前に、ひときわ目を引くものが展開されている。

巨大な仕掛け絵本だ。これは実際の展示資料から再現した撮影スポットで、人が入って行って楽しめるようになっている。同行したむがじんライターのおみそ氏にも入ってもらって、記念写真を撮影してみた。ファンタジーの中に迷い込んだようである。

シンデレラのドレスと、ガラスの靴
展示室に入ると、まず、豪華な色彩が目に入る。子供の頃にあこがれたような、きらびやかなドレスである。

これも古い資料から再現されたもので、正に「絵本から抜け出てきたような」衣服である。勿論、本当に人が着られるような作りとなっている。生地や作りも見るからに上質で、ファッション好きにとってもうっとりできるような展示だ。

そこには吹きガラスで作られた本物の硝子の靴も置かれている。日本の「なかむら硝子工房」製と書かれていたが、学芸員さんにお聞きしたところなんと市販されており、自分のサイズでオーダー注文ができるという。うう、欲しい……


各国の美麗な古い絵本たち
シンデレラの夢の拡がり
この豪奢な衣装を取り囲むように、世界各国の資料が展示されている。フランス・イギリス・ドイツをはじめ日本やベトナム、赤道ギニアまで10か国以上にもわたるコレクションだ。シンデレラはかくも世界中で愛されているのかと感心する。
そんなシンデレラの源流の1つとも言えるのがフランスのペロー童話であるが、この展示では、そんなペロー童話の、18世紀前半に刊行された版を目にすることができる。この頃はまだマリーアントワネットも生まれていない。もしかしたら、悲劇の王妃もシンデレラを読んで育ったのだろうか?
そんなシンデレラは英訳されてイギリスでも受け入れられていくが、その背景には、19世紀に増加した家庭教師や使用人として働く女性たちの結婚に対する憧れがあったともいう。人の世の願いを受けて、シンデレラの物語は広まっていったのだろう。
そして、有名なディズニーアニメをはじめとした様々な映画、ロシアバレエや宝塚を通して物語は反復され、翻案されて今も愛され続けている。そのことが、展示室に飾られたたくさんのポスターや関連グッズを通して語りかけられているようであった。俺ももっと愛されてえよう!
展示・会場データ
高志の国文学館
富山県富山市舟橋南町2-22
9:30-18:00(観覧受付17:30まで)火曜休館
TEL.076-431-5492
あなたが知らないシンデレラ展
2025/9/13-2025/11/24
一般500円 大学生250円 高校生以下無料
※メタバースアプリ「クラスター」上でもシンデレラ展を開催中
クラスター内で「シンデレラヴィレッジ」と検索
https://www.koshibun.jp/?tid=100967
※展示室内の写真は、許可を得て撮影しております。
文・写真 菊池あき





















