【むがもん】ワカメを持て余す。

mugazine×文字=むがもん。
ルールはたったひとつ、文字のみであること。

ワカメを持て余す。

そう、私は今、ワカメを持て余している。

 

4月末日、知人から鳴門の塩蔵生ワカメをたっぷりと頂いた。
鳴門とは四国にある徳島県の地名だ。“鳴門の渦潮”で有名なあの鳴門のワカメだそうで、

鳴門の渦潮を生み出す激しい激流で育った鳴門わかめは、シコシコとした歯ごたえと風味の良さが特徴です。徳島県物産協会HPより引用)

とのこと。
ワカメが鳴門の特産品だということは全く知らなかったのだが、ワカメは大好物である。

 

逆に、鳴門に対してはあまり良いイメージがない。
これは中学時代に所属していた剣道部が原因だと断言できる。

徳島の隣県である香川県の中学生だった私は、遠征や合同練習というと徳島にまで連れて行かれていた。
朝まだ暗いうちからバスに揺られ徳島の鳴門まで行き、夕方まで他校の生徒とひたすら稽古、家族が夕飯を済ませた頃に帰宅する。

正直、楽しくなかった。
こんな強行軍を楽しめるほど剣道に打ち込んでいなかった。
そもそも私は剣道を楽しいと思ったことなんて一度もなかった。

転校してきたばかりの私に「何部に入る?」と即答を求めた教師は一体どういうつもりだったのだろう。
大人の圧力に耐えられなくなった私は、転校前の学校で体験入部をしたからという理由で剣道部を選んだ。
前の学校では漫画研究部に所属していたのに、だ。

楽しかったなー!漫研楽しかったなー!!!!

 

そんな鳴門への逆恨みも年々薄れつつあったのだが、徳島県物産協会HPの「激しい激流」という言葉によって果汁1%くらいにまで薄まった。
それでも不思議としっかり果汁の存在を感じるようにできている果汁飲料と同じく、鳴門への憎しみは死ぬまで存在感を失うことはないだろう。

 

 

話が逸れまくったので戻す。

 

タコとワカメの酢の物は子どもの頃からよく食べていて「酢の物といえばタコとワカメ!」という認識だったのだが、結婚以来、夫が酢の物を好まないせいで作らなくなってしまった。
そんなわけで、我が家のワカメ料理の定番はワカメと玉ねぎの味噌汁である。ぶっちゃけワカメを使う料理は味噌汁しかないレベルの定番である。

つまり、私は今、ワカメを持て余している。

もともと料理は好きではない。
いかに労力をかけずに毎日の食事をやり過ごすか、それだけを考えて台所に立っている。
レパートリーを増やそうなどという努力はしないし、夫のリクエストに応えるのは10回に1回あるかないかだ。

そんな私が思いつくワカメ料理と言えば……
味噌汁・タコとワカメの酢の物・若竹煮・ワカメごはん・海藻サラダくらいである。

そして私がこの1ヶ月で実際に作ったのは……
味噌汁・ワカメごはん・海藻サラダ・ワカメうどん・ワカメと山芋のごまポン和え。

ワカメと山芋のごまポン和えは、料理レシピサイトを見ていて「簡単でうまそう」だったから作ってみたのだ。
短冊切りにした山芋をワカメとごま油少々とポン酢で和えるだけ。簡単でうまかったからワカメ料理の定番に加えてもいい。

 

そもそも鳴門のワカメがうまい。
コリコリとした歯応えと絶妙な塩味、そのまま食べてもめちゃくちゃうまい。

こんなにも美味しいワカメが獲れるなんて、鳴門の渦潮も伊達に渦巻いていない。
高校1年の遠足で船に乗ってまで見に行かされた鳴門の渦潮の凄さが、今やっとわかった。

私の鳴門への逆恨みがなかなかに根深いものだということも、今やっとわかったような気がする。

 

 

さて、私は今、ワカメを持て余している。

塩蔵生ワカメは冷蔵庫で保管していれば半年くらいは保つようだし、今はまだ持て余していても大丈夫だろう。
激しい激流で育ったワカメをゆっくり楽しむとしよう。