統合失調症と家族の選択を描いたドキュメンタリー映画
観終わって席を立とうとした瞬間、涙がぶわっと溢れてきた。嗚咽が止まらなかった。
映画を観ている最中は、正直なところ「このまま続くと眠たくなるんじゃないか」と思った瞬間もあったし、なんだかじっとしていられず、ずっとそわそわしていた。
なのに。
観終わった瞬間、それまで自分の中に積み重なっていた何かが一気に溢れ出した。こんなに涙が止まらないとは思わなくて自分でもびっくりした。
統合失調症と家族の選択
家族の選択が、誰かの人生を大きく左右することがある。
映画『どうすればよかったか?』は、統合失調症を抱えた姉とその家族の20年間を記録したドキュメンタリー。カメラを回し続けたのは、主人公の弟であり、本作の監督である藤野知明。
彼は、姉の発症から両親の選択、そして家族の変遷を見つめながら、問いかけます。
「あの時、別の選択をしていたら、何かが変わっていたのだろうか?」
これは決して他人事ではありません。人生には、誰にでも「ターニングポイント」があります。
この映画におけるターニングポイントは「姉の統合失調症」という一見すると特別なものに見えるかもしれない。でも、家族の幸せを考えるとき、わたしたちは皆、どこかで「どうすればよかったか?」と自問するのではないのでしょうか。
観る者に問いを投げかける
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この映画が評価される理由の一つは、「家族の姿をありのままに記録している」 こと。
ナレーションや過度な演出はない。ただカメラがそこに在り、家族の選択を淡々と映し出していく。そのリアルさが、観る者に「自分ごと」としての実感を与えています。
映画の中では、家族がどのように選択を積み重ね、それがどんな結果をもたらしたのかが描かれます。
観客の間でも、さまざまな議論が生まれていたようです。
- 病気を認めない両親の選択は、本当に間違いだったのか?
- 家族の「正しさ」とは何なのか?
- もし自分が同じ立場だったら、どのような決断をしただろうか?
どれも簡単には答えが出ない問いばかり。
家族の選択が映し出すもの
ひとつひとつのシーンが、「この家族の選択は、果たして間違いだったのか?」という問いを観る者に突きつけます。
予告映像を見ただけでも、家族の閉ざされた空間とそこに漂う張り詰めた空気が伝わってきますが、本編では、それがさらに生々しく感じられます。
観終わってわかったこと
この映画には、明確な答えは示されていません。
ただ、家族の選択の積み重ねが、どのような結果をもたらしたのかを静かに映し出すだけ。
統合失調症という病気が、単なる医学的な問題ではなく、家族の在り方そのものに影響を与えるものだと描いているようにも見えます。
ですが、わたくし的には「家族の在り方そのものが統合失調症という病気を生み出しているのでは……」と思わずにはいられない作品でした。
観終わった後、
「もし自分の家族だったら、どうするだろう?」
「どうすればよかったのか?」
映画を観ながら、そんな問いを抱くだろうなと思ってました。でも、実際に観ている間は、淡々と画面を見つめるばかり。
そして、ラストシーンを迎え、席を立とうとした瞬間に涙が溢れたんです。今、この記事を書いている間も、涙が止まらない。
この感情は何なんだろう。
観終わって数日経ってやっと落ち着いて自分の気持ちに向き合えるようになってわかったこと。
監督や両親の立場で観る人が多いであろう中、わたくしはお姉さんに自分自身を重ねていたんです。自分も一歩間違えたらああなっていたのかもしれないなって。
自分自身はそうならずにいた安堵(とはいえ別の精神的な状態はあったりします)と、そうなってしまったお姉さんへのやるせなさ。
そんな気持ちが涙になって溢れてしまったんです。
まとめ 誰の立場で観ているかで自分を見つめるきっかけに
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『どうすればよかったか?』は、家族の選択の難しさを突きつける映画でした。でも、それは決して「特別な家族」の話ではないと思うんです。
誰にでも、「どうすればよかったか?」と考えてしまう瞬間はあります。
この作品、人によっては家族の側ではなく「お姉さん」の立場に自分を重ねて観ることもあるんじゃないかと思います。
この映画を観ることで、自分自身の過去や選択を振り返るきっかけになるかもしれない。
重く、苦しく、けれど決して目をそらしてはいけない映画。
ぜひ、多くの人に観てもらいたい作品でした。