奇跡を追い求めるなみなさまこんにちは!奇跡には出会えましたか?
富山の山奥・利賀村で『火の鳥』を手塚るみ子さんと観てくるという奇跡が起きました、わたくしほりたみわ時々多神和です。
まず叫ばせてください。「こんな素晴らしい世界が存在しているなんて!」
今回は手塚るみ子さんからお声掛けいただき、ご一緒に観劇させていただいたのです。観劇だけに大感激!(ダジャレになっててなんだかすみません)
この記事では、SCOTサマーシーズン2025『火の鳥 異形編』での体験を、わたくしなりにレポートいたします。
SCOTとは?「お志」で支えられる演劇

SCOTは、演出家・鈴木忠志さんが1976年に利賀村へ拠点を移し誕生した劇団。合掌造りの劇場を舞台に、国内外の演劇人が集う国際的な拠点です。
活動はすでに約50年。
そして2013年からは、観劇料を〈ご随意に〉——観客の心に委ねる仕組み——へと切り替えました。値段ではなく、信頼で続いていく演劇のかたちです。
わたくし自身も、いま同じ在り方を選んで活動しています。値札ではなく、心と心のやりとりとして表現を手渡すこと。
そんな道を、利賀で半世紀の営みとともに歩んでいる方々がいらっしゃると知ったとき、「ひとりじゃない」と胸の奥が温かくなりました。
合掌造りの劇場と異形編のシンクロ

会場は合掌造りを改装した劇場。開幕前からもう異形編の世界に足を踏み入れた感覚でした。
観客は老若男女200人ほど。真っ暗になった瞬間、さらに異形編の世界に没入。二人芝居で進む物語に、最初と最後で見せ方が替わる左近介と尼御前のやりとり——ここは一番心をぐっと掴まれました。
漫画を読むのとも、映画で観るのとも違う。「五感で全身を預ける没入感」 がそこにはありました。
手塚治虫×舞台=相性の良さ
終演後、るみ子さんがおっしゃってましたが、手塚作品と舞台の相性の良さはたしかにと頷くばかり。しかもこの異形編を利賀で観れたことは本当に貴重な体験でした。
漫画『火の鳥』は一コマごとに立ち止まってしまうほど圧倒的。わたくし『火の鳥』は特に読み進められないんです。
気高く美しい存在でありながら、手塚治虫のタッチが生むかわいさも宿る火の鳥の圧倒的ビジュアル。
今回の舞台ではそのビジュアルこそありませんでしたが、 舞台を通して目の前に感じることができました。
るみ子さんと観た奇跡

手塚るみ子さんと隣で観劇できたこと自体が大感激。(ダジャレで本当にすみません)
「父・手塚治虫が大好きだった」と公にも語られているるみ子さん。そのまっすぐな想いとともに舞台を観られたことで、わたくしにとっては「芸術の神聖さ」と「家族の親密さ」が重なって感じられました。
SCOTの「お志で続く営み」と、手塚作品の「人間と宇宙をめぐる壮大な物語」。二つの時間軸が利賀で交差した瞬間は、まさに奇跡でした。
わたくし自身の火の鳥体験
『火の鳥』は、読むたびに没入しすぎて前に進めない作品。
今回の「異形編」は、時間がぐるぐると巡ります。一人の不思議な人生の巡りなんですが、そこに輪廻転生を想わせます。
利賀という土地のエネルギーと舞台の呼吸が重なり合うことで、ただの舞台化を超えて、自分も異形編の世界の中にいるような体験になりました。
まとめというか余韻

『火の鳥 異形編』は9月7日で幕を閉じました。けれど、利賀で続くSCOTサマーシーズンは9月14日まで続きます。
今回の観劇を通して、舞台そのものだけでなく「お志で活動を続けてきているSCOTが利賀にある」という事実に、わたくしは胸を打たれました。
富山に来てからですら存在はうっすら知ってるけど……というくらいの認識でしたが、今回のことをきっかけにもっと知りたいと思いました。本も買ってきてじわじわ読んでます。
利賀芸術村は本当に特別な場所。ここでしか出会えない表現があり、ここでしか育まれない時間があります。
そして何より、るみ子さんからお声掛けいただき、ご一緒させていただいたことに心から感謝しています。このご縁と体験は、わたくしの人生にとってかけがえのない「灯」になりました。
SCOTという名前を知るだけでも、世界の広がりは変わる。
利賀という地にこんな演劇があることを、ぜひ心に刻んでほしいのです。