湯川真紀子のコトワザ・ジャイアント
お笑い芸人、湯川真紀子が諺や慣用句など、こすられまくった喩え言葉についてニヤニヤしながら書いています。
「味噌をつける」
「味噌をつける」という慣用句がありますね。
失敗して恥をかくこと、評判を落とすこと。
「あーあ、味噌つけちゃったね。」
昔は、やけどの特効薬として味噌を塗ったそうで、そこから転じて「味噌をつける」。
江戸時代、かんざし職人は火を使うことが多く、うっかり者はしょっちゅうやけどをしては味噌をつけていたそうで、すなわち、腕あたりに味噌をつけがちなかんざし職人はうっかり者。
A=B、すなわち、B=A。
四六時中味噌。
やけどに味噌をつけたらさぞかし痛いだろうなあ。
ヒリヒリする。
やけどが痛いところへ持ってきて、味噌のヒリヒリ。
だけど、味噌をつけると治りが早いからな。我慢しなくては。
カチカチ山のタヌキもやけどのあとに味噌を塗られたではないか。唐辛子入りのやつ。
痛いよぅ。痛いよぅ。
まあ、火傷するとか、包丁で指先を切っちゃうとか、なんにもないところでつまずいちゃうとか、遅刻遅刻ーって走ってて曲がり角で転校生とぶつかっちゃってアイタタターってなっちゃうのは、よくある不注意。不注意からのなかなかの大ダメージ。
その大ダメージのところではなく、味噌をつけるという治療法で大ダメージのことを想像させているところが奥ゆかしいではないですか。
「味噌をつける」を現代風に言い換えるならば、「氷水で冷やす」「絆創膏を貼る」「冷却スプレー!冷却スプレー!!」「キズパワーパッドでなんとか・・・」「わたしはオロナインを信じている」「傷口にキンカンは塗っちゃダメ!」「赤チンってなつかしいなぁ」みたいなことでしょうか。
味噌をつけたらなんでもおいしい
さて。
とは言え、味噌をつけたらなんでもおいしい、というのも一方では真実であります。
あーおいしいなー。しみじみおいしい。
しみじみおいしいだけじゃない。お皿の端に味噌がちょこりと乗せてあったらちょこりとテンション上がる。
きゅうりはもちろん、焼きトン、焼き鳥、キャベツ盛り。
イェーイ!!
おにぎりに塗って焼くとか、もう最高!
あー、味噌っておいしいなあ。
味噌汁もおいしいし、サバの味噌煮、ナスの味噌炒め、味噌ラーメン。
やべーテンション上がってきた!!!
あのねー、わたしは、朝ごはんの味噌汁の味噌が浮遊し、そして次第に沈殿していくさまを眺めては遅刻するような子供だったのですよ。
ああ、味噌って素晴らしい。
「そこがミソ!」って言ったりするじゃないですか。
自慢できるところとかポイントを、「そこがミソ!」って言う、例のアレ。
「このサバの味噌煮、超おいしいー!」
「実は、いいショウガ使ってるんですよ。」
「そこが味噌だねっ!!!」
イラスト:ほりたみわ