最近よく花に話しかけるようにしている。何も言わないよりはいい気がして。というのも、花はちゃんと聞いていると分かったから。私の声や、誰かの言う言葉を。
花はちゃんと聞いている
某月某日、東京へ帰ることにしたものの、何も考えずに買い物を済ませた私は焦っていた。やべ、数日も家を空けるのに花とか食材とか買っちゃった……。
焦って食材を煮込んだらカレーになり、冷凍することでことなきを得た。しかし花だ。どうすんのこれ。枯れちゃうじゃん。
枯れた花を撮っている身ではあるが、わざと花を枯らすような人間ではないので結構焦った。悩んだけれど、ご近所さんの多神和さんにお願いして預かってもらうことにした。
しかし、この暑い時期にこの方々は生きていけるのだろうか。もう会えないかもね。なんて思いつつ、花瓶ごと車に乗って花を預けに出発した。
「みんなごめんね、私はちょっと出かけなきゃいけなくて、みんなと一緒にいられないんだ。でも安心してね、大切なお友達にみんなのお世話を頼んでおいたから。またみんなに会えるか分からないけど、大好きだよ。愛してるからね。綺麗に咲いてくれてありがとう」
そんな感じにイチャイチャして、少し前に流行っていたJames Bluntの「You’re Beautiful」が聴きたくなったのでSpotifyでかけながら多神和さん宅に着いた。
気持ちの整理もついたし、枯れてどうしようもなくなってもまあいいだろうと思って東京に出発した。
花もおうちに帰りたい
数日後、多神和さんに明日帰りますと連絡を入れると、「お花さんたち寂しがってましたよ」との返事が。さらに「おうち帰りたいって」とも。
え!!???あの子たちそんなこと言ってたの!!?ツンデレ彼女の本音を聴いた気分で舞い上がるわたし。
「お迎えが来るまで待っててね」と多神和さんが花たちに伝えてくれていたのだとか。
多神和さんのところに預けに向かう車中、私が話しかけた言葉を花たちは聞いていたんだと確信した。みんながんばっていたんだ。胸に込み上げてくるものがある。ちゃんと伝わっていたんだ。嬉しくてちょっとウルっときてしまった。
高岡に戻って花たちと再会し、感激。お前たち!!!よく生きてたよぉ!!
しかし、脱落者が一人、いや一輪。ひまわりが盛大に散っていた。残念だけど、君はここでバイバイするね。と無情にも別れを告げた。
だって、持って帰るまでにさらに散り散りになっても困るし……。(そこでお別れしたことをその後に少し後悔した)
かくして無事に我が家に帰ってきたお花たち。撮るために買ってきたわけではないし、ただ一緒に時を過ごしてお別れをした。この花たちに限っては、お別れの時すらもちょっと泣いた。
実はこの花たちとの出来事は自分の中でちょっとしたターニングポイントになり、改めてちゃんと花と対話しようと思い直したのだった。
一人で花に「綺麗だね」とか「可愛いね」とか語りかけるのには少し小っ恥ずかしさもあるけれど、これはもう盛大に言っておいた方がいい。
ちなみに今飾っているお花に、今朝はどんな曲が聴きたいか聞いてみた。クラシックだったので、たまたまXで目に入ったバッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調とかいうのをかけている。へえ、いいじゃん。
花の声、みんなも聞いてみて。
