【ちぃろのみちくさ電子版】2018年5月/大阪城公園で出会った植物たち【アジサイ・シモツケ】

梅雨といえば、アジサイ。

心地よい日差しと風を感じる春があっという間に過ぎ去り、ジメジメと鬱陶しい梅雨がやってくる。大阪はまだ梅雨入り宣言されていないようだが、今日もシトシトと雨が降っている。こんな天気がこの先続くのかと思うと、衣類乾燥機が欲しくなって仕方がない。幸い布団乾燥機は手に入れたので、湿った布団で寝苦しい夜を過ごすことは回避できそうだ。

雑誌mugazineの2017summer号でも取り上げたが、今回はアジサイ写真を垂れ流すことにする。

ひきこもり主婦の強い味方である大阪城公園には、“アジサイ・ウツギ園”という場所があるのだ。「あるのだ」とか言っておきながら、この事実に気づいたのは3日前である。普段まったく行かないエリアにあったので、気が付きもしなかった。

大阪城パークセンターHPより拝借した公園案内図

アジサイ・ウツギ園は我が家と正反対の位置にあり、ひとりで出かけるのはなかなか難しい。いや別に、道順がわからないとかそういうことではない。「ちょっと遠くて行く気にならない」という、ひきこもりのわがままである。外周を自転車で走ればたった15分程で行けるのに。
ちょうど旦那の休日の予定が空いていたので、連れて行ってもらうことにした。あいにくの曇り空だったが、アジサイには本来なら雨が似合うのだ。

 

若干、わかりにくい場所にある。

今回は大阪城公園の中を突っ切るのではなく、外側からぐるっと回りこんでアジサイ・ウツギ園へ向かった。大阪城公園駅からスタートし、森之宮駅手前で大阪城公園に沿って右折。そのまま真っ直ぐ走り、バスの駐車場入り口辺りで公園内へと入っていった。公園内に入ったものの、アジサイ・ウツギ園の案内看板が見当たらない…梅林の案内看板はあるのに、アジサイ・ウツギ園の扱いの雑さに悲しくなった。

ふらふら歩いていると、アジサイの花がぽつんと咲いているのを見つけた。「この辺じゃね?」と地図を確認していた旦那が言うものの、寂し気に咲く一株以外のアジサイは見当たらない。これで「アジサイ・ウツギ園」などど言うのであれば、それは立派な詐欺である。
期待値がかなり下がった状態で、とりあえず歩き続ける。すると、小さな水辺の周りに少しずつアジサイの姿が見えてきた。

和名:アジサイ(紫陽花)/学名:Hydrangea macrophylla (Thunberg)

咲いていた。いろいろな種類のアジサイの株が、水辺周りの遊歩道にたくさん植えられている。きちんと整備されて規則正しく植えられたアジサイを見ると興醒めしてしまう私だが、アジサイ・ウツギ園のアジサイたちはいい意味で大雑把に植えられていて、なかなか好感が持てる。

ガクアジサイ(額紫陽花)
斑入りのガクアジサイ(額紫陽花)

まだ少し時期が早かったようで満開とまではいかないが、これから見頃を迎えそうなのでmugazineの記事にするにはちょうどいいタイミングだろう。

 

ここに来た理由。それは…

さて、なぜ私がわざわざ旦那に連れてきてもらってまで大阪城公園のアジサイ・ウツギ園へ足を運んだのか。その理由はたったひとつ、「墨田の花火」が植えられているからだ。

スミダノハナビ(墨田の花火)/ガクアジサイの園芸品種

mugazine本誌でも触れたが、私はこの「墨田の花火」という園芸品種が大好きである。色も形も名前も、どれもたまらない。
今年は苗木を購入してベランダで墨田の花火を楽しもうという計画もあったのだが、のんびりしているうちにネットショップで目を付けていた苗木は売り切れていた。っていうか、ネットで苗木を購入したことがないので二の足を踏んでいた。だからと言って園芸店に出向くのはひきこもりにはハードルが高い。そもそも近所に園芸店がない。

大阪城公園にあるんなら、もうそれでよくね?

夜空に大輪の花火が咲くように、スミダノハナビは濃緑の葉の中に薄く桃色に色づいた額を広げている。本当にかわいい。
かわいいし、きれいだし、凛としてるし、楚々としてるし、趣も情緒もあるし、なにこれほんとスミダノハナビすげぇ。すげぇ好き。

アジサイ・ウツギ園での滞在時間は30分程だったが、10分以上はスミダノハナビに張り付いていた。旦那はじっと待ってくれていた。蚊に食われながら。

 

そして、運命の出会い。

アジサイ・ウツギ園は、人工の小川の周りをぐるっと一周できる遊歩道になっている。小川にはカモがいたり、水草が花を付けていたり、飛び石に乗って対岸へ渡れたりなど、なかなか素敵な場所だった。
ただ、植えられている植物がアジサイとウツギなので、地味さは否めない。私はどちらかというと静かな華やかさの方が好きだが、ここには「万人受けする華やかさ」というものはない。

そんな中、アジサイ・ウツギ園から少しだけ視線を天守閣方面に向けたところ、一面が桃色に染まる植え込みを発見した。

和名:シモツケ(下野)/学名:Spiraea japonica

この花を見た瞬間、私は「キョウカノコ(京鹿の子)だ!」と大喜びして、写真を撮りまくった。旦那は「なんで名前わかるの?ほんとに?」と言いながら、植え込みの周りを歩いて名札を探してきた。
「シモツケって書いてあるよ」

大丈夫。後で調べてみたら「シモツケの園芸品種がキョウカノコ」ってわかったから。私の名誉は守られている。

そんなことはどうでもいい。シモツケのこのかわいさはなんなのだ。ふわふわもじゃもじゃとした雄しべもさることながら、まるで手毬のような蕾のかわいらしさにハートを鷲掴みにされた。
このわかりやすいかわいさはやはり万人受けしやすいようで、アジサイたちよりも注目を集めていた。でも、「もっとよく見て」って思う。「上から見下ろすだけじゃなくて、植物の目線になって見て」って思う。「こんなにかわいいんだから」って。

シモツケ、私の植物図鑑にまたひとつ新しい植物が仲間入りした。来年も会いに行こう。

 

さぁ、梅雨を楽しもう。

第二回となる「ちぃろのみちくさ電子版」、いかがだったろうか。

アジサイは、とても身近な植物だ。少し意識するだけで、簡単に出会うことができるだろう。赤、青、ピンク、白など、遠目では一色に見えるアジサイも近づいてみるとその色の多さに驚かされる。さまざまな色が混じりあい、なんとも言えないやわらかな色味を表現していることに気づく。

アジサイを景色として楽しむのももちろん素敵だが、ぜひ、顔を寄せてみてもらいたい。

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