選曲は人生そのもの
この連載も、ついに50回目を迎えました。数字そのものに特別な意味があるわけではありませんが、積み重ねてみると確かに節目としての重みを感じます。50という数は、音楽にたとえればプレイリストの長さを思わせます。序盤に流れを生み、中盤に深みを与え、終盤に余韻を残す――ちょうどその中ほどに差しかかった地点に、私たちは立っているのかもしれません。
ある曲を聴くことで、過去の出来事やその場の匂い、空気感までもが鮮やかに蘇ることがあります。逆に、ある瞬間を迎えると、その出来事にふさわしい音楽が自然に思い出される。音楽と人生とは、そのように互いを映し合う関係にあるのです。
50回目のテーマ 「夜明け」
夜明けとは、一日の始まりであると同時に、暗闇の終わりでもあります。長い夜を越えて見る光は、単なる時間の移り変わり以上の意味を持ちます。たとえばクラブやライブハウスで夜明けを迎えるとき、音の余韻を抱えたまま外気に触れると、不思議な清涼感が訪れます。あの瞬間には、音楽が人生と日常をつなぐ架け橋として作用しています。
夜明けは希望の象徴であると同時に、決意の表明でもあります。これまでの夜を受け入れたうえで、新しい光に向かって歩み出す覚悟がそこには込められています。音楽はその過程に寄り添い、静かに背中を押してくれる存在です。ジャズのバラードにも、ソウルの名曲にも、あるいはシンプルな弦の響きにも、それぞれの人にとっての「夜明けの音楽」があります。
出会いと旅
音楽って、別に大きなステージやイベントだけのもんじゃない。何気ない日常の一瞬──たとえば街角で流れてきた曲とか、ラジオからふと聞こえてきた1曲が、一生忘れられない記憶になったりする。だから音楽って、みんなの心にあるアルバムに彩りを加えてくれる写真みたいな存在なんです。
僕はこれまで、連載を重ねるうちに改めて気づいたのは、「選曲」とは人生の歩み方そのものを音楽で表す行為=サウンドトラックである、ということでした。そう「人生のサウンドトラック」です。
このコラムも、みんなでそのアルバムを一緒にめくってるような感じだったのかもしれない。ある人にとっては青春の一曲だったり、家族を思い出す歌だったり、失敗や別れを支えてくれた曲だったり。それぞれのページを開けば、そこに音楽がちゃんと寄り添ってる。それは人生を演出するような「サウンドトラック」です
これまでもこれからも「人生は選曲だ!」
この50回目の節目に、読んでくださっているあなたへ伝えたいのは、文章もまた音楽と同じように「夜明け」をつくり得るのではないか、ということです。昨日までの自分をふと振り返り、明日へ向かう小さなきっかけを受け取っていただけたなら、コラムとしての役割は十分果たせるでしょう。
2020年2月22日に公開した 第1回 DJ AKKYの「人生は選曲だ!」
最後に、ここまで50回の連載を共に歩んでくださった読者の方々へ感謝を申し上げます。音楽も文章も、受け取る人がいて初めて存在の意味を持ちます。あなたが読んでくださったことが、私にとって何よりの励みであり、次の選曲への原動力となっています。
これからも共に進みましょう。半歩でも前に、一人ぼっちじゃない。
夜明けへようこそ。
新しい日々。「邦題:夜明けへようこそ」
1年に1回 音楽イベントを開催しています。回を重ねて今回は第6回!

このコラムでは何回も紹介していますが、2016年に突然他界してしまったプリンスのサウンドを中心に大音量でカラダごと「夜明け」を感じてもらうイベントです。毎年このイベントは満員御礼になりますので、お早めのご来場をお勧めします。(当日券のみ)ぜひご体験ください。
今回のセットリストは・・・
とは言ってもプリンスを聴いたことがない方も居ますし、オープニングアクトのナナイロを聴いた事もない人も居るでしょう。これだけ聴いとけば間違いない!というリストを共有しておきますね。上がプリンス。下がナナイロです。では当日にお会いしましょう。