【スノーボード】3000人以上を見てきたTAが超初心者から学んだこと

スノーボードから学ぶ、教えることから教わること

【スノーボード】3000人以上を見てきたTAが一人の超初心者に向き合って気づいたこと

今シーズン2018/12/24から、スノーボードを始めたひげすけが、滑り始めてあれやこれやで20回を過ぎた。

そもそもスノーボードを始めた理由は、単に上達したいわけではない。

本業はクリエーターで写真や映像を撮るのも好き、そんなひげすけがスノーボードを始めたのは、私の映像を撮りたい!そんな理由からだ。

そのためには私のように滑りたい。私になりたいという発想からスノーボードを始めた。

私はスノーボード歴35年目。テクニカルアドバイザーとしてこれまでに3000人以上を見てきたことで、これまでもたくさんの学びはあった。だが、ひげすけというスポーツとは無縁の日々を送っていたにもかかわらず本気でスノーボードと向き合う超初心者と向き合うことで、これまで得られなかった大きな学びや気づきを得ることが出来た。

正直…ナメていた

ひげすけの撮る写真やイラストは、芸術的センスの無い素人の私からみても、とても個性的で感性豊かで素晴らしいと思う。

そんなひげすけが、私を撮るためと言ってくれたのは嬉しかったが、当初私はそこそこ滑れるようになればいいくらいに思っていた。

それが回数を重ねるたび、ひげすけの考え方や練習の仕方が、これまで我流で積み重ねてきた私と、ものすごく似ていることに気づいた。そんなひげすけを見ていたら、昔の自分を思い出し、「そこそこ滑れるように」なんていう思いは私の中からなくなっていったのだった。

私がスノーボードを始めた17歳のころは、まだゲレンデでスノーボーダーを見かけることはほぼゼロに等しかった。スキー場へ行けばお金もかかるから裏山や河原の土手などで黙々と練習した。どうしたら真っ直ぐ滑れるか、どうしたら曲がれるか、今のようにインターネットもない時代だから、自分で考えひたすらに試すという、自問自答の繰り返しだった。

私の練習スタイルは「一歩進んで二歩下がる」の繰り返しから、ある時100歩200歩と一気に進むというようなスタイルだ。

気の長くなるような進め方ではあるが、進んだ時には自分の求める、確実な技術として身についていた。

私が言わなくても、ひげすけは自らそんな練習スタイルを選択している。

必要なことだけを聞き、納得出来るまで繰り返し自ら感じたこと気づいたことの答え合わせを、私に確認する。答え合わせがうまくいけば、次に何をすべきか聞く。

そんな練習スタイルを毎回目にすることにより、私も今後の教え方を改めることになった。

はるじになりたい!

最初その言葉を聞いて、まあまあ…くらいに思っていたが、ひげすけは本気だった。いや、じつにナメてかかっていた。

自分で見つけた、自分だけのスタンス

初心者から初級者では、なかなか自分で気づけないスタンスなんかも、ひげすけは練習の過程で見いだしている。運動に必要な自分に適したスタンス幅など自ら導き出している。

私はダックスタンス(両足をハの字に開く)で右足前、左足前の両方で滑るスイッチランをメインにしている。なのでツインチップという左右対称のボードで、左右対称のスタンスで乗っていて、スタンス幅も60cmと広めだ。2シーズン前くらいまでは、ずっと64cmで乗っていたが50代を迎えると同時に、膝への負担も気になり今のスタンスに落ち着いている。

一般的に男性の場合52~57cm辺りが多い。

スタンス幅が広いと膝への負担がかかりやすいのだが、ひげすけは現在52cmという女性にしては広いスタンス幅で乗っている。

だが、それによってこれまで感じていた膝の痛みも無くなったらしい。

そもそもこれにはエピソードがある。私の身長は176cm、ひげすけは158cm。これに対して私の股下は78cm、ひげすけの股下は74cm。

身長差18cmに対して股下差4cm。

くれぐれも言っておくが、私は決して短いわけではない。やや短い程度で…ひげすけの脚が長いのだ!

それならひげすけの導き出したスタンス幅もそれなりに納得出来るし、確かに見た目の窮屈さもなくなった。良い動きをするにはマテリアルへの不安や身体的な負担はストレスフリーでありたい。

このスタンスについても、人それぞれ骨格も違えば、左右に向きやすい生活習慣からの癖みたいなものがある。見る側、教える側の立場では、一概にマニュアル通りのスタンスなどでは意味がない。複数を相手にするなど、互いのコミュニケーションがとれていない状況ではなかなか気づけないことだが、こんな考えの人もいるのだとまた学ぶことが出来た。

課題を持って挑む!

ステップアップへの準備は整った。

あとはこれまで何度かあった思いの衝突。

何故、ひげすけがスノーボードを始めて、ここまで誰もが思う以上に取り組んでいるのか?

一番近くで見てきているにも関わらず、正面から向き合ってくるひげすけに対して、同じスタンスで向き合えていなかった私の落ち度。これには私も深く反省している。

私もこれからの成長過程を楽しみにしているのだが、いま必要なスキルをより効率的に身につけていくために、毎回ディスカッションし納得のいく課題を立てていく。

これまで私も経験してきた基礎やテクニカルのマニュアルとは、全く異なる視点からの独自のバリエーショントレーニングを採用しようと思った。

こうなる!という確かなもの。

ひげすけはこれまでの生き方から得てきた知識をつかって、経験値の高い人でも気づかないような見方や考え方ができる。「頭で理解していても出来ない」という言い訳をしない。そのためには何が必要なのかを考えて出来るまで実践する。

私がひげすけと向き合うことで気づいたのは、教えるうえで「初心者だから」とか「上級者だから」という、固定概念は何の役にも立たないということだ。そういう思いは持たないようにしていたつもりだったが、心の奥底では持っていたことに気づかされた。そんな姿勢では互いが学ぶことなど出来ない。もちろん、自らの成長にも繋がらない。

ひげすけには明確な目的が既にある。インストラクターになりたいとか、カービングやグラトリを極めたいとか、そういった目標ではない。

「はるじになる!」

ただそれだけである。実におもしろいではないか。私もこれまで多くのコーチングをしてきたが、そんなことをキッパリと言われたのは初めてだ。これは私が見届けるしかないだろう。

一般的には難しいのかもしれないが、私とひげすけの関係性ならやれないことはない。ひげすけがはるじになるために、私は出来る限りのことをしていきたいと思う。

これからも教える過程で多くのことを学ばせてもらえるに違いない。

そして、水を得た魚の如く、雪上を泳ぐように滑るひげすけを目にする日がくるのを楽しみにしている。