「大家さんと僕」矢部太郎先生に独占取材!
昨日、わたくしほりたみわの個展に太郎くん…矢部太郎先生が遊びに来てくださったのです。「大家さんと僕」が大人気重版中で、お仕事や取材でひっぱりだこの矢部太郎先生。そんな中、ありがとうございます!
太郎くんとは一緒に熊手をつくって来年の十日市で売ろうというお話があって、その打ち合わせをしていたのですが、まあやっぱり「大家さんと僕」のお話にもなりまして。そこで聞いた貴重なお話を掲載しても大丈夫かしら?と聞いたところご快諾頂きましたので、公開いたします!
他でされていたインタビュー記事にはなかったお話もあるんじゃないかと。ふふふ。それではどうぞ!
太郎くんの制作環境…液タブ(Cintiq)とクリスタ(Clip Studio)!
—太郎くんはiPad Proで書いているんですか?
あ、じゃないです。僕は液タブで。ワコムの…Cintiqの13インチです。
—持ち運びができるやつですか?
持ち運びはしないですけど…。
—あれ?じゃあおうちで描かれてるんですか?
基本…最初はノートパソコンと普通のタブレットで描いてたんですけど、なんか、液タブっていうのがあるってことを知って、そっちのほうがいいっていうことで、連載の途中からそれにしたんですよ。だからそのあたりで、(タブレットの)設定とかが変わったから、だいぶ絵が変わって。あと、連載の1回目と2回目も設定変わって、なんか太さとか変わっちゃって…。
あと描き下ろし分はクリップスタジオがバージョン変わっちゃって、線の太さ変わっちゃって…。

だいぶ変わっちゃったという線
—ですよね、だいぶ違いますもんね。
で、印刷所の人とかデザイナーさんとかが、すごい困ったって…そのページごとに刷り出して全部が同じくらいになるようにしてくれたんです。そんなのよくわかんないでやってますから(汗)すごい迷惑かかっちゃって…。
—まあ、そこはプロの方なのできっと大丈夫だと思います。
でも、出来上がり見たらわからない人はわからないっていうレベルくらいまでにはなってると思うので…別に計算で変えたとかじゃなくて、ただもうどういう設定で描いていたかわからなくなっちゃっただけなんです。
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もともとは自費出版のつもりだった?
—そうだったんですね。じゃあ、おうちでずっと作業されてるんですか?
あ、そうですね〜。もともと、その…マンガ、今みたいに全然連載して本にまとめるとか考えてなくて、知り合いの漫画原作者の倉科遼さんが「描いてみたら?」っていうことで…。何ページか描いて見せたら「すごい良いから、もっと描いたほうがいい。もしもどこからも出せなかったら俺が自費出版で出すよ」って言ってくれたんです。
自費出版で出すとしたら、デジタルでも入稿できる方がいいんじゃないかなっていう想像のもとに、デジタルで全部描こうって思ったんです。
—ふぉお!
なので別に楽だから…とか、そういうのもあったんですけど、というか下手でも描けるじゃないですか。
—ですね。太郎くん全然下手じゃないですけど。私もデジタルにはすごい助けられてます。
そうですよね〜。映画とかもフィルムで撮ってた時は限られた人のものだったけど、デジタルで撮れるようになって裾野がひろがったみたいな。
ーうんうん。ですね。
で、描けるなっていうのがあって。自分たちでどんどん出せるじゃないですか〜。自費出版するとしたら、入稿できるものを自分で完全に作れる、みたいなことを何かで読んだので、あぁ、じゃあもうそうしようと思って描いたんです。
つまりだから、最初はもう出版するっていうことがほんとに視野になかったんです。倉科さんの「女帝」とか「夜王」を売り上げた「倉科さんマネー」で自費出版していただこうという。
作品のクオリティの高さ!

ーあはは!それにしても初めて描いてあのクオリティですからね。どういうことですかほんとに。
いやいや、東村アキコ先生の…。(マンガの帯に東村アキコ先生が「いきなり面白いってどういうことですか!」と書かれたことから)
ーそうそうそう。
いや、でも…ねえ。液タブあったら描けますもん。トーンとかもねぇ。
ー…まあ、絵はね。絵は描けますけど。あの話とか見せ方とかってすごいですよね。
僕も単行本出来て、読み直したんですけど、すごいやっぱ完璧だなと思いましたね。いいなあと思いますね。
ーほんとすごいですよね。
でも最初にもう、倉科さんが自費出版するって可能性もあったから、一番最初になんとなく構成みたいなものはあって…こういう話を入れてみたいな。
それとほぼ描きたかった話が、編集の人に「これはやめましょう」って言われることもなく、だいたい同じものができたので、良かったと思います。
ーそれはすごいですね〜!
ちょっと大家さんが入院しちゃうあたりとかは全然、考えてなかったことで…