【インボイス制度】密かに迫りくるインボイスの恐怖【わかりやすく】

密かに迫りくるインボイスの恐怖

2016年の税制改正で導入が決まったインボイス制度。2023年10月から開始されます。

一部界隈では反対などの声が上がっていますが、一般的には問題視もされていない状況です。

決定の際もあまり議論がなくすんなり決まってしまいましたが、一部の人たちにとっては大問題となっております。

インボイス制度とは何なのか、なぜ問題なのか、どうすればいいのかについて、さらりとわかりやすく説明していきたいと思います。

そもそもインボイスとは何か?

簡単に説明すると消費税の徴収方法をより厳密化するという制度です。

これまでも消費税を支払っている事業者は、事業の経費に支払った消費税を申請により返金できました。

例えば、売上が1000万円ある事業者は、消費税として100万円納めますが、経費で500万円支払った場合、この経費に支払った50万円の消費税について、返金を受けられるというわけです。

今回のインボイス制度は、この返金される消費税は、登録を行った事業者に支払った経費のみに限定するという法律です。

つまり、先ほどの経費のうち400万円が登録事業者で、100万円が非登録事業者の場合、40万円のみ返金するということです。

何がよくないのか?

ここまで聞くと、「いや、全員登録すれば問題ないじゃん」と考える人が多いと思いますが、現実はそんなに甘くありません。

というのは、消費税については、納めなくていい免税事業者(売上高1000万以下)という存在があるからです。

この人たちは、インボイス登録してしまうと消費税免税の権利がなくなります。

免税って何だ?感じですが、実はもらった消費税を自分の懐に入れていたのです。

そんなの不公平だ納めろと思うかと思いますが、現在のところ、売上高1000万以下の人たちというのは、それほど交渉で有利ではないので、この10%の上乗せありきで商売がなりたっているケースが多いのです。

つまりこんな感じ

クライアント

10%もらえるんだからこれくらいの価格でええやろ

個人事業主

消費税分はもらえるから、まあこれで……

クライアント

経費ではらった消費税もどってきたで、消費税分は、プラマイゼロや、どうせ返金されるんや消費税つけてはらったろ

そして、インボイス制度が始まると……

クライアント

君らが懐に入れてた消費税やけど、君らが納めてないと俺らに返金されないらしいわ……戻ってこないなら、払うことできないわ、すまんが先に減らしておくわ。

個人事業主

そ、そんな、10%懐に入れられるからあの価格でやってきたのに……

クライアント

そんなんゆうてかて、返金されないなら支払った消費税分負担増や予算で決まっているから、増やすわけにはいかん。
本来収めるべき消費税を懐にいれているから話がおかしくなんねん、減らしとくで。

つまり、インボイス制度とは、免税事業者の消費税は発注者が代わりに徴収してというものなのです。

ただでさえ儲かっていない個人事業主は、クライアントに10%減らされるか、消費税を10%納めるかのどちらに進んでも、収入が減る道しかないのです。

どんな人が影響があるの?

この免税事業者というのは、どのような人たちかというと、いわゆる個人事業主です。

企業から仕事をもらっている下請けの人たちが一番被害が大きいと考えられます。

イラストレーター、工事の一人親方、零細漫画家など。(全部ほりたさんですね)

ウーバーイーツの配達人やアニメーターも被害が大きそうな人になります。

こういった人たちの年収は、ほぼ10%カットになります。

個人事業を育てて、大きな会社を作るアメリカンドリーム的なものは、日本では遠のきましたね。

また、飲食店や販売店の個人経営も規模によっては売り上げが減少することになるかと思います。

企業が購入する際は、かならずインボイス登録している会社のみに限定するよう社内ルールに決まることでしょう。

どんな対策が必要か?

このまま制度が開始されることは間違いないと思います。

制度が開始されれば、個人事業主の方は「登録する」か「登録しない」かの二択を迫られることとなります。

登録して免税事業者になれば消費税は納めなくてはいけないものの、返金を受けることができます。

ただ、注意点があります。それは個人事業主の経費の支払い先でインボイス登録をしない相手があると言うことです。

例えば、個人の大家さんなどの場合。基本的に住居の家賃については、消費税の対象外なので、返金を受けられません。

店舗の場合は消費税の対象者ですが、相手が年商1000万の個人の大家さんであれば、大家さんがインボイス登録することで、大家さんサイドは今まで懐に入れていた消費税を納めないといけなくなります。

インボイス登録しないからって、家賃を10%減らす交渉ができるでしょうか。引き下げ交渉も移転もなかなか難しい話だと思います。

個人事業主は返金されない店舗家賃の消費税を納める羽目になるでしょう。

また、さらに外注で頼んでいた場合についても、相手が支払っていなければ当然返金されません。

仕事をもらっているクライアントと同様、依頼する価格を見直さないといけません。

しかし、収入の種類が小売業などの一般人からの売り上げであれば、免税にしているほうがお得です。

わかりやすく言うとこういうことです。

企業、事業主相手であれば、相手はインボイス登録を気にしますが、個人であれば気にせず買ってくれ、もらった消費税は懐におさめることができます。

インボイスは、もう来年に迫ってきています。

個人事業主の皆様、至急対策を考えていきましょう。

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