大切なことはすべて、藤子・F・不二雄が教えてくれた(3)世界の深みへ

上田少年とまんが道

上田少年は「わんぱく、元気」なジャイアンのような小学生ではなく、よく体調を崩すのび太のような少年でした。 

頻繁に熱を出す僕はお母さんに連れられて、近所にある大野医院さんへよく通院していまし た。

30年以上前の大野医院は子供の僕から見ると「おじいちゃん」な先生が院長をされていました。

建物は木造で、冬には石油ストーブが焚かれ、待合室は畳というノルスタジックな大野医院。特に多くの絵本やおもちゃが置いては無かったと思います。テレビもありません。

なので、コロコロコミックはおろか、ドラえもんはその待合室には置いてない、なんとも退屈な待合室でした。 (この時の思いがあるのかは分かりませんが、現在の上田歯科医院はてんとう虫コミックスのドラえもん全巻を揃えておいてあります。患者さんには良書を読んでいただきたい。)  

小学低学年のある日。また体調を崩し、大野医院へ連れてってもらいます。そしてまた退屈な待機の間へ。

そこで「まんが道 立志編」という分厚いマンガがその待合室にあることに気がつきました。マンガを読む習慣があった僕は、退屈しのぎのために読み始めます。

そして気づきます。これは「藤子不二雄」先生が書いているマンガだと。「ドラえもん」を描いている藤子不二雄先生が書いている他のマンガを初めて読みました。

まんが道 立志編

「まんが道」の物語は夜汽車に乗って富山県の高岡から東京に行く場面から始まりました。(実は立志編の前にあすなろ編があるのですが、なぜかあすなろ編は置いて無く、立志編から置いてありました。 そのため前段階も全くわかりません。)

知らない主人公たちが何故か東京に行く。突然読んだ人間にはなんともよく分からない話でしたが、コロコロコミックを途中から読み続けていた僕には全てを受け入れて、雰囲気を味わう能力が身についていましたので、読むことは可能でした。

上野で西郷隆盛像の前で写真を撮ってもらう時にカメラを盗られそうになる、トキワ荘に行って憧れの人(手塚治虫先生)に会う。中学生か高校生であろう少年2人が東京に行って「ちょっとした冒険」のような多くの出会いと体験をしているのだなぁと。

いつも読んでいる「ドラえもん」の「少し不思議」な話とは全く違いました。

「藤子不二雄」という漫画家さんが、「ドラえもん」以外の漫画を描いている。しかもドラえもんとは全然違う雰囲気。でも、なんとなく小学生でも知っている、「上野動物園」や「高岡」という地名に現実感があり、「少し不思議」でもなく、「実際にありそう」 な感覚を味わいました。

こうして、僕の大好きな藤子不二雄先生の別の物語を体験していくのですが、実は別の事実がありました。

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