上村勝彦さんの「インド神話」はマハーバーラタだけじゃない!
上村勝彦さんの「インド神話」は副題に「マハーバーラタの神々」と書いてあるので、マハーバーラタの解説書なのかな…という軽い気持ちで読み始めましたが、軽い気持ちじゃ読めないほど特濃な内容の本でした。というか、この本について書けるほどわたくし自身の理解が出来ているのか謎。
ヴェーダ、マハーバーラタ、バーガヴァタ・プラーナ…いろんな情報が濃縮された一冊です。この本を読んでると、ヴェーダやマハーバーラタ、バーガヴァタ・プラーナが読みたくなります。そしてマハーバーラタとバーガヴァタ・プラーナは現在進行形で読んでいます。どっちも途中!
2017年はマハーバーラタな年!
今年は日印文化協定発効60周年。日印友好交流記念の年ということで、インドの古典叙事詩「マハーバーラタ」が歌舞伎でも上演されたり、レグルス文庫からマハーバーラタが復刊されたりと、マハーバーラタな年です。
個人的にも上村勝彦さんのマハーバーラタをじっくり読み始めた年なので、マハーバーラタな年です。
マハーバーラタ人気なのに本がない…
FGOというゲームにアルジュナとカルナが出ていてその影響でいつ頃からかマハーバーラタが人気らしいですね。でも残念なことに、今の日本ではマハーバーラタを読むということがなかなか困難な状況なんです。
今年、レグルス文庫からマハーバーラタが発売されて、わたくしも買ってちらっと読みましたが、子供向けの本なのか、だいぶ中身が抜けている感がありました。ただ、子供でも読みやすい内容とボリュームなので、入門書としてはオススメかもしれません。
日本で唯一の原典訳、上村勝彦さんのマハーバーラタは古本屋さんでしか入手できませんし、翻訳途中で亡くなってしまったので最後までは読めないんです。
山際素男さんのマハーバーラタは英語版からの翻訳ですが、最後まで訳されているので読みたい方はそちらをどうぞ…と言いたいところですが、これも古本でしか入手できません。場所によっては図書館にあったりもしますが、全巻揃ってないという悲劇も起こっていたりします。(山梨県立図書館は最後の9巻だけないんです…)
マハーバーラタ人気に火がついて上村勝彦さんのマハーバーラタが本屋さんに並べばいいのにと思っています。
あと復刊ドットコムで山際さんのマハーバーラタは投票受付中みたいなので、気になる方はぜひ投票してみてください。
上村勝彦さんについて
マハーバーラタ話でまさかの方向に盛り上がってしまいましたが上村勝彦さんに戻します。この「インド神話」を書かれた上村勝彦さんは…必殺ぺたり!
東京都浅草寺支院に生まれる。サンスクリット文学、インド哲学・思想を研究し、もっとも難解な言語と評されるインド古典語サンスクリット語(梵語)による文学作品を非常に分かり易く、親しみやすい日本語で考察した著作は、高い評価を受けている。初の『マハーバーラタ』(全11巻予定)の原典全訳を行っていたが、8巻目の中途で、急逝し未完となった。遺稿となった第8巻は、2005年5月に刊行された(師原實が、追悼あとがきを行った)。(Wikipediaより)
という方なんです。仏教もヒンドゥー教もとても詳しく、ものすごく理解されてるからなんでしょうけど、難しいのにわかりやすいというか、とても整っているんです。と言いつつ、ギーター読めるようになるまでなかなか時間かかりましたが。
バカヴァッド・ギーターについても(またあらためて書きます)いろんな訳者の本を読みましたが、上村勝彦さんのものが一番すうっと来ます。魂に響く感じ。個人差があるでしょうけれども。
知識だけじゃなく、精神的な部分においてもすごい方なんじゃないかと思います。言葉からのエネルギーがすごいんです!
そんな上村さんの「インド神話」ですよ!
とにかくすごい(語彙力のなさ)上村勝彦さんの「インド神話」はヴェーダ聖典の中の神々からはじまり、マハーバーラタを中心に、他の伝承とも比較しながら書かれた本なんです。この一冊であんまり有名じゃないインドの神様についての知識が深まります!(内容をきちんと理解できればですけど)
有名なところでいうと「乳海攪拌」のお話や、一角仙人、ヴィシュヌの化身について、そこからクリシュナの偉業についても書かれています。
そう!クリシュナの偉業について!
もともとクリシュナさんのことを知りたくて買った本だったのですが、読んでいくうちに「マハーバーラタ読みたい…」となってマハーバーラタを買って読みだしたという順番でした。
なので、マハーバーラタを読み終えたらまた読みたい一冊です。
もう一度読み終わったときにまたこの本についてお話したいと思います。
まとめ
難しい話は抜きにしてわかりやすくまとめるなら、「上村さんの本はいいよ!」ということです。マハーバーラタは入手困難だけど、この「インド神話」は本屋さんでも買えますよ~!なんならバガヴァッド・ギーターも買えますよ~!
あ、でもでもこの「インド神話」読んでもマハーバーラタの大筋のお話はわからないと思います。細かいところというか、神々にフォーカスしているので、「ふーん」と読んでいた部分が「はーなるほど!」という感じにはなりますが、パーンダヴァとカウラヴァについてのお話はないのでご注意。つまり、カルナ、アルジュナ好きには全然オススメできません。
そりゃそうですよね。「インド神話 マハーバーラタの神々」ですもんね。(雑なまとめ)