呪縛という悲しい負の連鎖
いろんな人たちの呪いを解いていこう、と決めて数日。全く「呪い」と関係のない本を読んでいた流れからこの本を知りました。
どうも。解呪師もやってます、ほりたみわです。イラストレーターじゃないんですかって思われるかもしれませんが、イラストレーターもやってますし、解呪もやってます。
呪いをどうやってそれを解くのかについての詳細はまた別の機会にお話するとして。
「母という呪縛 娘という牢獄」という本を読みました。医学部を9浪した娘が母を刺殺したお話です。ノンフィクション。
わたくし、小説やノンフィクションを読む暇があったら、聖典や哲学的な本を読みたいと思ってしまう効率厨な人間なんです。
なので、この本を初めて目にしたときも読みたいとは思えなかったんです。
そこに「呪」の文字があったけれども。です。
ノンフィクションなんて読まない
わたくし、両親の離婚だったり、虐待なんかもあったりして、決して恵まれた家庭環境で育ったとも言えない人間なんです。
だからといってそれを理由に自分の人生を不幸にしたくないと思って生きてきました。
それゆえ自己啓発的な本や宗教的な本が好きで読んだりもしますし、心理学や哲学も勉強し、ヒーリングや内観療法的なものも勉強して、自分なりに自分の人生をなんとかしてきたつもりでした。
目には見えないけど、かみさまは本当にいて(もしくは宇宙的に言えば引き寄せの法則が存在して)、何事も求めれば与えられるし、みんなもそうすればいいのにって思ったりもしていました。
それにいろいろ勉強していくうちに、人は「自分の辛さを根本的に癒すことは自分にしか出来ない」って思うようになったんです。
自分を本当に赦す(ゆるす)ことが出来るのは自分だけ。
まわりからいくらやさしい言葉をかけられても、それを本人が受け取ることが出来なければ、その言葉も何のあたたかみもないどころか、逆効果にすらなり得ます。
そんなことを考えてしまうのもあってか、わたくし、他人の辛さに共感しきれない部分があるんです。
というか、わたくしに限らず、人は「共感しようとすること」はできても真に共感し合えることはないだろうと。
そんな思いもあって、ノンフィクションなんて読むつもり毛頭なかったんです。
誰かの人生を綴った本を読むだなんて無駄にやきもきしそうだし。伝記ならまだしも、ましてや母を刺殺した人の本だなんて!
それなら自分の悩みを根本的に解決するための本を読む方が時間を有効活用できるはず、と。
だからあえて2回ともスルーしたのに。
母という呪縛 娘という牢獄

「同じものを目にするのは天からのメッセージ」だということはわかっているんです。
どうせ何回も目にするくらいなら……と、2回目で観念する癖がついてはいたんですけどね。今回は3回目でやっと観念しました。
それまではちょっとしたきっかけでこの本を目にしましたが、そっとスルー。
かけがえのない存在であるおみそさんからのLINEでこの本の話になったのが3回目。さすがに諦めました。「これは読む本なのか……」と。
でも、諦めて読んでみてわかりました。これはわたくしが読むべき本だったんです。
この本を読んだことで、散々いろいろやってだいぶ解放されたつもりの自分にまだ残っていた思いに気がつくことが出来ました。
深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、
「モンスターを倒した。これで一安心だ。」
と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。
2018年3月10日、土曜日の昼下がり。
滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。
滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。
周辺の聞き込みを進めるうち、最近になってその姿が見えなくなっている女性がいることが判明し、家族とのDNA鑑定から、ようやく身元が判明した――。
髙崎妙子、58歳。
遺体が発見された河川敷から徒歩数分の一軒家に暮らす女性だった。夫とは20年以上前に別居し、長年にわたって31歳の娘・あかりと二人暮らしだった。
さらに異様なことも判明した。
娘のあかりは幼少期から学業優秀で中高一貫の進学校に通っていたが、母・妙子に超難関の国立大医学部への進学を強要され、なんと9年にわたって浪人生活を送っていたのだ。
結局あかりは医学部には合格せず、看護学科に進学し、4月から看護師となっていた。母・妙子の姿は1月ころから近隣のスーパーやクリーニング店でも目撃されなくなり、あかりは「母は別のところにいます」などと不審な供述をしていた。
6月5日、守山署はあかりを死体遺棄容疑で逮捕する。その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切った。
一審の大津地裁ではあくまで殺人を否認していたあかりだが、二審の大阪高裁に陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認める。
母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。
公判を取材しつづけた女性記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。
獄中であかりは、長年別居していた父の手厚いサポートを受け、多くの「母」や同囚との対話を重ねた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。
一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。
気鋭の女性記者が、殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。
呪縛とは何か

じゅばく【呪縛】
Oxford Languagesの定義 · 詳細
《名・ス他》
まじないをかけて動けないようにすること。また、心理的に人の自由を奪うこと。
「―を解く」
「呪縛」とか「呪い」というと、藁人形に五寸釘で丑の刻参り……みたいなものを想像しがちですが、もっといろんなバリエーションがあります。
意外かもしれませんが、「自分が自分を呪う」というのが一番多いし、一番自由が奪われます。
誰かに呪われるよりも、自分が自分を呪った時、呪いの効果は絶大になります。