Funkを日本で取り入れたアーティストの系譜
ロックやポップスはわかるけど、ソウルとかファンクはあまり聴いたことがない。そんなに音楽詳しくないし、、、。そんな方に今回はお送りします。めちゃめちゃ硬いタイトルがついてますが、今回時系列がわかりやすいように年代と発表月を入れています。そうか!と思って頂けると嬉しいです。
音楽を聴く機会は「ザ・ベストテン」
この番組が音楽の原体験だった人は多いと思います。小学生時代でしたが、歌詞の意味が全くわからないまま「氷雨」歌ったり、「さざんかの宿」歌ったり、演歌が上位曲にランキングしていたのはこの頃ですね。
当時はメディアがテレビなものですから、番組からの情報が全てで、大人になるときっとこういう曲を聴くのだな?とか、子供ながらにぼんやり思うくらいでした。
1980年を過ぎるとガラガラと変わっていきます
80年を境に、出演者の音楽性が少しづつ変わります。出演者自身やバンドが演奏するようになり、1983年くらい(肌感)にガラッと変わっていきます。
サザンオールスターズ、安全地帯やチェッカーズ、C-C-Bや、そして吉川晃司など。洋楽でいえばお約束ですがプリンス!マイケル・ジャクソン、デュランデュランなど。いつしかランキング番組は「ザ・ベストテン」から「ベストヒットUSA」を見るようになっていきます。
ちょうどその頃海外では
リアルタイムなディスコ世代の方々はCHICのGood Timesを聴いたことがありますよね?1979年リリース。そして1982年10月にプリンスがアルバム「1999」、1983年4月にデヴィッド・ボウイがアルバム「Let”sDance」。
当時のニューヨークはCHICやLet”sDanceやPrinceのファンクがかかりまくっていたそうで、なんてファンキーな街だったのだろうと推測します。
そんな中プリンスは1984年6月にアルバム「PurpleRain」を発表します。
ジャパニーズファンクの原点。
当時のニューヨークシーンを切り取ったアルバムが、佐野元春の1984年5月「VISITORS」。佐野元春はこのアルバムから聴き始めました。
前回紹介の大沢誉志幸のアルバム「CONFUSION」1984年7月もほぼ同じ時期の頃のニューヨーク録音。僕の基準では、この2枚がジャパニーズファンクの原点と位置づけています。
16で刻むカッティングギターに無機質なビートのループ。乾いた感じ。
ライナーノーツには当時のニューヨークを切り取ったような詩が掲載されています
INNCENT SKYが実現したこと。
この2枚の要素を継承したのが、1985年3月「INNOCENT SKY」。そうです。吉川晃司の知る人ぞ知る3枚目のアルバムです。
覚えている方は確実にアラフィフですけど、当時の吉川晃司はアイドルで、このアルバムで初期のファンが一気に離れていったそうです。ロックと言えばロックかもですが、前2枚と大きく違うのは、ベースに後藤次利さんが入ったこと(わかるひとはわかって!)。僕は後藤次利のベースが好きなんですが、理由は簡単。ファンクベースだから(少なくても僕にはそう聴こえる)。
実現したのはロックとファンクの融合、かつ一回聴いただけだと日本語なのかはっきりわからない(この辺りは桑田佳祐の影響もあるかと思いますが)を乗せたのはこのアルバムだと思います。
ちなみに作詞に吉川晃司自身が入り、大沢誉志幸さん作曲のGimme One Good Nightをよく聴くと、プリンスの影響が見え隠れします。同曲聴きながら ゴーゴーレッツゴー!(あの曲)を歌ってみてください。タイトル曲は紫の雨的な感じ。アルバム「Purple Rain」を聴いて吉川晃司が盛り上がって「これ作りたい!」と言ってたんだろうなぁ。
アートワークは吉川晃司。当時20歳くらい。
そして「MODERN TIME」
1986年2月では、その後のロックシーンが向かう先を提示します。吉川晃司自身が作詞作曲を手掛けたのが3曲。作曲も含めると4曲。そのどれもがまんまロック的ではなくファンク寄りなロック。このサウンドは斬新でした。この時期何度も吉川晃司はニューヨークに行ってますしね。
Mis Fitは背筋ゾクゾクするほどかっこいいイントロ。これは映像でご体験ください。
2004年の20周年記念KOJI KIKKAWA LIVE GOLDEN YEARS 20th Anniversary PRELUDE at BUDOKANより
サイケデリックHIPはプログレ+ファンク+ロック。日本にずっと住んでたら作れなかったろうな。この要素は影響を与えたのかというと、1986年3月に発表されたボウイの4枚目のアルバム「Just A Hero」収録曲である「1994 -Label Of Complex」と思っています。この2枚の作品をつなぐのが布袋寅泰です。
前の2作はほぼ同時期にこの作品録音したんじゃないかと思うくらい。
はい。そうです。のちにこの2人はCOMPLEXというユニットを組み、1989年のデビューアルバムではプログレでファンクでロックでバッキバキにエレクトリックな「CRASH COMPLEXION」という曲につながっていくのです。プログレ+ファンク+ロック。この曲めちゃめちゃすごい楽曲構成なのでお楽しみください。
数ある吉川晃司の写真の中でも僕は一番好きな写真です。
このアルバムで一気に売れました。ステージ衣装はJPG。
アラフィフなら誰もが知ってるBE MY BABY収録。
さてここまではロックからのファンク。ここからはファンク、ややソウル寄りからの流れ
佐野元春でも大沢誉志幸でもない「流れ」で、同じ1986年にファンクからのロック寄りなアプローチで一気にメジャーシーンに出てきたアーティスト。
久保田利伸です。ソウル大好きファンク大好きがめちゃめちゃ伝わってくるファーストアルバム1986年9月「SHAKE IT PARADISE」、そして今でもコンサートでは歌われる1986年12月シングル「TIMEシャワーに射たれて…」。歌詞カードみながら曲聴いてその通りに歌ってないしファンクって言葉が全然浸透してないころにこういう冒険するってすごいなと感じるのです。
ちなみに久保田利伸はコンサートでのかけあいにThe Time のJungle Loveの掛け合いを使うとのこと。わかる!わかるよ!ミネアポリスサウンド大好きだよね?わかる!ソウル寄りなイメージが強い久保田利伸ですが、是非そういう側面から聴き直してみてください。
ソウル、ファンク好きなら必聴盤。
グルーヴ重視の歌い方がすごい。
ジェシージョンソンのギターが炸裂するJungle Love収録。
the BADDESTはミネアポリスサウンド。BONGA WANGAはP-Funk。
1989年10月ベストアルバムの「the BADDEST」が発売。録音はペイズリーパークスタジオ。聴き慣れない方も多いかもしれませんがプリンスの自宅兼録音スタジオです。
エンジニアにプリンスの専属エンジニアであるスーザンロジャース、ゲストギターにThe Timeのギタリスト、ジェシージョンソン、キーボードにプリンスのバックバンドThe RevolutionでキーボードのDr fink. 1990年7月「BONGA WANGA」ではP-funkのボス、ジョージクリントンや、ブーツィーコリンズを招いての大ファンク曲「MIXED NUTS」を発表します。
当時誰もが持っていましたね。
やりたい放題なアルバムです。
さてファンクからのファンク流れ。岡村靖幸。
岡村靖幸。もう一回書きます。岡村靖幸。あえて言います。まんまプリンスです。もう潔いくらいまんま。歌詞の文体とか日本語のそれじゃないし、歌詞とかどうでもいいのでしょう。歌詞カード見てて意味わかんないし。
1989年7月「靖幸」には「全てのプロデュース、アレンジ、作詞、作曲、演奏は岡村靖幸によるものです。」とあるのですが、これプリンスが1987年3月に出したアルバム「サインオブザタイムス」にクレジットされている内容からのオマージュ。というか岡村靖幸は和製プリンスと言われていた時期もこの頃。
岡村靖幸はこの時期のプリンスを徹底的に研究尽くしてるので納得なのですが。
「どんなことをして欲しいの僕に」はどう聴いてもプリンス。いやもうほぼ全曲全部プリンスです。彼もきっとバックバンドにライブ用のアレンジはプリンスにして!ステージもプリンス!って言ったんでしょう。
このアルバムのツアーに行きたかった。まんまプリンスです。
1990年までのざっとした流れですが、1990年ってよく考えたら30年以上前だし、それ以降の音楽シーンをまた機会を見て書きますね。今回紹介したCHICもGOOD TIMESは実は1970年前半のKOOL and The GangのHollywood Swingingから影響を受けたということですから70年代前半に遡りたいなと思うのですがそこはまた機会を見て。
また系譜に関して、あくまでも僕の趣味も含めての内容なのと、じゃがたら入れなきゃとかわかってます。わかってます。そこはそれ。今回は詳しくない方向け。吉川晃司、ボウイ(というか布袋寅泰)、久保田利伸、岡村靖幸。聴いたことない若い世代の方へ特におすすめします。蛇足ながらBTSのDynamiteやButterをその後聴くとまた違った角度から楽しめます。
という流れで、イベント告知(強引)
と、いうことでですね、来る7月4日(日)に神田イゾルデでプリンス生誕祭やります。当初は6月6日(日)に予定していましたが、こういったご時世で延期しました。(緊急事態宣言が延長になりませんように祈るばかり)
16:00オープン、開店したら直後に廻します。16:30まで今回の紹介曲の一部を流し、16:30くらいになったらプリンス流していきますので、今度は会場で「おお!なるほど!」って言ってもらえると嬉しいです。大音量で聴けるのって最近少ないし、ぜひ楽しんでください。
当日は相方でもあるVJ TASKUと共演します。
スペシャルゲストに日本人でUK Soul Chart “SOUL CONNOISSEURS TOP 20 WEEK ENDING 19TH APRIL 2019″にて最高12位獲得を獲得したJunimo& Phat JunkiesのJunimoをお招きします!