DJ AKKY の人生は選曲だ!第3回目。です!
2016年4月21日、ある男性アーティストがこの世を去りました。享年57歳。
王子という名前を本名に持つアーティストは、ハイスクール時代にピアノから曲を作り始め、ギター、ベースギター、ドラム、キーボードなど様々な楽器を操ります。
1978年4月には、作詞、作曲、演奏、歌唱、編曲、プロデュースを全て自ら行なうという契約でデビュー。デビューアルバムで発表したその内容は今まで彼が聴いてきた音楽の影響が随所に散りばめられていたのです。
そこから70年代80年代90年2000年と30年以上を駆け抜け、初期のセクシャルなイメージから次第次第にその時代時代に発生した課題に向きあったテーマで作品を生み出します。
活動後期の彼は、社会課題解決への方向への積極的な姿勢を示します。
2005年8月23日に発生し30日までアメリカ南東部を襲った”カトリーナ”。その被害者に向けて、30日から5日後に自身の公式サイト上でシングルを発表します。その収益金は全て被害者に寄付。
2007年に発表されたアルバムでは「Planet Earth 」というタイトルで地球の危機への警鐘を鳴らすようなタイトル曲を発表したりします。
そして2010年代も地域貢献と同時に時代を先取りするような音楽を創り続けてきました。同年1月には地元のNFLチーム、ミネソタ・ヴァイキングスの応援ソング「Purple and Gold」を作ったり、
「20Ten」というアルバムでは自身の80年代のエレクトロファンクを再現したようなサウンドを作りだしています。
社会課題解決の方向と、エンターテイメントの方向という融合性に次の社会を作り出す可能性があると教えてくれたプリンス。「史実と系譜」という文化継承に必要な考えには地球規模の視点と自分の身近な距離の規模の視点が必要であると教えてくれたプリンス。ビジネスマンとしての「売れる作品(商品)」と「作りたい作品」は違うことを教えてくれたプリンス。
そんな彼がもし生きていたら、この2020年の社会課題解決にたぶんどの国の政府よりも早く決断をして、曲を作り配信コンサートを開き全額チャリティなどをしていたのだろうと思います。急にこの数カ月で先行きが見えにくい世の中になってしまいましたが、皆さんの生活にプリンスの音楽が少しでも明るい灯火になることを願いつつ、今回のコラムはプリンス追悼という事で、プリンスが遺したアルバムを紹介していきます。
時間がある人&この際だからじっくり聴きたい人=1枚目から最後のアルバムまで順に。
スタジオアルバムは全部で39枚。約40時間1日2時間聞いて約20日で聴き終えられます。デビューアルバムと2枚目は聴きやすいかもしれません。
この2枚はプリンスと聞いて想起する初期のセクシャルなイメージはまだそこまでありません。実はビジュアル的にセクシャルで歌詞も癖が強いのは3枚目だけなんですが、、、。
時代時代に有名な作品を。
80年代で言えば1999,PurpleRain,Parade,Sign Of The Times, BATMAN。
この時期は毎盤毎盤革新的な、今まで聴いたことない音楽を作り続けてた頃です。リアルタイムに聴けたことは幸せだなと今更ながら感じます。
90年代で言えばDiamonds&Pearls、LoveSymbols、The Gold Experience
ざっくり言えば「バンドサウンド&Rap HipHop」な頃です。悪く言うとプリンスので過去作品でどっかで聴いたことあるな、、、。良く言うとキャッチーな曲がたくさんで、確かにこの頃はめちゃめちゃ売れてます。(僕が来日ツアーに行ったのもこの頃です)
00年代以降で言えばTheRainbowChildren,3121,ART OFFICIAL AGE
プリンスもこの辺りは40歳を過ぎ、スピリチュアルな方面へ興味が向いてきます。
歌詞がシンプルなんだけど難解な内容でネイティヴの人は音と同時に歌詞も入ってくるんだな羨ましいと思って、稚拙ながらこの頃から英語の勉強をガツっと始めました。
とはいえ、AKKYのオススメは何?
何から聴いたらいいんですか?という質問は実は今までたくさんお受けさせて頂きました。以前はLOVESEXYをすすめてたのですが、聴いた方に「最初にこれを勧めるのはどうかと思う、、、、。わかんない、、、、。」と言われました。なので、最近は
TheHits&The B-SIdes というアルバムを勧めています。これは93年に出た3枚組で、1枚目と2枚目はその時代までのヒット曲。3枚目はシングルのB面と言うバランスのいいベスト盤。B面ですよB面。40歳以上じゃないとわかんないでしょ。プリンスはシングルのB面でやりたい放題する癖(へき)がおありのようで、変態ファンクが詰まっています。
沼へようこそ。
プリンスはその前の時代のジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリーストーン、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ゼッペリン、そしてP-funkの影響、またはスタイリスティックスや、デルフォニックスなどのボーカルグループやジョニ・ミッチェルなどからの影響を受け、かつこれらのアーティストのカバー曲を収録したり、ライブで演奏しています。それを追いかけるのはスタジオアルバムだけでは追いかけきれず、ブートレグ盤に収められた曲を聞くようになります。これが「沼」です。
またプリンスに影響を受けて、例えば80年後半や90年代初頭に出現したハウスというジャンルで活躍するジェイミープリンシパルなどは、プリンスの大ファンで、彼が発表した数々の作品はその後のハウスジャンルの、グリーンヴェルヴェットやセブンデイヴィスジュニアなどに引き継がれます。
R&B ジャンルでは、プリンスが全面プロデュースしたTheTime というバンド。そこに所属していたメンバーの2人はのちにジャム&ルイスという音楽プロデューサーコンビになり、ジャネットジャクソンの名作「Rhythm Nation1814」をプロデュース。その後のジャネットジャクソンのプロデュースをジャム&ルイスが行い、ジャネットジャクソンは日本の女性R&Bのミュージシャンの憧れ的存在になりました。
日本でも宇多田ヒカルの2枚目のアルバムに2曲をプロデュースしたりとプリンスの系譜は拡がっています。この系譜を辿るのも「沼」です。
2008年には、第50回グラミー賞の1コーナーでThe Timeを演奏してリアーナと共演する、というシーンも記憶に新しいと思います。新旧の“プリンス的”ファンクの共演とも言えます。
また2017年の第59回グラミー賞では、Bruno Mars がPrinceのTributeライブを行います。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm30627152
さて最後に
今回の「つながるよ」はお休みします。そのかわり僕が以前イベントで回したセットリスト音源と進行表をお知らせします。プリンスの初期の頃のテクノハウスっぽい曲と前述したグリーンヴェルヴェットの曲をつなげています。進行表を見て、ぜひみなさんでつなげてみてください。
イベントの情報など「DJ AKKY」のFacebookやInstagram、Twitterでのフォローをお願いします。これからはコラムと「つなぐ」感じで進めていきます。