DJ AKKY の人生は選曲だ!第30回記念号「音楽と場所」

おかげさまで連載30回目です!
コラムを読んでくださっている読者、そう、みなさんに深く感謝します。

以前コラムで取り上げた

に関して、非常に反響良く、おかげさまでTwitterでも、この三人好きなんです!続編無いんすか?と言われ、別の視点でガッツリ書けないかと考え、書きました。がっつり。

前回は「音楽と言葉」でしたが今回は「音楽と場所」。

音楽のテイストは、アーティストが生まれ育った場所が影響を与える

アーティストが生まれ育った街の情景は、そのアーティストの作品に色濃く反映されると感じます。

以前紹介した佐野元春、桑田佳祐、桜井和寿……はい。その3名に共通するのは、そのアーティストが育った街で聴くとドンピシャにハマる、という点です。

80年代から2022年の今もなお、「東京」を歌い続ける佐野元春

佐野元春は、生まれ浅草下町。大学時代は池袋。学生時代の生活が「煌びやかな大都会」。その中で暮らす若者の生活を描きます。

都会に日常的に住んでいる人は自分が都会に住んでいることを自覚しません。(自覚している人は出身が東京以外だったりしますね)いわば内側にいる視点から、紡ぎ出させるリズムとかビートや歌詞に反映されています。

ざっくり言えば都会的なんだけど、佐野元春が書く東京は広くは山手線の西側から東(ややこしい?)、環七から外側の風景ではありません。

特に東京の東側で育った人間には、それこそ無意識なんだけど、迷う際に必ず訪れる場所。

それが「川」です。大都会を縫うように流れる神田川、下町の人間には南北に流れる川、隅田川。

そして東京の東側に住んでいる人は、普段の生活で「山」は視界に入りません。生活に寄り添うように存在するのが「川(河)と「橋」なんです。

”たどりつくといつもそこには川が横たわって”いたり、します。

”君のためなら橋をかけよう”などなど。

作品に通底する街の風景はいわゆる「土」の匂いがしません。ファミリーカーじゃなくてスポーツカー。高層ビルのすきまを走る首都高から見る川、灰色の海。

都会はキラキラという視点ではなく、日常にある街をスケッチするような歌詞の世界観。東京(山手線内で東側)に生まれ育ったアーティストですね。

ちなみに佐野元春最新作は66歳にして1年間に2枚発表!衰えません。お約束のように、歌詞には東京の地名や名所が多く出ています。

*街空ハ高ク晴レテ – City Boy Blue最高。東京をドライブする際にはぜひ。

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*佐野元春のもう1つの側面である「社会」へのメッセージが色濃い盤。それもまた東京的。

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90年代以降、バブル崩壊後の若者の等身大を描く桜井和寿

桜井和寿は、肩や東京の東じゃないんだけど、西でもない練馬で生まれ育ちます。

初期の頃の作品の作風は、東京THE大都会というよりは、東京なんだけど「ホッとするような」町並みで暮らす若者を描いています。

都会の外側かって言えば全然そんなことなく、だからといって内側かというとそうだとも言い切れない練馬区。都会?田舎?どっちなんだよっていうどっちでもあるけど、どっちでもない。

心の逡巡とでもいいますか、同時にバブル弾けたあとの90年代の今までとは違う社会にどう生きていくのかを等身大の若者の視点です。

”果てしない闇の向こうに”と歌われる初期の名作1994年のTomorrow never knowsは、彼の生まれ育ったエリアである西武池袋線(富士見台、練馬高野台駅(1994年開業)、石神井公園駅)に住んだことある方なら、何度か子供の頃から何度も足を運んだ(悩んだらホッとしにいく)「石神井公園」で歌詞を思い浮かんだそうです。

当時練馬高野台の駅が出来るまでの街並みがどんどん変わっていって、でも石神井公園や石神井公園駅は昔から大きく変わらなくて……その様子を見ながら作品を作っていたのなのかな?なんて妄想しますね。

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ABOUT US
AkibaRyuji
東京生まれ東京育ち。元水球とラグビーの選手。原宿クロコダイルや本牧ゴールデンカップなど老舗ライブハウスやミュージックバーなどでDJ展開中。得意なジャンルはSoul Music やDiscoMusic。SoulBarをつくるのが夢。