DJ AKKY の人生は選曲だ!(39)「かっこいいとは何かを表現しつづける男」吉川晃司39周年おめでとうございます!

かっこいいってなんでしょうか。もちろん世代ごとの「かっこいい」は違います。

なかなか男性で40代くらいから「かっこいい」を維持できるのが難しくなります。

体型だけで言えば、代謝は落ちるわ酒の量は増えるわ、業務のプレッシャーは半端ない。いわゆる中間管理職で、幹部候補になれるかどうかの頃。

さらに運動量は落ちていくし、(胸に手をではなくお腹に手を当てて思い返してください汗)ぶっちゃけお金払えば手っ取り早く手に入るモノを身につけるしかなくなってくるんですよ。でもそうじゃないよね。って思うんです。

今回は「かっこいいとは何かを表現しつづける男」吉川晃司特集です(以後恐縮ながら敬称略です)。

吉川晃司と言えば、モニカでの衝撃的なデビューや、COMPLEX時代、1990年からのソロ再始動で90年代ではシングルヒット続出。

2000年、35歳になった吉川晃司は、映画「漂流街」「天国から来た男たち」、渡哲也とのオーラの競い合いが半端なかった「レディ・ジョーカー」、天才外科医を演じた「チーム・バチスタの栄光」と映画出演が続き、2009年NHK大河ドラマ「天地人」では織田信長を演じました。

僕が大好きな2010年「仮面ライダーW」ではストーリーに重要な役で出演。テレビでは「下町ロケット」財前部長、最近ではNHK朝ドラ「舞い上がれ!」大河内教官など主役以上の演技で話題になりましたね。

この時代だけ見ると確かに俳優です。俳優活動から得た美学や経験が増してきた40代後半から「かっこいい」が増し増し。

その「かっこいい」を知るために、直近の10年間の音楽活動を振り返ってみます。

目の鋭さ サムライ感 

2013年 SAMURAI ROCKアルバム、視線を外したのにも関わらず、目の鋭さが半端ない。

この将来を見てきたかのような視線と熱く語るような手つき、ちょっと痩せてたころですが、それが余計にソリッド感。研ぎ澄まされた日本刀のようです。近くに居たら、僕は秒でごめんなさい言います。

このアルバムのPVはその目からどんどんカメラが引いて行く演出ですが、このPV作った人は吉川晃司の魅力をわかってるなぁ。

背中。戦う男の背中。

前作WILD LIPS。見てこの背中。ご本人です。繰り返します。ご本人です。この背中半端ない。いろんなニュースでちょいちょい露出されてますが、吉川晃司は元水球選手。しかも高校時代にはU-20の日本代表で最年少選手に選ばれてます。とはいえですよ、40年前の話ですよね? 

なんちゃってフェルミ推定するとですね。例えばこの背中。仮に女性に向けたアピールだとして、20歳から74歳までの女性は約4236万人。

かりに100人に1人がこの背中に夢中になったとして、42万人!

もしくはそれ以上の女子は、このジャケット見た瞬間に、それはそれはもう、えぇそれはそれでもうなんてゆうか、なんてゆうかですよ。どう書いていいかですが、いろいろないろいろなその、かなりヤバかったんじゃないですかね?気絶させに来てますよ。男性でも憧れる方多いはずです。

ええと、さらっと書きますが僕も元水球選手。8年間の選手時代に水球選手の背中は50人や100人という数じゃないくらい試合で見てる。練習量も半端なかったのも身体でわかってます。なので僕は言い切ります!

この背中は「THE がつく水球選手の背中!」 THEがつくんです!戦った男の背中です。

50歳過ぎた男性の背中がいまだに現役選手の背中とか、あり得ないです。常に鍛えてなければ、それこそ毎日毎日ガチで10kmとか泳がなければ、こうはなりません。憧れる。この背中はかっこいい!

その作品から6年ぶりのアルバム。over the 9 こちらも艶気半端ないですね。ジャケットもしびれる。吉川晃司は(またはプロデュース側のスタッフは)吉川晃司の「指」がセクシーだとおわかりのようですね。

生オーラがヤバい。

2023年2月23日。忘れられないライブになりました。KIKKAWA KOJI LIVE 2022-2023 “OVER THE 9” TOUR FINAL

吉川晃司『KIKKAWA KOJI LIVE 2022-2023 “OVER THE 9”』ツアー告知SPOT

場所は日本武道館。親しい友人からまさかの2日前のお誘い。飛びつきました。Over the9 アルバムのツアーファイナル。約2時間のステージは1曲目から温め方が半端なかった。

じわじわとあげていくからね。という一言に凝縮された「掌の上で転がすからな」圧倒的なオーラ感やばい。

新旧の名作を織り交ぜて2023年モデルを作っていく構成。ツアーメンバーはthe Yellow Monkeyの菊地英昭がギターだったり、またもう1本のギターはルナシーのINORANだったりとキャリア的な後輩のプレイを心から支えて好きにやらせるような活躍できるような出番を作る様な懐の深さ。

いやさすがですよ。オーラ感すごいんだけど、ありがちな俺様すごい!俺が俺が俺が!ではないのよね。

撮影でDVDになったらバッサリ切られると言ってたコンサート中の語りというかトークも芸人さんですか?と思うくらい茶目っ気ありあり。

笑いあり、たまに撮るポーズは「命!」なポーズなんじゃないか?いやまさかまさか。とか。反面、魅せるとこは魅せる。しなやかに場を作る。大人の余裕がなければできないですね。

ニコッと笑ったときの目元にまたこれも女子は、いろいろないろいろな部位がヤバかったんじゃないですかね?生ライブで気絶させるつもりなんでしょ?お約束のシンバルキックもかっこいいし、ため息しかでませんでした。かっこいい……。

そして声がやばい

声ね。やばいね。グッとくる。渋い。年々渋くなってくる。前述しましたが、2010年に仮面ライダーWでハードボイルドな探偵、鳴海荘吉を演じました。渋かった。ハマり役でした。

が、その時の声は今映像で見たらそこまで渋くない。2017年に喉にポリープがあって切ると声が若くなるから切らないとか話題になりました。ジョーコッカーみたいに渋い枯れた声がいい。と。わかる。わかる!

2023年モデルの吉川晃司の声は渋すぎ。これ。武道館で生で聴けるとか思わなかった。

鳴海荘吉名義での。Nobody’s Perfect

ヤバいっすね。誰も完璧じゃないんだ。ここまで書いててあまりのかっこよさに何度も僕は死にそうになってます。

日本刀のような鋭さや、背中、声、表現力。この魅力はどうやったら醸し出させるのでしょうか。
そう、それは彼は先人の教えを受け、後輩に教え伝える人。音楽業界と俳優の史実と歴史の継承者だからです。(言い切ります!)

音楽の系譜

Nobody’s Perfectという曲名から、ちょっと強引につなぎます。1984年デビューのモニカは超有名なので皆さんご存知かと思いますが、その作曲者はNOBODYというユニット。

NOBODYは矢沢永吉のバックで演奏してた2人。その後、大沢誉志幸、原田真二から楽曲提供を受けます。

また原田真二&クライシスのメンバーだった北島健二、PINKのメンバーだったホッピー神山、サディスティック・ミカ・バンドのメンバーだった後藤次利、あるいはCHAR(意外でした!)やなどそれまでの音楽のメインストリームに居たミュージシャンが参加してますね。

曲では、モニカ、サヨナラは八月のララバイ、You Gotta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜とNOBODY作曲が続き、1985年4月、にくまれそうなNEWフェイスで、2曲連続で初登場1位。

にくまれそうなNEWフェイスではベースや編曲に後藤次利が入ります。初期3枚はそういったミュージシャンから受けたノウハウなどをどう消化してどう表現するかの試行錯誤する時期だったのかも。

映画の系譜

また、歌手デビューなんですが同時に俳優としてもデビュー。デビュー映画で主役。

1984年2月1作目「すかんぴんウォーク」では小松政夫、蟹江敬三、宍戸錠、原田芳雄、2作目1985年2月「ユーガッタチャンス」では浅野ゆう子、柴俊夫、1986年4月3作目「テイクイットイージー」では、名取裕子、黒沢年雄、寺尾 聰など当時の映画スターとの共演を果たしてます。

お気づきですよね?デビューして3年以内の出来事ですからねこれ。音楽的には無名の広島の高校生ですよ。デビュー前は。

民川裕司3部作はこちら。

*全部劇場で観れたんです。ささやかな自慢です!

ファッションの系譜

さてファッション。世界観がありますね。ライブ場ではちょいちょいメイクしてたけれど、3枚目のアルバムイノセントスカイではジャケットデザインを自らプロデュースしたり、

シングルのジャケット写真をメイクで飾って初登場1位になったのが、前述した、にくまれそうなNEWフェイス。洋楽では男性アーティストもメイクし始めた時期、日本でオリコン1位を取るアーティストで、ジャケット写真で使われたのは初ではないかと。超衝撃的でした。

この年の紅白。白組なのに上下真っ赤なスーツ。演奏時間はオーバーするわ。NHKから出禁くらうわ。所属事務所からめちゃめちゃ怒られるわ。

なんだけど、そういうことさらっとやっちゃうんだよなぁ。ちなみにこれ以降1度も紅白に出てません(爆笑)

史実と系譜の継承者

この音楽の系譜と映画の系譜、ファッションの系譜からの影響を非常に色濃く反映されたアルバムが1986年2月MODERN TIME。当時21歳とかですよ!もう凄すぎる。天才すぎでしょ。大傑作中の大傑作。

1985年までの音楽の先人たちである、サディスティック・ミカ・バンドやPINK,、CHAR、大沢誉志幸、原田真二、などの要素をめちゃめちゃ簡単に言えば、ギュッと。(そう”FUNK”を持ち込んだんです。以前コラムで書いたけど)

魅せ方や歌詞の世界は、それまでの映画業界の俳優女優から「かっこいい」をギュッと。両方からの濃厚なエキスが詰まりまくった作品。

そのエキスを飲んだ若者は「こういうのやりたい!」ってなったそんな盤です。

このアルバムにゲストで布袋寅泰がギターで参加、同年3月布袋寅泰が在籍していたロックバンドBOØWYのアルバムJUST A HEROに吉川晃司はノンクレジットで参加。

1994-LABEL OF COMPLEX

この「MODERN TIME」と「JUST A HERO」の2枚が1986年以降の日本のロックシーンをガラッと変えていきます。

BUCK-TICKやX JAPAN, LUNA SEAやL’Arc〜en〜Ciel ,GRAYなどの音楽性に大きな影響を与えたのは間違い無いし、その後の若者へ影響を与えて、受け継がれたものは代々語り継がれ、結果として歴史に名を残すのです。

そして1986年のクリスマスに。

きっと1986年当時の日本のロックシーンに吉川晃司なりの歯痒さとじれったさがあったのでしょう。若干22歳。当時のロックシーンで最前線を走るサザンオールスターズの桑田佳祐当時30歳の大先輩に向かってですよ、こんなこと言ったんです(って)。

今のロックは不甲斐ない。あんたたちのせいだ!かっこいい最高のミュージシャンを集められるのはあなたしかいない。集めましょうよ!と。

挑戦的な発言でしょ。そしてアイディアを話したそうです。詳細はこちらを。

普通イラッと来ますよ。しかも当時の桑田佳祐は日本中で知らない人居ないくらいビッグスターです。1985年9月に2枚組アルバム「KAMAKURA」をリリース。

その年の日本レコード大賞優秀アルバム賞受賞した作品です。そんな桑田佳祐に、デビューしたてで、それまでの勢いで絶好調で登りまくっているド新人が、作品不甲斐ない!ダメ出し!そんなようなもんじゃないですか。

何だこのやろー!と思ったのかもだけど、そこは桑田佳祐が偉大なところ。それを受け入れたそうです。

桑田佳祐は「サザンオールスターズでもうこれ以上できない」と判断したのかもしれないし、吉川晃司も「これで終わりなんすか!サザンは!(不甲斐ない!)」という気持ちだったのかもしれない。

みなさん30歳の頃思い出してください。そんなあなたに新入社員3年目が「あんたがやってる仕事は不甲斐ない!」と言われたら皆さんどう思います?

例えばサラリーマンだったらサラリーマンの聖地、東京の新橋の呑み屋にその新人連れて、だいたいな今時の若いもんはダメだ!俺が若い時は!って言いますか?でもそれかっこいいですか?

桑田佳祐の美学と吉川晃司の美学のぶつかり合いです。そして、これが1986年と1987年に放映された「メリークリスマスショー」となるのです。

1986年版を観れば1986年以前以後がはっきりわかります。(これ生放送っていうからすごすぎでしょ)

1986 Merry X’mas Show 松任谷由実 桑田佳祐

桑田佳祐が企画進行で結局全部行なって、吉川晃司はワインをボトルで豪快に呑んでるだけ。吉川晃司が連れてきたのは大ブレイク前の米米クラブとBOØWYで、他の出演メンバーである鮎川誠や忌野清志郎、ARB、アンルイス、チェッカーズ、鈴木雅之は桑田佳祐からの声がけ。

なるほど。そうです。そういうことなんです。参加メンバー見てわかるよね。時代を変える勢いってこういうことだよね。ここで歴史がガラッと変わったよなぁって見るたびに思います。

ぶっちゃけ吉川晃司の美学を感じなかったCOMPLEXというユニット

1989年結成。1990年解散。そう2年も続いてないCOMPLEX。アラフィフがほぼカラオケで歌うCOMPLEXのBE MY BABY。恋を止めないで。20歳になる前頃にリアルで聴き、かっこいいわ!と思ってました。ました。です。

今ではあの時期に本当にこれがやりたかったのかな?とめちゃめちゃ???が付く。

いやいいんです。セールスというビジネス面では大成功してるし、多分売れ線狙いしまくって作ったから戦略はど真ん中。とはいえ作りたいのはこれだったのかな?と。

ファーストアルバムに収録されている曲の温度感というか聴いた感触がバラバラ。1990年にDAVID BOWIE ×LED ZEPPLINをやりたいのか?とか、二人が二人の過去作品のコピーをしたいのか?とかとか。

恋を止めないでという曲は売れ線系なんだけど、CRASH COMPLEXIONとかはどう考えても布袋寅泰の領域だし、続くセカンドアルバムROMANTIC 1990で言えば、吉川晃司はMODERN VISIONの1曲しか作曲担当してないし。

活動してて、お互いの良さがぶつかりまくって整ってないし、そういう意味では布袋寅泰のソロアルバムに吉川晃司がシンガーとして参加した。2枚ともそんなアルバムなんですよね。

2011年の東日本大震災を受け、COMPLEXは再結成。吉川晃司的には被災地に何かできないか。そう募金を集めて寄付する。その手段としての再結成だったんでしょう。

東京ドーム2日間を満員御礼。売上6億5000万以上の金額を寄付されています。そして潔くさっと。去り際の美学。

そういうとこかっこいいよね。もう1回再結成したら超かっこわるいんだよね。さらに再結成から10年の人生経験積んで50後半60過ぎた2人にはあの歌詞は辛いよね。とか。

とはいえ、それぞれのステージではCOMPLEXナンバーをカバーするようですが、それはもう聴けたら嬉しい!という長いファンのためのサービスだし、それも大事。だけど僕は再結成して欲しくないバンドの1つです。

1986年桑田佳祐へのお礼?というかアンサーソング

2023年(というか2022年11月からのツアー)モデルを先日武道館で体験して、改めてこれは桑田佳祐へのアンサーソングというか桑田佳祐に対してメッセージしてる曲だろうと、そんな匂いがするなぁという曲があります。

発表自体は2013年の作品だから10年も前なんだけど、今回のツアーでも演奏曲に入れてる。テレビアニメ『義風堂々!! 兼続と慶次』の主題歌である曲。それがThe Slider。 

歌詞もそのアニメの内容に寄せてますが、寄せた際に、本人もこれって桑田さんじゃん?と思ったと思うんですよ。(はい!これって僕の感想です!)

修羅は修羅でよかろう ふたつ徒花も咲かせて盃に花びら 娑婆は娑婆で浮かれよう所詮冥土への土産さ

コードもなんとなくサザンっぽいと言えばサザンぽい。

そうこれ連歌ですよね。いわゆる付合とか打越。DJの世界でいうバックトゥバック。

ターンテーブル1台でAさんがある曲を選んだらその次に繋がる曲をBさんがその場で曲を選んでつなぐ。今回は匂い付けという歌の世界観、ふわっとした香ってくる言葉にしにくいビジュアルをつないでいく。そういう感じでレスペクトしてる。このセンス最高です。

桑田さんあの1986年からここまで俺は来ました、こんなの出来ますけどそちらはどうですか?あの頃の艶気はどしたんすか?もうジジイなんすか?って遠回しに言ってる気がするんだよなぁ。エレガント。美学と美学のぶつかり合い。

桑田佳祐とのコラボは、前述したクリスマスショー以降実現していない(はず)ですが、桑田佳祐がこの曲カバーしたらどうなるんだろうな。桑田佳祐の声で聴きたいなと妄想しています。

最後に

歌手であり、俳優であり、継承者である吉川晃司ですが、本人は「職業。吉川晃司。」と常に言ってます。

なかなか言えないっす。男、いや漢(おとこ)として憧れ。こう言い切れる実績や覚悟と、そして艶気が半端ない。

これからも大先輩の背中を見て、DJとして「かっこいいとは何かを表現しつづける」そんなことが出来たらと。

セットリストはこちら

最近の数枚のアルバムからピックアップ。と、1990年COMPLEX活動停止後のソロアルバムからピックアップ。比較するとより一層コラムをお楽しみいただけます。25歳でCOMPLEX活動停止してそれからの20年よりも、この10年の方の艶気はすごいっすね。

最近の数枚のアルバムからピックアップ

1990年COMPLEX活動停止後のソロアルバムからピックアップ

おまけ。1984年から1988年のベスト盤。バランスいい。

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ABOUT US
AkibaRyuji
東京生まれ東京育ち。元水球とラグビーの選手。原宿クロコダイルや本牧ゴールデンカップなど老舗ライブハウスやミュージックバーなどでDJ展開中。得意なジャンルはSoul Music やDiscoMusic。SoulBarをつくるのが夢。