真梨幸子『深く深く、砂に埋めて』(講談社)/ちぃろの読書感想文

どこまでも純粋な愛の物語

イヤミスの女王としして知られる“真梨幸子(マリユキコ)”さんの作品は、これまでにいくつか読んできました。どの作品もえげつないくらい人間の醜い部分を描いていて、「うげぇ」と顔をしかめながら読み進め、読み終わった後もなんとなーくイヤな気持ちにさせてくれる面白い小説ばかり。
今回読んだ『深く深く、砂に埋めて』にも「うげぇ」を期待していたのですが…これ、イヤミスじゃないよね?

私の中では完全に純愛ラブストーリーとして分類されました。

あらすじ

『殺人鬼フジコの衝動』『更年期少女』著者が描く“底なし”の女の欲望
聖女の謀略? 悪女の純真? これぞ究極の魔性の女!

かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の転落と女の性(さが)。奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか? 悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス。

(講談社BOOK倶楽部より引用)

善悪とは、なんなのか。

作中では有利子に翻弄される男たちの姿が描かれ、有利子がいかに「男を食い物にしているか」が語られるわけですが、私にはどうして有利子がこんなに悪女扱いされるのかがわかりません。

いやまあそりゃね、常識的に考えたら完全になんでしょうよ。
贅沢はするわ、浮気はするわ、嘘はつくわ、そりゃもう自分が有利子の相手だとしたら耐えられないでしょうよ。

でも、有利子はそうやって生きてきて、そうやって男たちに愛されてきたわけで。
有利子自身は善悪なんて関係なく、ただ自分の幸せに全力投球!身も心も自分の幸せのために捧げる!っていう、清々しいくらい真っ直ぐな女だと思うんです。
こういうある意味純粋な人には、世間や他人が語る善悪なんて響かないですよね。