佐川光晴『牛を屠る』(解放出版社)/ちぃろの読書感想文

“屠殺”に携わる人々の姿

たまたまインスタで見かけてどうにも気になって読んでみた本なんですが、『牛を屠る』というタイトル通り、家畜を食肉にするための“屠殺”について書かれています。

屠殺(とさつ)ないし屠畜(とちく)とは、家畜等の動物を殺すことである。「屠」は「ほふる」の意である。
一般的には食肉や皮革等を得るためだが、口蹄疫などの伝染病に感染した家畜を殺処分する場合にもこの語が使用される。

類義語には〆る(しめる:一般的に鶏や魚に用いる表現)やおとす、または潰す(つぶす:一般的に鶏や牛や豚に用いる表現)がある。

【Wikipediaより引用】

著者である佐川光晴は、10年間、屠殺に携わって生計を立てていたそうです。
1990年代の「仕事としての屠殺」の実態が細かく描かれているだけでなく、屠殺に携わる人たちのエピソードなど、すごく興味深い内容ばかりでした。

 

“家畜”を“食肉”にするということ

約18年前、農業高校に通っていた私は、食品加工の授業でスモークチキンを作りました。
広大な農場にある鶏舎から連れてこられた生きた鶏を〆ることから始まったその授業は、大半の生徒の食欲と顔色を奪う内容で、私の班でまともに作業していたのは私ひとりだった気がします。

羽を組まれて自由に動けなくなった鶏の首に手をかけ、〆る。「動かなくなるまで絶対に手を放すなよ、走り回るぞ」という教師の言葉。
ぐったりした鶏の首を落とし、肛門付近に切り込みを入れ、そこへ腕を突っ込んで内臓を取り出し、空っぽになった体内を洗浄。
機械に入れて羽を取り除き、ほぼ裸になった鶏に残ったこまかな羽を毟り、調味料をもみ込んだりして、窯へ入れる。

ここまでを午前の授業中にやっておくと、下校時間にはおいしいスモークチキンが完成。