スノボ歴34年のテクニカルアドバイザーが43歳スポーツ歴ゼロ女をスノーボーダーに!

43歳スポーツ歴ゼロ女をスノーボーダーに!…できるのか!?

43歳スノーボードデビュー!

スノボどころかスポーツとは無縁の人生を送ってきた、超初心者ひげすけ(ほりたみわ)のスノボ武者修行をスノボ歴34年のテクニカルアドバイザー目線で書いていく。これまでのひげすけの記事と合わせて読んで頂ければわかりやすいかと思う。

道具をそろえる

スノーボードを始めるにあたって、ウェアや道具が必要になってくるのでまずは揃えるところからスタートだ。まずはやってみないことには続けられるかどうかもわからないから、レンタルでも良いと話もしたのだが、この環境、この状況でやらないわけがない。

絶対に諦めない!という、強い心も持っているようなので道具を揃えることに。とはいえ予算的なこともあるので、一番重要なブーツだけは新品にして、あとは中古で揃えた。

方々廻っているうちに新品で格安のジャケットを発見。本人も断然気に入ったようで買うことに決め、パンツはそれに合う私のお下がりをチョイス。板とバインディングは私の経験をフル稼働して掘り出し物を手に入れた。

というわけで意外とあっさり道具も揃い、あとは雪上に立つだけに。

スタンスを決める

さて。白銀デビューの前に少し。スノーボードは横乗りのスポーツ。左足を前にしたレギュラースタンスと右足を前にしたグーフィースタンスとがあるのだが、まずはベースとなるそのスタンスを決めなくてはいけない。

そして、このスタンスをどちらにするかが、かなり重要な部分である。今ではショップなどに行けば、台に乗り本人の骨格や関節の可動域からスタンスを導き出すことができる、スタンサーというハイカラなものもある。私もスタンサーが出始めた20数年前に取り扱っていたこともあるが、進化したとはいえそれだけで全て導き出せるものでもない。

単純に右利きか左利きという他に、本人の基本的な軸となるものもあるし、生活習慣などで変化した癖のようなものもある。

以前から、イメトレと横乗りの感覚を体験するため、時間を見つけてはスケートボードに乗せたりしていた。どちらで乗っても大差ないスケーティング(後ろ足になる方で地面を蹴って進む)だったが、蹴る力が右足の方が強く感じたため、レギュラーという判断を下した。

スノボ実践編!白銀デビュー!

2018年12月24日。いよいよスノボ白銀デビュー!クリスマスイヴにお店のお客さん3人といざゲレンデへ。

レギュラースタンスで始まった実践編。ひげすけもやる気満々だったのだけど、ブーツを履く時点ですでに疲れ果てた様子。もしや本当に体力無いのか?と気になりつつも雪上へ。この時はまだどこも雪が少なく、ゴンドラで上部ゲレンデへ行かないと滑れない状態だった。

少しばかりアドバイスをしていよいよ横滑り(サイドスリップ)にチャレンジ。ところが、板にブーツを装着させた後、立ち上がれないひげすけ。体力というより筋力がないのか…。

これまでの人生でほぼ運動らしい運動をしてこなかったとは言っても、一緒に山登りをした感じからそれなりの体力はあると思っていたのだが、まさかここまでとは。確かに、座った状態から立ち上がるのは私も疲れるのであまりしたくはない。それもあって、経験者は大概立ったままで後ろ足を装着したりもする。

滑る感覚を優先させたいので手を貸し、立たせることに。横滑りも何気に疲れるのだが、とにかくひげすけの体力がないようで、少し横滑りしてはしゃがみこみ、立ち上がれず、手を貸す、の繰り返し。

しかし、その繰り返しで少しずつ移動出来るようになり、コツをつかんだのか、自分で立てる兆しが!

そして、ひげすけ本人が自分に掲げたその日の目標。「自分で立てるようになる!」だった。ひげすけが勝手にライバル視していたお客さんの一人と張り合って立てた目標だそうだ。

この日の目標「自分で立つ」は何度もコロコロ転がって頑張って何とかたどり着いた。

私も甘く見ていたのかもしれないが、本人の言った通り本当に体力筋力がないとこうなるのだと痛感。私にとっても良い学びになった。

スタンスが違うかもしれない

2019年1月2日。感覚を忘れないうちに…と新年早々にスノボ2回目。まずはおさらいもかねて、平坦なところでスケーティングと、少し歩いて登って横滑りの練習。

数回するうちに「木の葉落とし」を練習中に違和感が…。本人の視野が左足側に進む時と右足側に進む時に大きな違いがあるらしく、右足側に進む方が進行方向をしっかり見られるという申告。

これは大きな問題だ。スノーボードは非対称であることから背中側の視野はどうしても狭くなる。故に、進行方向を見る時に首や腰の可動域が少ないのは不利と言える。当然見える方が安全面でも安心感でも良いに決まっている。

これはグーフィースタンスかもしれない。まだ2回目で、そんな癖も付いてないという判断で、グーフィーにスタンス変更。

一からやり直しかと思いきや、これまで練習してきたことをあっさりとスムーズにこなすひげすけ。苦手だった立ち上がることもスムーズに。

しかし、スタンスが変わったとはいえ、体力筋力が超絶ないことは変わらず。ひげすけの気持ち的には練習したいが、身体が疲れてやりたいことが出来ないのが見ていていてわかる。無理をしても怪我のもとなので終了。

体力がもたないので、今後は短時間集中で数をこなしていく作戦にした。

助っ人コーチ登場

2019年1月4日。人生3回目のスノーボード。この日は前々から会いたがっていた私のスノボ仲間のツネと合流することに。早々に挨拶を済ませ練習開始。ツネはフリーで滑るかと思いきや、ひげすけの練習を手伝ってくれた。

少しずつ上達も見えてきているせいか、ひげすけのやる気も高い。ツネのサポートもあって効率よく練習出来ていることと、ひげすけの頭の回転が速いこともあって、イントラ泣かせになりかねないような質問も飛んでくる。とはいえ、私に返せない質問は無いはず。おそらく。たぶん。

そんな中、体力も尽きたところで質問され飛び出したキーワード「骨盤」は、実践することもできず次回に持ち越しとなった。

骨盤試したい一心で…

2019年1月6日。4回目。前回出たキーワードの「骨盤」を試したいという一心で雪上へ。

ただ「骨盤」と言っても、スノボ未経験者や初心者には何のことやらさっぱりだと思うので少し説明したい。

スノーボードを操るうえで、基本となる前足操作。進行方向に対しての前足は方向を決める舵取りにあたるのだが、そのためには重心をしっかり前足に乗せ、この前足を如何に動かせるかがポイントになる。

巷にはスノボテクニックのいろんなマニュアルが存在するが、それらは視線だったり、身体の向きや傾きだったり、パーツ的な部分での誘導で表現されることが多い。

そんな中ひげすけは「舵取りのための動きがあれこれありすぎて同時に出来ない!それらを動かせるための要となる根本的な部分があるんじゃないの?」と質問してきた。めんどくさがりを極めた生き方をしているひげすけならではの質問だ。

ひげすけがしたこの質問は、私が34年滑ってきて感じたことや考え方とリンクする部分が多いもので、そこから導き出した答えが「骨盤」だったのだ。

4回目はそんな「骨盤」の感覚を少し掴んだようだが、早々に体力がなくなり、リフト2本で打ち止め。この日は別の仲間タカシ(元A級イントラ)も来ていて、ひげすけ的にはいろいろ質問もしたかったらしいが、どうやらこれまでの疲れがピークに来たようだ。残念。

この日は動画すら撮らずに終了。

5回目…復活からの「足首」

2019年1月10日。少し時間を置いた事で身体も復活。この日は「ゴムチューブ大作戦」を決行。

ゴムチューブで引いていれば、スピードを気にせず操作に集中出来るのでは…と持ち出してはみたものの、子供と違って大人は重い(ひげすけが重いということではない)。ひげすけもやりづらいらしく、ゴムチューブ大作戦は一瞬で終了。

ということで作戦を変更し、この日は急斜面でもとにかく降りてこられるように、横滑り強化練習。

「横滑り」は比較的ヒール側(かかと側)が体力的にも楽なのでよく使われるが、実はこの横滑りトゥ側(つま先側)が難しい。このトゥ側がどれだけ綺麗に出来るかで、ターンの質も変わると言っても過言ではない。

それを話したところ、やっぱりやってしまうのがひげすけだ。近道をしたいわけではないが、効率を求めるがゆえの選択をする。だが、これが大切だったりもする。

そして練習開始するも進まず。つかまり立ちの赤ちゃん状態。一歩も進まず。立ってるだけで体力の限界を迎える勢い。

「難しいって言ったじゃないですか」と言ったら、「上手くなるって言ったじゃないですか!」と即答で返ってきた。どうしてもそれで降りるというので、私の引き出しから出たワードが「足首」である。足首を固定するという説明をした途端、滑れるようになった。

良かった!無事に帰れる!

そしてこの日、ひげすけは私には見えない軸が見えたらしい。

目に見えない軸と「先落とし」

2019年1月13日。6回目…毎回動画をずっと撮ってきているのだが、ひげすけは暇さえあれば動画をチェックし、私の滑りからあることに気づいたらしい。

「見えない軸」

それがあることで私の滑りには安定感があるのだという。それを踏まえて、どうやらやってみたいことができたらしい。

翌日も滑りに行く約束があるため、今回は更に短時間集中で。今回は先落とし(ノーズドロップ)。ボードの先を谷方向へ自然に落下させる技術のひとつ。これが出来るとターンへ一歩近づける。

これまでの「骨盤」と、その「見えない軸」を意識することで本人も感覚を掴んだようで、私の目にもそれは見ることが出来た。

だが、疲れを残さないうちにこの日は終了。

軸話で熱くなる!驚きの急成長!

2019年1月14日。7回目…この日は先落としをマスターするため、緩斜面の長いゲレンデへ。体力の限界で撃沈した日(4回目)に一緒だったタカシも同行した。

昨日の疲れを残さない作戦と「見えない軸」を意識したことにより、良い感覚を掴んで終われたことでこの日は驚きの急成長を遂げた!

…のだが、やっぱり体力は続かない。

そしてもう滑れないから今後の参考にと、私とタカシとの撮り合い任務が発動された。

この日の夜は撮られた映像を参考に、タカシも巻き込んで「見えない軸」の話で熱くなるのだった。

まとめ

今回の過程で私が一番感じたのは、ひげすけのメンタルの強さである。

体力の無さを理由に諦めたり投げ出したりせず、自分の出来る最大限の中で最良を導き出す感性とメンタルの強さ。視覚的部分にとらわれず、見えないところまで見ようとする観察力に感心させられた。

ちなみにどれだけ体力が無いかというと、7回という延べ回数はあるが7回目に乗ったリフトは5本。これが最長記録。他はそれ以下なのだ。経験者ならわかると思うが、滑走時間としては著しく短い。

そんな中、ここまで成長出来たのはひげすけに出来る最大限の努力に他ならない。

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