”夜遊び”してますか?
アラフィフ世代には「夜遊び」っていうと、都内周辺で20代を過ごした方には、やれ歌舞伎町の旧コマ劇場(今でいうトー横)周辺だ、やれ六本木だ、池袋だと思われるかもですが、そういう夜遊びではなく、はい。今回のテーマはYOASOBIです。
アラフィフ世代の読者からしたら、名前は聞いたことあるけど、詳しくはわかんない。あ、23年の紅白出てたね。くらいでしょう。今回のコラムはYOASOBIです。
そもYOASOBIって誰よ
何年に結成されて……はググるか、最近流行りの会話型人工知能に聞いてください。
Googleの会話型人工知能Bardに聞いたら……
YOASOBI(ヨアソビ)は、2019年10月に結成された日本の音楽ユニットです。メンバーは、コンポーザーのAyase(アヤセ)とボーカルのikura(いくら)です。
YOASOBIは「小説を音楽にするユニット」を掲げており、2019年11月に第1弾楽曲「夜に駆ける」を発表しました。同曲は2020年9月にストリーミング再生2億回を突破し、Billboard Japan総合ソングチャート「HOT100」にて2020年年間1位を獲得しました
ググってみたら7月8日のニュースには、
1億再生突破のYOASOBI『アイドル』MVはアニメ『【推しの子】』闇部分の再現度がハンパない
1億回再生とか、闇部分の再現度とか。アニメ「推しの子」闇部分とか、そもそも「推し」ってなんすか?闇ってなんすか?って、「???」が付いたアラフィフ読者諸氏の???顔が浮かびます。
ヤバいですよ。今年は2024年です。追いついてきてくださいね。2023年紅白出場して、地上波で初の生演奏くらいではないんです。
MV公開16日で5000万回再生。1ヶ月で1億回(累積再生数)、現在4億再生ってメチャメチャすごい。この曲を聞いたことある人はわかると思うんですけど、曲の構成がとにかく通常では考えられないくらいの構成。
そうです。作曲を体系的に学んでいると、歌い出しがあって、Aメロがあって、Bメロがあって……となりがちなので、こういう作りにはならないです。これは言い切ります。
まるで数曲を1曲にガッチャンコした作り。逆にDJ的には痺れる作りで、まさに「推し」たい一曲です。
作曲者の、 Ayaseは現在29歳。1994年生まれ。若い!ボーカルのikuraは2000年生まれ。めちゃめちゃ若い!23歳???マジすか。2人とも小さい時からピアノが当たり前に家にあって……なんていう環境化で育ってますね。
1994年や2000年に何があったか覚えてますよね?
コンピューターやデジタル系のサンプラーや楽器が出回り、そして高速のインターネット環境が出始めた頃です。アラフィフ諸氏には最近ですよ、最近。彼らは当たり前にコンピューターやインターネットが生活環境化にある世代です。
コンピュータやデジタル系のサンプラー、高速インターネット!なんて羨ましい。
で、ここからは推測なんですが、かなり昔の曲とかを、とにかくとにかく聴きまくっていて、そして形に出す際に古今東西の表現者の手法を徹底的に調べたんじゃないかと思うんですよね。
でも影響を受けているのは僕が思うに、これじゃないかなー。と思うのがカットアップ。はい。カットアップです。
そもカットアップって何よ
カットアップときいて、あぁウィリアム・バロウズね。って人はもう今日コラム読まなくていいです。
一般の方から見たらそれはもう既にぶっ飛んでいて、言っちゃなんだけどそれはそれで闇があります。その闇非常にいいです!
もちろん知らない人が多いかと思いますので、少し書くと、ウィリアム・バロウズ。
この方は作家です。有名な書籍で言えば1959年に出版された「裸のランチ」。活字で「バキバキ決まってる感」出してるよね。未読の方は読んでください。同時期に活躍した画家であるブライオン・ガイシン(光の彫刻 ドリームマシン!)がウィリアム・バロウズに教えたらしいですね。
カットアップは、これがわかりやすいかな。
文章を「まとまり」で切り取って組み替える。ちなみに映像でチョキチョキしてる人は……。影響を受けた若き日のデヴィッド・ボウィ。ワンセンテンスのフレーズをランダムにつなげると「自らの想像を超えるような」フレーズが出てきます。
ちょっと脱線。デヴィッド・ボウィは誰?という方はこちらを。(2022年1月のむがじん掲載コラムです)
2016年1月10日に他界。もう8年かよ……。
で、本線へ。
ここまで読み進めてデヴィッド・ボウィのプロフィールも読んでこう思われたかもしれません。
あれ???どっかでなんかが繋がり始めたよ。なんだろ。この感じ……。というあなた!
ある「まとまり」を、つなげて、くっつけて、全然考えもつかないものをつくる。
コンピューター的に言えば、コピーアンドペーストとか、繰り返したらループとか!
これって……。
YOASOBIは「小説を音楽にするユニット」
はい。言い切ります。YOASOBIは、そのバロウズの「カットアップ」をハイスペックのコンピュータとかデジタル系のサンプラーとか高速のインターネットなどなどで構築しております。
超ざっくり言えばDJ的。かと言って整合性を保つために、歌詞で韻を踏んだり、いわゆる語呂合わせしたり。
世界観を表現した日本語歌詞ver.を英語歌詞ver.で出す際にも(YOASOBIの過去作品で英語歌詞verで作品を発表する)いわゆる「空耳」で響きの音を重要視するなど、小説を書く際の「読み進めやすさ」を歌詞で表現して「整えたり」とDJでいうところのキーとBPM、次の曲の歌詞世界を紡ぐような工夫もされていたりと、さすが「小説を音楽にするユニット」。
今後自分自身しかできないことを見つける
人間が実際にリズム叩くには限界ありますよ。BPM的にね180とかの速さで10曲演奏せよとかいったら首の骨痛めます。というか常人では無理です。
でも、コンピュータならあっさり出来ますね。コンピュータで言えば、最近話題は人工知能。ChatGPTに代表される会話型人工知能は数秒で文章提示してきますね。
そう先ほどのBardのように。(ちなみに3秒くらいです)。他のAIなら絵も描けます。曲も作れます。既にそういう時代なんです。すごいよね。ではなく、そういう時代なのです。そんな時代をどう生きていくか。ご自身の才能をどう見つけるか。これが今後大事な話だと考えています。
誰でもできることはきっと人工知能が徐々にその役目を担います。仕事が奪われるというのは今までの仕事がなくなるだけで、奪うのではなく新しい仕事が発生するのです。
その新しい仕事や、今まで続けてきたその人しかできない仕事は無くなりません。その人しかできないことは自分では気づかないからこそ、「人間の意識の解放」が必要なんだと思うのです。
「人間の意識の解放」は「自分も知らない相手も知らない自分を見つけ、それをデジタルデータに落とし込んでどこまで受け入れられる・受け入れられないのギリギリのカタチにできるか」が鍵だと思うです。自分も他人も知らない。ゆえに常識に捉われない。だけどもどこか受け入れられやすくする。そういう生き方。たぶんこれからの数年はそんな生き方が必要とされてくるのではないかと思います。
鍵というか、窓と発想を変えるなら、心理学で「ジョハリの窓」というのがあって、自分と他人、知っている・知らないの合計4エリアで「窓」と称する心理学モデルがあります。相互理解のために使われますが、そのうち「自分が知らない・他人が知らない」領域が未知の領域とされています。秘めた才能のエリアです。ここを知ることが僕は「人間の意識の解放」のための窓なんじゃないかなと感じています。
左脳だ右脳だという発想になるかもですが、ここは考えすぎないで、”夜遊び”しましょう。遊びの中に才能は眠っています。YOASOBIは自分が知らない&他人が知らない自分がいる。それに気づかせてもらいました。
というわけでお約束プレイリストはこちら。2024年もよろしくお願いいたします。