踊るということ。
フロアをあっためるには踊らせる
DJとして廻しているときに気を付けることがあるんです。
それは曲をうまく繋ごうとするのではなくて、すぐに全体を盛り上げようとすることではなくて、1曲目で体を揺らしたり踊ってくれる人を見つけること。この人!と決めてその人のために多分これも好きだろうなぁと推測しながら次の曲次の曲と流していくことです。まずは1人を踊らせる。するとその人がフロア全体を、いわば「あっためて」くれるからなんです。
最初の1人。これを見つけられるかどうかでその日の盛り上がり方が決まり、ゆくゆくはその人が友人を連れてきてくれたり、リクエストくれたり、ファンになってくれるんです。
書くのは簡単なんですが、これが意外に難しい。どんなお客さんがくるかの「読み」が外れるとそれはもうその日は盛り上がらないし、最悪与えられた時間を消化せずに「選手交代」になります。というわけで、このコラムを読んでいる方にお願い。会場でお会いできたらぜひ踊ってくださいませ。
踊るためにはカフェミュージックを聴く。
とはいえ、踊るってどうしたらいいの?と、そう言う話です。
音楽を聞いている際に、綺麗なメロディだなーとか、声が素敵だなーなどは皆さんご経験あると思うんですよね。くつろいでいる際に聞く音楽とか、それこそカフェで流れている音楽など、ホッとしたい時に聞く音楽はそんな音楽だと思うんです。ぜひその時に頭の中で、タンタンタンタン、タンタンタンタンと4つ数えてみてください。心地よい音楽はこのタンタンタンタン♪が心地よーくなるように作られています。
音楽理論は僕はわからないのですが、心地よい音楽は踊る音楽ではないので、4つのタンのどこも強調されないんです。いい意味でサラーっと流れる感じ。カフェミュージックは心地よい感じだし、耳に残らないようになっているので(広い意味での「環境音楽」)これでいいんです。逆にこの感じがつかめないと、「踊る」がわからないのです。先ずはイメージしやすく。カフェのそれで。はい
タン(拍)が強調されると自然に体が動きます。
ある程度音楽が流れている。耳を澄ますとフッと音楽が聞こえる。作業に集中するとその音楽が聞こえる。その中では強調されるタン(拍)がないんです。サラーッと流れる。体が動くのは区切りです。拍で区切りをつけるのです。
わかりやすく言うと、そろそろ皆さんも行われると思いますが二礼二拍一礼。二礼して、二拍した際にどこかなんとなく「気持ちの切り替え」があるんじゃないかと思うんです。そこが強調。タンが強調されると心も体も動きます(動く準備ができます)
動く準備ができた体には第1歩目や2歩目の印があると、勝手に体は動きます。次はここです。次はここです。その先はこうなります。と出させると体は動いてしまうのです。ですので、選曲リストの曲の速さに合わせて、タンタンタンタンと最初は手を叩いてみましょう。
なんとなくかもしれませんけれども、最後のタンタンタンタンで、新しいなにかが変わるような、ちょっと前のめりするような感じを感じたら、もう踊れるまですぐです。この感じがノリ(乗り)です。
ノリがわかると、曲がわかってきます。踊れるようになります
最初は手でタンタンタンタンしてください。途中で曲の感じが変わるところがあります。4つ目か8つ目で曲の感じが変わる感じがわかると思います。
変わったら今度は右足でタンタンタンタンしてください。そのあとはまた途中で曲の感じが変わるところがあります。そうしたら今度は肩でタンタンタンタン、右肩を前に後ろに、左肩を前に後ろに。今度は足と肩を同時にやってみてください。
ここまで読んでる方はもうフロアで踊れるようになってます。選曲してるので合わせて踊ってみてくださいね!そう踊りは心が動くことです。心を動かせば楽しくなります。
皆さんがイメージしているダンスはマイケルジャクソンとか、男子九人グループなどの動きかもしれませんが、タンタンタンタンがわかれば、曲を聴きながら体を揺するでも指を鳴らすでも、それはもうダンスですよ。少人数でアットホームに。DJ AKKYが普段からお世話になっている(かつ選曲のヒントをもらえる)五反田中心としたお店を紹介します。ぜひ来場の際は音楽に合わせてタンタンタンタンで心を動かして踊ってみてくださいね。
では、お店紹介を。
1:Soul Music BAR Ali-Ollie!!!!
ここは以前恵比寿にあり、2017年の春に五反田に移転。お店は15周年という歴史。何よりも店内に流れる音楽はレコードで聴けるんです。アラフィフ諸氏には耳馴染みのある「ジリパチ音」から、ふわぁっと音に包まれるような感じ。しかもソウルミュージックが中心。お客さんは静かに音楽を楽しむ人ばかりですが、お客さん同士で好きな音楽の傾向が重なると会話を察してマスターが、そっとその曲を流してくれます。この間合いは真似できない。
ソウルミュージックは盛り上がりが楽しみどころですから、どのタンタンタンタンで曲調が変わるかをゆっくりと楽しんでください
2:ロック酒場ストーンコールド
通称五反田ヒルズにあるバーです。山手線に乗った際に、とあるビルの窓にフレディマーキュリーのポスターが貼られているのをお気づきでしょうか?そこです。クィーン、デビッドボウイ、プリンス。はい。偏ってます。めちゃめちゃ濃いです。アットホームな感じでそれらの音楽を楽しめるのでワイワイと呑むには最適。ブライアンメイのギターに直筆サイン。ベースにピアノ。金曜日の深夜は合奏が始まることも。(数回ベース弾きました)
客層は80年代に青春を送った人だけかと思いきや、最近の20代にはその時代は新鮮らしく、最近では大学生もチラホラと。
3:TRIO
不動前と言う東急目黒線で目黒から1駅にある駅から徒歩3分。住所は西五反田。地下に入り、ダーツありの、ミラーボールありのDJブースありの、プロジェクターありの。僕は何回もここで廻させて頂きました。こんな時期ではありますが、30名くらいまでのイベントは最適(箱代無料って最高です)。地下に入るので音も大音量出せるし。五反田周辺の音楽系の人ならぜひ。毎週水曜日はイベントがあります。
番外編:MUSIC BAR Planet Earth
五反田というには少し距離がありますが、池上線に乗り「荏原中延駅」で下車1分。マスターのアーティストのコレクションが博覧会クラス。オフィシャル盤はもちろんプロモーション盤や、限定盤などゴロゴロ。久保田利伸さんのプロモーション盤を聴けるバーってここだけじゃない?特にプリンス。
日本では入手困難な盤や、あれやこれやとその耳でその目で確かめてください。プリンスファンの聖地になりつつある(そう願っています)お店です。
本年最後のコラム。
2020年もあっという間に終わりですね。踊って楽しい状態ではなかったような気がします。DJとしての出番も数回で、集まった方はなんだか生存確認のために短い時間だけ集まるといった感じでした。今年踊れなかった人は少しでも拍に体を合わせて、肩だけでも揺らしてみてください。体が動けば心が動きます。心が動けば少しは楽しくなります。来年2021年が良い年になりますように。
プレイリストはこちらです。