【日々を記録する】第1回ECA展編

どうもおつかれさんです〜
むがじん寄稿第二弾としまして、今回は5/12〜18まで東京都美術館地下3F ギャラリーAにて開催されていた「第1回ECA展」や僕の出品作品についてなど、色々書こうかなと思います。

第1回ECA展について

「第1回ECA展」
EVOLVE ART&DESIGN JAPANは、現代アートの普遍的な要素でもあるコンセプチュアルアートにフォーカスした展覧会を開催いたします。

コンセプチュアルアートの変遷でいえば、1960年代後半から70年代にかけてムーブメントが起こりました。現在においても世界中でコンセプチュアルアートの創作活動は行われています。国内でコンセプチュアルアートにフォーカスした展覧会は希少であり、本展では、今まで活動の機会を得られなかったアーティストの展示の拡充に向けて取り組みます。

ときに美的なものと反するコンセプチュアルアートは、鑑賞者に敬遠され難しい印象を与えてしまいますが、これほどまでにアーティストの思考に触れ芸術と対話できる機会はありません。ぜひ本展を通じて、芸術との対話をお楽しみください。

一般社団法人EVOLVE ART & DESIGN JAPANのHPより引用

今回、人生初のコンセプチュアルアートの公募展への出品ということで、正直めちゃくちゃ緊張してたし、めちゃくちゃ不安でした。笑

今まで特に理由もないけれど、インスタレーションやコンセプチュアルアートの分野で作品を制作することに苦手意識があり、あまり挑戦して来ませんでした。

ですが、毎年9月に渋谷ヒカリエで開催される「MONSTER EXHIBITION」への出品をキッカケに、お世話になっている主催の一般社団法人EVOLVE ART & DESIGN JAPANさんが、新しくコンセプチュアルアートにフォーカスした公募展を企画します、との事。

「第1回やし、何かしら力になれるなら…」と思いエントリー。やはりやるからには良いと思っているものを出したいと思い、アイデアを絞り出した結果入選。焦りましたが、作るしかない!という事で今回の作品制作に取り組み始めました。

出品作品とその背景

普段の制作では作品のシルエットや佇む風景が心に浮かび、それをドローイングやマケット制作を通して探り、いけそうだと思ったら原型を作り始めるという動き出し。

今回の作品を考えるにあたって、なんといってもコンセプチュアルアートなので、作品が先にある訳ではなく概念や思想があり、そこに景色や感情を想起させたり、発見のヒントを散りばめたりするものが展示されるという点でかなり苦戦しました。

今回テーマとしたのは、「記憶とその所在、かたち」でした。

記憶は確かに存在するのに、歳を重ねるごとに時間だけでなく知識や経験、それに似た記憶等が降り積もり、ぼんやりと曖昧なものへと変わっていく。

そんな現象を僕がずっと興味を持っている富山の景色と重ねて制作しました。

それは僕が大学進学のため移住した富山の冬。雪が降り積もり、その中にあるものの形に影響を受けて外側が隆起したものを見て、中にあるものを想像して楽しむことが「記憶」の現象と重なりました。

何かを思い出す時。その記憶にスポットライトをあて、元の記憶の色やかたちの断片が見える時、自身の中にある記憶の存在を確かに認め、過去を美化するだけでなく、現在のその姿にも愛着を持てるのではないかなと思い展示台が点滅する仕組みをつくりました。

『 What reminds… 』作品コンセプト

「記憶」とは、少しずつ薄れ忘れていってしまうものではなく、その記憶の上に知識や経験、時には別の記憶が入り混じり、時間と共に降り積もって変化していくものなのではないかと考えます。

時間が経過することで原初の「記憶」に積もった後の形は、時に違った「記憶」に見えたり、またその原初の「記憶」を不意に想起させたりしながらも確かに存在しているのではないかということに興味を持ちました。

原初の「記憶」は、はっきりと鮮明な輪郭や色を伴う形であり、積層後の「記憶」は、はっきりとした輪郭までは思い出せずとも、積層後の形に内在するものの特徴や要点を残したシンプルな形であると考えました。

原初の「記憶」と積層後の「記憶」の間にあるものは、果たして余計なものなのでしょうか。やはり原初の「記憶」こそ一番美しいものなのでしょうか。過去の「記憶」は美化されてしまうのでしょうか。今が一番美しいと感じることはないのでしょうか。

本作品では、作品の内側からの光によって原初の形や記憶を、外側からの積層によって積層後の現在の形や記憶の輪郭を浮かび上がらせ、それぞれの形や記憶を行き来することにより、2つの形の間に流れる時間を可視化しました。

内側からは未来の形を認識することが出来ず、外側からも同様に過去の形は認識することが難しい。まるで記憶が曖昧になるかのように、積み重なる時間によりぼやけて見えたりします。
 
本作品は、自身の大切な「記憶」との関係性を見つめることの出来る装置です。

最後に

今回は、前回の東京での展示作品について書いてみました。こうして書いていくと、自分の中でも色々と整理されていく感じがします。少しでも楽しんでもらえるといいなぁと思います。

『What reminds…』は、9月に開催される高岡クラフト市場街にて企画している「高岡で澄む」というグループ展にて展示出来ればと考えております〜

(写真 :冨田実布)

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ABOUT US
畦地拓海漆芸家
1990京都府亀岡市生まれ。 日々を生きる中で沸き起こる感情や情景を記録するように、どこかで忘れてしまった事を思い起こさせるキッカケとなるような作品をテーマに制作を続けている。